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人事パーソン要チェック! 新刊ホンネ書評 [2016.08.29]

[97]『即効マネジメント─部下をコントロールする黄金原則』

 (海老原 嗣生 著 ちくま新書 2016年5月)

 

 著者の既刊『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論』(2015年/プレジデント社)で扱った、「部下のやる気をどう出させるか」と「組織全体の活気をどう保つか」という二つのテーマのうち、前者に的を絞ったものです。理論解説のベースにはハーズバーグら先人の理論を置き、とりわけ、著者が薫陶を受け、リクルートの組織風土を生み出した大沢武志氏の実践的理論を基礎に置いているとのことです。

 著者は、マネジメントというものを一つの型にはめる必要はなく、むしろ基礎理論を覚えることが重要であるとして、その基礎理論を「明日から使えるように、実践的で簡単な法則」にしたものが、「2W2R(What・Way・Reason・Range)」と「三つのギリギリ」であるとしています。

 第1章では、「やる気」には内発的動機と外部誘因があるが、社員の内発的動機を高めれば企業は強くなるとし、内発的動機を高める方法をハーズバーグの「満足要因と衛生要因」説などを用いて説明していて、それには「機会」を与え「支援」することが必要であるとしています。

 第2章では、部下への機会の与え方、支援のやり方を解説しています。基本は2W(What・Way)であり、「What」を教えるのも必要だが、成功の道筋=「Way」を教えることがより重要であるとしています。また、教える際は、その理由や目的(Reason)を伝えることが大切で、それが部下の自律につながるとしています。さらに、部下に機会を与える際には、「できるかできないかギリギリの線を示す」「経験や得意技を活かす場を残す」「逃げ場をなくす」という「三つのギリギリ」が重要であるとしています。

 第3章では、やる気を絶やさない秘訣(ひけつ)として、設定した目標はいつの間にか"ギリギリの線"から外れてしまうので、そのたびごとに刻み直すこと。そのためにも、上司は常に部下を見てSOSや慢心を見逃さず、さらに、横の見通し(今の仕事が周囲に与える影響)と縦の見通し(今の仕事が将来のキャリアに与える影響)をつけることが重要であるとしています。

 第4章では、もう一つのRであるRange(範囲)について述べており、成長が実感できる踊り場を作って思いっきり羽を伸ばせるようにしてあげること、階段を刻み、踊り場で遊ばせることが大切であることを、マクレガーの「XY理論」や三隅二不二の「PM理論」を用いて説明しています。

 第5章では、「誰もがエリートを目指せる」日本型のキャリア構造は世界的には特殊だが、これもモチベーション理論から意図的に生み出されたとして、基礎理論の重要性を説いています。また、社員がやる気を出してくれないのは、人の心を揺り動かす要因(動因)がそろっていないからであり、部下は多様な動因を持つから、上司はそれに合った「多様な機会」を作っていく必要があることを、マーレイの動因理論などを用いて説いています。

 第6章では、学んだことを人に教えることの重要性を説くとともに、これまで述べてきた基礎理論を、質問形式で簡潔にまとめています。要約すれば、「2W2R(What・Way・Reason・Range)」とは、何を、どうやって、なぜ、どこまでを決めることであり、「三つのギリギリ」とは、①易しすぎず難しすぎず、②活かし場を用意する、③逃げ場をなくす、ということになります。

 これらが、クイズなどを交えつつ、読みやすく丁寧に解説されていて、また、章を追うごとに理論を積み重ねて構造化しているため、説得力のあるものとなっています。とりわけ初任管理職、ミドルマネジメント層には、示唆に富む内容であるかと思います。

<本書籍の書評マップ&評価> 下の画像をクリックすると拡大表示になります

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2016年7月にご紹介したものです。

【本欄 執筆者紹介】
 和田泰明 わだ やすあき

 和田人事企画事務所 人事・賃金コンサルタント、社会保険労務士

1981年 中堅広告代理店に入社(早稲田大学第一文学部卒) 
1987年 同社人事部へ配転
1995年 同社人事部長 
1999年 社会保険労務士試験合格、2000年 行政書士試験合格 
2001年 広告代理店を退職、同社顧問(独立人事コンサルタントに) 
2002年 日本マンパワー認定人事コンサルタント 
2003年 社会保険労務士開業登録(13030300号)「和田人事企画事務所」 
2004年 NPO生涯教育認定キャリア・コンサルタント 
2006年 特定社会保険労務士試験(紛争解決手続代理業務試験)合格 
    
1994-1995年 日経連職務分析センター(現日本経団連人事賃金センター)「年俸制研究部会」委員 
2006年- 中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定試験問題[人事・人材開発部門]」策定委員 
2009年 早稲田大学オープン教育センター「企業法務概論」ゲストスピーカー 

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