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人事パーソン要チェック! 新刊ホンネ書評 [2016.01.27]

[84]『未来に選ばれる会社―CSRから始まるソーシャル・ブランディング』

 (森 摂、オルタナ編集部 著 学芸出版社 2015年10月)

 

 本書のタイトルである「未来に選ばれる会社」の「未来」とは、「未来の顧客」であり、「未来の社会」であり、「未来の従業員たち」であるとのことです。企業が永続的になるためにはただ営利を追求するのではなく、「顧客だけでなく社会全体から支持される」ことにより、「未来の顧客」に選ばれるための「強み」を作り上げることが必要であるとし、本書ではそれを「ソーシャル・ブランディング」と呼んで、CSR(Corporate Social Responsibility)を起点としたその方法論を、国内外20社以上の成功例から実践的に解説しています。

 第1章ではまず、CSRとは何かを改めて問うています。CSRを訳すと「企業の社会的責任」となりますが、そもそも責任(responsibility)は、「response」(反応する)と「ability」(能力)から成る言葉で、原義は「対応力」であるため、本書では、CSRを「企業の社会対応力」と定めています。そして、CSRによって企業価値を高める過程は、①ES(従業員満足度)、②CS(顧客満足度)、③SS(社会満足度)、④CSRで株価を上げる、の四つがあるとしています。

 また、最近よく使われる「CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)」という言葉を「攻めのCSR」としてもよいとし、「CSR/CSV」の定義として、次の三つを挙げています。

①「社会的課題の解決」と「経営的成果」の両方を目的としていること

②企業内で完結する活動ではなく、自治体やNPOなど外部他者との「協働」であること

③未来の顧客やファンを増やし、企業価値やブランド価値を高めるものであること

 第2章では、ソーシャル・ブランディングの活動領域には、「E」(エコロジカル=環境)、「S」(ソーシャル=社会)、「G」(ガバナンス=組織統治)の三つがあるとし、企業のコア・バリューのうちの社会的な部分の比重を高めること、「E」「S」「G」のそれぞれで企業が「社会的課題の解決」につながる活動を選び、展開していくことが重要であると指摘。その上で、「製品イノベーション型」(企業が社会的課題を解決するため、これまで市場になかった製品を開発・市場投入する)など、ソーシャル・ブランディングの七つの類型を示しています。

 本書の後半を占める第3章から第5章にかけては、ソーシャル・ブランディングの実践例が紹介されており、第3章は大企業編(味の素、キリンほか)、第4章は中堅企業編(ギンザのサヱグサ、山陽製紙ほか)、第5章は海外企業編(ネスレほか)となっています。

 当然のことながら、各企業のコア・バリューは異なり、「社会的課題の解決」の活動領域もソーシャル・ブランディングの類型もさまざまであることから、ソーシャル・ブランディングの実践内容は実に多彩なものとなっています。例えば、中堅企業編では、白井グループの「社員をサーフィンと田植えに行かせよう」などといったものもあります。最終的には、自社のソーシャル・ブランディングの在り方は、自らが知恵を絞って考えることになるのではないでしょうか。

 CSRを「企業の社会対応力」と捉えている点は注目すべきでしょう。「ソーシャル・ブランディング」という概念にはまだ馴染みのない人もいるかと思われますが、概念・方法論と事例の両面からアプローチされている本書は読みやすく、また、大いに参考になるものと思われます。

<本書籍の書評マップ&評価> 下の画像をクリックすると拡大表示になります

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2015年11月にご紹介したものです。

【本欄 執筆者紹介】
 和田泰明 わだ やすあき

 和田人事企画事務所 人事・賃金コンサルタント、社会保険労務士

1981年 中堅広告代理店に入社(早稲田大学第一文学部卒) 
1987年 同社人事部へ配転
1995年 同社人事部長 
1999年 社会保険労務士試験合格、2000年 行政書士試験合格 
2001年 広告代理店を退職、同社顧問(独立人事コンサルタントに) 
2002年 日本マンパワー認定人事コンサルタント 
2003年 社会保険労務士開業登録(13030300号)「和田人事企画事務所」 
2004年 NPO生涯教育認定キャリア・コンサルタント 
2006年 特定社会保険労務士試験(紛争解決手続代理業務試験)合格 
    
1994-1995年 日経連職務分析センター(現日本経団連人事賃金センター)「年俸制研究部会」委員 
2006年- 中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定試験問題[人事・人材開発部門]」策定委員 
2009年 早稲田大学オープン教育センター「企業法務概論」ゲストスピーカー 

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