jin-jour(ジンジュール) |人材育成、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス対策など 人事の視点から、働く人と会社の関係を元気にする情報を発信

ログイン
MENU

メニュー

×

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント [2015.06.12]

2015年6月


ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主任研究員 松岡 仁)


 ProFuture代表の寺澤です。
 ご存じの方も多いと思いますが、ゆうちょ銀行の採用セミナーの受付において「学歴フィルター」があったと、ネット上で大きな騒ぎになっています。ネットでの情報によると、ある学生が自分の学校を「日東駒専」クラスの大学で登録して申し込むと「満席」だったセミナーが、「東京大学」と登録して申し込むと「予約可」と表示されたというもので、6月1日に登録画面の画像付きでTwitterに投稿されたとのことです。すでにTwitterアカウントは削除されているようですが、あっという間に拡散しました。
 J-CASTニュースの記事によると、この件に関してゆうちょ銀行は、
「ネット上でこのようなご指摘があることは承知しております。新卒採用につきましては、面接や適性試験などにより、能力、適性および人物像を総合的に判断して行っており、学校名を選考要件とはしておりません。なお、当該セミナーへの参加につきましては、採用選考とは直結せず、有利になることもございません」と回答したとのことです。

 けしからん、という批判も多くありますが、多くの企業が普通にやっている、学歴を選考基準にして何が悪い、という現状肯定派もそこそこありますね。業界関係者や人事の間では公然の秘密であることは言うまでもありません。
 この問題について私はずっと前から解決方法まで含めて言い続けており、本まで書いているので(「みんなで変える新卒採用・就職」)、特に何の驚きもありませんが、今一度私の考えを説明したいと思います。

○学歴を選考要件とすること自体は企業の自由。何の問題もない。

○大量な応募(就職ナビがもたらしたもの)を前に、学校名を選考フィルターとして使わざるを得ない大手企業は多い。よく理解できる。

○そのことを知らない多くの学生は大手企業ばかりに応募し、大量に落とされて心が折れる。この問題は極めて重いことを企業の方々にぜひ理解してほしい。

○学歴を選考要件とすることを普通に公開すればよい(かつては指定校制があった)が、就職ナビ普及以降「言いにくい」雰囲気になってしまっていて、公開しない大手企業がほとんど。広報的にできないということもある。

○妥協的な案としては、企業が採用実績校を明示すること(できれば、それらの大学から何%採用しているかも示すと良い)。また、大学就職部・キャリアセンターが就職実績企業を明示すること(人数を含めて)。就職ナビも、データとしてこうした情報を積極的に学生に公開すること。

○大事なことは、学生に事実を公開して無駄なことをさせないことである。企業もやみくもに大量の母集団を形成することを止め、無駄な「大量に落とす採用活動」を止めてほしい。

○私自身、自分の子供たち(偏差値的には中下位大学)に、大手企業への入社は困難であることをはっきり言い、優良な中堅中小ベンチャー企業がたくさんあることを伝え、そうした企業中心の就職活動を促した。子供たちは「学歴フィルターだ」などと嘆くことなどまったくなく、就活で疲弊することもなく早期に内定を獲得して、元気に働いている。

 何度も書いているので、もう分かっているという方が多いですよね。それでもこうした騒ぎが起こると、まだこうした考えが浸透していないことを痛感します。

インターンシップ実施企業はさらに拡大

 上述の「学歴フィルター」についてのTwitterが投稿された同じ6月1日、今年も2017年卒業予定者向け就職ナビのプレサイトが「インターンシップ情報&就活準備情報サイト」としてオープンしました。Twitter投稿者は2016年卒業予定の学生です。6月に入ってようやくエントリーシートが公開されたばかりの大手企業もあり、面接選考に至っては2カ月近くたたないと始まらないという状況です。そんな中、一方で早くも2017年卒業予定者向けの採用活動はスタートしていることになります。インターンシップと採用活動は表向きでは別だと言いつつも、インターンシップの企画・準備・運営は新卒採用担当者が担う企業がほとんどであることを考えると、今年の夏は採用担当者にとって超多忙な日々が続くことが予想されます。就活学生も大変ですが、企業もまた大変な夏になることでしょう。
 さて、前回紹介しましたように、HR総研では4月に採用担当者を対象としたアンケート調査を実施しました。調査は、2016年卒採用の現状と、2017年卒採用に向けての計画について聞いています。今回はその中から、これから始まる2017年卒学生をメイン対象としたインターンシップについて見てみたいと思います。
 まず、インターンシップを実施する予定があるかどうかです[図表1]。2016年卒向けの採用活動が進行している最中、まだ次年度のことまで考える余裕がなく「未定」としている企業が3割近くありますが、「これまでは実施していないが、実施する予定」とする企業が1割ある一方、「これまでは実施していたが、実施しない予定」とする企業はわずか2%しかなく、インターンシップ実施企業はさらに増えることが予想されます。

[図表1]2017年卒向けインターンシップの実施予定


資料出所:ProFuture/HR総研調べ(15年4月)、以下図表も同じ

 企業規模別に見た場合、「すでに実施している」割合は大企業45%、中堅企業32%、中小企業22%と企業規模が大きいほど多い一方、新たに始めようとする企業は、大企業6%、中堅企業9%、中小企業11%と企業規模が小さいほど多くなっています。

拡大する1Dayインターンシップ

 次に、実施予定のインターンシップのタイプについて前年同時期の調査との比較で見てみましょう[図表2]。昨年調査した2016年卒採用向けのタイプでは、経団連が推奨する「1週間程度(5日間以上)のインターンシップ」が34%で最も多く、これに「1日程度(1Day)のインターンシップ」が31%と僅差で続いていました。大学経由で募集し、単位認定の対象となることが多い「2週間程度のインターンシップ」も30%に上り、この三つのタイプが拮抗(きっこう)していました。
 ところが、今回の調査結果を見ると、「1日程度のインターンシップ」が42%と前年比で12ポイントも伸ばしたのに対して、「1週間程度のインターンシップ」が26%、2週間程度のインターンシップ」に至っては15%と前年比で大きくポイントを落としています。「3週間以上」のタイプも軒並みポイントを落としており、「1日程度のインターンシップ」のみが伸びている現状です。

[図表2]2017年卒向けインターンシップのタイプ(複数回答)


 注目すべきは、大企業でもこの傾向は変わらず、「1日程度のインターンシップ」は50%にも及びます[図表3]。中堅・中小企業が40%前後であることを考えると、大企業のほうが1Dayインターンシップに積極的だということです。

[図表3]2017年卒向けインターンシップのタイプ(企業規模別・複数回答)


 もともと早期に大量の学生と接点を持つことができることから、1Dayインターンシップは大企業に重宝がられていました。ところが、経団連の「倫理憲章」が「10月採用広報開始」から「12月採用広報開始」に変わるタイミングで、インターンシップは「5日間以上とする」縛りが追加されたことから、大企業による1Dayインターンシップは下火になっていた背景があります。それが、2年前に「指針」として大きく採用スケジュールが変わることが発表されたことから、2015年卒向けのインターンシップあたりからジワジワと復活の兆しを見せ、2016年卒向けではさらに増え、そして2017年卒向けでは最主流のインターンシップになろうとしています。

1Dayインターンシップを好意的に受け止める学生

 さて、1Dayインターンシップは、学生にはどう受け止められているのでしょうか。4月の学生向けの調査の中で、1Dayインターンシップについて役に立ったかどうかについても聞いています[図表4]

[図表4]1Dayインターンシップの有用性


 文系・理系で意見の差はあまりなく、いずれも5割強の学生が「まあまあ役にたった」、3割程度の学生が「大変役に立った」と評価しており、約8割の学生が1Dayインターンシップに対して好意的です。「あまり役に立たない」「まったく役に立たない」と厳しい評価を下している学生は文系・理系ともに1割もいません。1Dayインターンシップは、職場での就業体験形式になっている例は少なく、社員講師による業界・仕事研究、テーマ・課題を与えてのワークショップ、若手社員との懇談会等で構成されていることが多くなっています。「インターンシップ」という言葉を使用することの是非はあるものの、短期間で業界や仕事について学ぶとともに、他の参加者から刺激を受ける機会にもなっており、学生にとっては効率よく、社会との接点を持つ有効な場になっていると言えます。
 企画する企業にとっても、職場や大勢の社員の協力を得る必要もなく、効率的に多くの学生と接点を持つことができます。また、同じプログラムを他の会場で展開することも比較的容易ですから、さまざまな拠点で開催することが可能です。これは、企業のメリットになるだけでなく、地方の学生にとってもメリットがあります。インターンシップは、東京圏と大阪圏で開催されることが圧倒的に多く、その他の地区の学生にとってはインターンシップへの参加が、時間的にも費用的にも大きな負担になっています。できるだけ多くの地区で開催することで、参加できる学生の範囲を広げてあげることも大切なことだと考えます。

サマーインターンシップは今年も花盛り

 2016年卒の採用活動が真っただ中にある8月に、企業は例年どおりサマーインターンシップを開催するのでしょうか。2016年卒に向けてのインターンシップでは、実施企業数および参加学生数において、結果的には「8月」よりも「2月」が少し上回る結果となりました。「8月」にインターンシップを実施するためには、春先から準備・計画して学生募集を開始する必要があるだけでなく、実際の選考時期とあまりにも間が空きすぎることから、2017年卒向けでは「12月~2月」が主流になるのではないかとの臆測もありました。
 ただ、今回の調査の結果を見る限り、2017年卒向けにおいても「8月」開催の企業は多くなっています[図表5]。もちろん「2月」を視野に入れている企業は、まだ計画段階にまで至っていない企業もあるでしょうから、今後「2月」実施企業の割合はさらに増えると思われます。同様に、「12月」「1月」もさらに増える可能性を秘めていますが、現時点ですでに30%前後の企業が「12月」「1月」に予定していることは注目すべき点です。後期試験終了後で、かつ春季休暇にも入っている「2月」が多くなるのは当然として、「12月」「1月」を含めた「ウィンターインターンシップ」が今後はさらに増えてきそうです。

[図表5]インターンシップの実施予定時期(複数回答)


[注]実施月が未定の企業は集計から外している。

 最後に、6月1日にプレオープンした「リクナビ2017」掲載のインターンシップ情報についてチェックしておきましょう。6月10日現在、インターンシップ情報掲載企業数は、実に4011社にも及びます。インターンシップ実施月(開始月)で検索してみると、「8月」に開始する企業はすでに2127社(53%)もあります。「2月」開始の企業は716社(18%)にとどまっていますが、まだ募集を開始していない企業も多いでしょうから、徐々に増えてくるものと思われます。インターンシップのタイプで検索してみると、1Dayインターンシップは2148社(54%)で、「1週間程度」の694社(17%)を大幅に上回っています。インターンシップ情報は毎週更新されており、今後さらに掲載企業数は増えてきます。どこまで増えるのかウォッチしていきたいと思います。

110506terazawa_pic.jpgのサムネール画像 寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
中央大学大学院 戦略経営研究科 客員教授
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約20年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。  http://www.hrpro.co.jp/

 


管理職のeラーニング講座、お試しできます

無料トライアル受付中

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

シリーズ記事

ログイン

×

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品