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Point of view [2014.12.12]

第32回 吉田浩一郎

クラウドソーシングが企業を変える


吉田浩一郎   よしだ こういちろう
株式会社クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO
1974年兵庫県生まれ。登録会員数25万人、4万6000社超の企業が利用する日本最大級のクラウドソーシングサービス『クラウドワークス』創業者。ヤフー、ベネッセ、テレビ東京等と提携しており、電通グループや伊藤忠グループ、サイバーエージェント、リクルートグループ等から約15億円の出資を受ける。日経ビジネス「日本を救う次世代ベンチャー100」選出。著書に『クラウドソーシングでビジネスはこう変わる』(ダイヤモンド社)等がある。
『クラウドワークス』ホームページ:http://crowdworks.jp/

 

個人の力を企業に活かすクラウドソーシングの広がり

 クラウドソーシング(crowdsourcing)とは、インターネットを通じた、不特定多数の人々(CROWD:群衆)への業務のアウトソーシングを指す言葉である。クラウドソーシングはフリーランスや育児中の女性や定年退職を迎えたシニア世代など、在宅で仕事をしたいと考える方々が、働く時間や居住地にとらわれることなく、仕事を受注できる仕組みとして注目を集めている。まさに、「個」の能力を活かす新しいワークスタイルを実現するビジネスモデルである。近年では、TVや新聞など多くのメディアでクラウドワーキングに取り組む個人の姿が紹介されているが、今回は発注者である企業の視点から、クラウドソーシングの活用が企業にもたらす変化について紹介したい。
 現在、当社が運営する「クラウドワークス」は、188業種・25万人のプロフェッショナルが登録する日本最大級のクラウドソーシングサービスとしてサービスを提供しているが、この業種数は、パソコンとインターネットがあれば従事可能な、大半の業種をカバーするものである。クラウドワークスは、サービスの開始から2年半あまりが経過した2014年現在、クライアント企業数は4万6000社に達しており、従業員数万人の東証第1部上場企業から数人で立ち上げたベンチャー企業まで、大小さまざまな企業が当社サービスをビジネスに役立てている。個人のスキルの見える化とネットワークの有効活用により、専門能力の高い人材をすぐさま活用できるという利点は、企業・個人双方にとって有益といえよう。

人手不足の解消から"共創"まで多彩なスタイルで活用できる

 大企業と比較した場合に、知名度で劣る中小企業において人材採用は大きな課題だが、社員数は数名、場合によっては事業者1人といったことも少なくない。これに加えて募集広告費にも限りがあるベンチャー企業において、人材の調達は事業拡大を進める上で大きなハードルとなる。こうした小規模な組織において近年広がっているのが、事業の拡大に必要となるスキルを持った人材を、必要なときに必要な分だけクラウドソーシングで調達する、というスタイルの活用方法である。
 クラウドソーシングでは、アプリの開発、WEBサイトへの新規機能の追加など、一つひとつの仕事をプロジェクト単位で個別に発注するスタイルがスタンダードだが、適切な予算を提示できれば、ベンチャー企業であっても年収にして数千万円クラスのハイスキルな人材の助けを借りることができる。また、25万人の登録者の中には、これまでに同種の仕事に携わった経験のある人材が応募してくることも多く、こうしたプロフェッショナルの知見を得られることで、事業・サービス開発が円滑に進むというメリットもある。
 また、大企業におけるクラウドソーシングの活用では、コ・クリエーション(共創)的な観点での活用も広がっている。企業と利用者が共により良いサービスを考える、共創的な文化は欧米でも急速に広がっているが、今後国内でも、こうした取り組みは広がっていくことが予想される。
 近年の例を挙げると、世界最大級の航空会社であるユナイテッド航空では、新規航路の利用を促進するプロモーション案をクラウドソーシングを活用して募集。380件を超えるアイデアを得た。こうしたアイデア募集・作品募集では、利用者から広くアイデアを募ることができるだけでなく、参加者に企業のことを考えてもらえるきっかけとなるため、適切に利用できれば、社会や見込み顧客と企業の距離を縮めることが可能となる。従来こうした活動には莫大な費用が必要であったが、クラウドソーシングの活用により、数十万円程度の予算で、大企業による大規模なキャンペーンに比肩する取り組みが可能となっている。

マネジメントスキルを持った人材の確保がより重要な時代に

 企業が他ジャンル・異業種で新規事業を展開する局面では、既存事業の守りの運用と新規事業への人材配分は課題となるが、こうした局面でもクラウドソーシングは役立てられる。WEBサーバなどのクラウドサービスは、トラフィックの負荷に応じて即座に容量の増減が可能だが、クラウドソーシングは、いわばそれの人材版であり、「企画スタッフが10人欲しい」「デザイン案が100案欲しい」といった要望であっても、即日実現することもできる。新規事業に必要な人材を調達するだけでなく、社員が抱えている業務をマニュアル化してクラウドソーシングすることで、社員の空いたリソースを新規事業に充てるという利用も可能であるのに加えて、こうしたスキルを持った人材に、作業のマニュアル化を依頼するといった利用も広がっている。また、海外在住の日本人といった海外の人的リソースを活用することも今後、増えていくだろう。
 企業規模に応じた活用を幾つか列挙したが、どのようなスタイルでクラウドソーシングを活用するにしても、重要になるのはクライアントである発注者側のマネジメントスキルである。20万人を超える人材に24時間仕事を依頼できる仕組みを効果的に活用するには、発注者が求める作業内容を正確に言語化して発注し、進捗(しんちょく)状況に応じて適切にコミュニケーションを取っていくマネジメントスキルが求められる。
 矢野経済研究所の調査では、クラウドソーシング市場は2017年に1400億円市場への拡大を予測しており、今後も成長が見込まれている。今後の企業運営には、特定の職域のスキルを持ったプロフェッショナルだけでなく、既存業務の仕組み化やマニュアル化を進め、対面・非対面の環境でも業務をマネジメントできるスキルを持った人材の育成・確保が、競争力を保つ上での重要なテーマとなるであろう。クラウドソーシングという新しい仕組みが企業を変え、その仕組みを縦横無尽に活かすマネジャーの存在が今後の企業成長のカギを握る。


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