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新任担当者のための労働法セミナー [2015.09.24]

第41回 労働契約、労働条件の明示(労働基準法14条、15条)


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 当社では、パートタイマーには、1年の有期契約を更新して働いてもらっています。平成25年に労働契約法が改正され、通算5年で無期労働契約へ転換されることになりました(平成25年4月1日以降の期間を通算)。 「通算5年」の管理をすることが難しいため、今後雇う人は、「5年契約を1回だけして更新をしない」ということを検討しています。法律上、何か問題があれば教えてください。


A1 契約期間は3年を超えることはできません(労働基準法14条)

【解説】

 労働契約は、原則として3年を超える期間を定めることができません。そのため、契約期間を5年とする労働契約を締結することはできません。例外として、①高度の専門的な知識を有するものとして定められた者や、②60歳以上の労働者などは5年までの契約が認められています[図表1]。また、建設工事などでは工事完了に必要な期間を結ぶ場合は3年を超えた契約が認められています。
 もちろん、この制限は1回の労働契約についての期間です。

[図表1]契約期間


■労働条件の明示事項は決められている(労働基準法15条、パートタイム労働法6条)

 使用者は労働契約を締結するときは、労働者に対して、賃金や労働時間などの労働条件を明示することが、義務づけられています。このうち、賃金や労働時間、その他の事項については書面で明示するよう定められています。明示すべき内容は、労働基準法、パートタイム労働法などで決められており、パートタイマーのほうが雇い入れ後、トラブルになることが多いため、社員よりも多くの明示事項が必要とされています[図表2]
 なお、平成27年4月1日からパートタイム労働法の改正により、「相談窓口」がパートタイマーへの明示事項として追加されています。

[図表2]労働条件の明示

 

■パートタイマーは正社員よりも所定労働時間が短い者(パートタイム労働法2条)

 パートタイム労働法では、短時間労働者(パートタイマー)のことを「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い労働者」と定義しています(パートタイム労働法2条)。一般的には、パートタイマー、アルバイト、準社員、契約社員などと呼んでいますが、法律で明確に定められた呼び方はありません。呼び方が異なっても、この条件に当てはまればパートタイム労働法の対象になります。
 しかし、労働時間が正社員と同じでも、パートタイマーと同様の待遇の人をこの法律の対象にしないことにすると、法律の均衡が保てないため、処遇改善においては、パートタイマーと同様に考慮すべきものとされています。
 また、いずれの労働者であっても、労働基準法の対象になることに変わりありません。

■就業規則を交付すればその部分は省略できる

 採用時に、就業規則を交付するのであれば、その内容についてあらためて明示する必要はありません。この場合は、就業規則の適用される部分を明らかにする必要があります。
 その場合でも、次の内容は就業規則によらず、一人ひとりに明示しなければなりません。
①賃金(決定、計算、支払い方法、賃金締め切り、支払い時期)
②労働契約の期間
③就業の場所、従事する業務
④時間外労働の有無

■双方が押印する形式が望ましい

 労働条件を明示する形式としては、大きく次の二通りありますが、法律上はいずれでも構いません。この書類に書いたことは、労働者との約束ごとになるので、注意して記載する必要があります。
①雇用契約書…会社と労働者の双方が記名押印する形式
②労働条件通知書、雇入通知書…会社が一方的に通知する形式
 会社と労働者の双方が記名押印する「雇用契約書」の形式は、その内容について労働者も合意していたという証拠になります。
 後々のトラブルを避けるために、できる限り雇用契約書の形式を使うほうがよいでしょう[図表3]

[図表3]雇用契約書サンプル (クリックして拡大)

 

■事実と異なれば契約解除できる(労働基準法15条2、3項)

 明示された労働条件が事実と異なる場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができるとされています。
 このとき、就業のために住所を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、会社は必要な旅費を負担しなければなりません。


《復習&応用問題》

Q2 当社では、初めて派遣労働者を受け入れます。このときの労働条件は当社で説明するのでしょうか?


A2 派遣労働者に労働条件を明示する義務は派遣元が負います
 派遣労働者と雇用関係にあるのは派遣元です。そのため、派遣先での労働時間、休憩、休日等を含めて、派遣労働者に労働条件を明示する義務は派遣元にあります。

Q3 パートタイマーについては、毎年3月に本人と面談し、4月1日からの1年間の雇用契約を更新することにしています。しかし、担当者によって、手続きが4月中旬までずれこんでしまうことも多く、完璧にできていません。どのような問題がありますか?


A3 更新手続きを厳格にしていなければ、雇い止めの可否判断では不利になります
 有期契約労働者を雇い止め(使用者が期間満了をもって雇用関係を終了させること)した際に、その雇い止めが有効か無効かはさまざまな判断基準によって判断されます。
 このうち、更新手続きがどのようにされてきたかは判断基準の中でも重要です。厳格にしていなければ雇い止めが無効とされる可能性が高くなります。
 貴社のように、3月末で雇用契約期間が切れているのに、そのまま何も言わず4月以降も働き続ける場合、自動的に更新されたと労働者が考えてもやむを得ないことと思われます。この場合、雇い止めの可否判断では不利になります。
 このように、私たちの仕事の中には、重要な意味を持つものがたくさんあります。期限内に完了する必要があるものは、優先的に完了し、日常業務に流されることなく行う必要があります。

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2014年8月にご紹介したものです。


こんなときどうする? Q&Aでわかる! 労働基準法
  特定社会保険労務士 下山智恵子 著/労務行政
  A5判・256頁・1,782円

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●労働時間、解雇、賃金など、問題となりがちな項目について、労働基準法の定め・取り扱い等を図解入りで解説

 第1章  労働基準法とは?
 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
 第3章 「賃金」の基本を押さえる
 第4章 「休暇・休業」の基本を押さえる
 第5章 「妊娠~出産~育児関連、年少者」の基本を押さえる
 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
 第7章 「労働契約・就業規則」の基本を押さえる

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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』『あなたの年金これで安心!―受け取る金額がすぐ分かる』(以上、成美堂出版)など。


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