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新任担当者のための労働法セミナー [2015.05.20]

第37回 就業規則①―就業規則の記載事項(労基法89条)


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 「就業規則」とは何ですか?社内には、さまざまな規程がありますが、就業規則との違いがよく分かりません


A1 就業規則とは、労働者が就業上守るべき規律や労働条件に関することについて定めた規程類の総称です。記載すべき内容が細かく定められており、所轄労働基準監督署への届け出義務や周知義務もあるのが単なる社内規程との違いです


【解説】

 多くの労働者を雇用すれば、守るべき決まりや働く上での労働条件を明確にする必要があります。労働基準法には、これらのことを明確にするために、就業規則を作成し、周知するよう定められています。例えば、会社の労働時間、休日はどのようになっているか、賃金はどのように計算して支払われるかなどを明確にすることにより、労働者は安心して働くことができます。
 また、労働基準法では、就業規則に記載しなければならない項目が定められています(後述)。労働基準監督署への届け出も義務づけられており、違反すれば罰則もあります。そこが単なる社内規程と異なるところです。
 退職金規程のように、別規程となっているものもあります。この場合、別規程として作成したものも就業規則の一部とされています。

■就業規則は労働者の権利と義務を明らかにしたもの

 労働者が会社で雇用されて働く上では、誠実に働く義務や守秘義務を負っています。就業規則は、年次有給休暇をはじめとする労働者の権利だけでなく、働く上での義務も明らかにしたものです[図表1]

[図表1]会社と労働者の義務
会     社 労  働  者
賃金支払い義務…働いた時間に相応の賃金を
        支払わなければならない
安全配慮義務…職場環境が原因で労働者が生
       命や健康を害することのない
       よう配慮しなければならない

           ――など
誠実労働義務…会社の命令に従い、誠実に労
       働しなければならない
秘密保持義務…営業上の秘密を守らなければ
       ならない
兼業禁止義務…在職中に会社と同業他社で働
       いてはならない
職務専念義務…仕事中は職務にのみ専念しな
       ければならない











 また、どのような行動をすれば、どのような制裁を受けるのかを就業規則によって明確にすることができます。これによって、してはいけない行為が明らかとなり、職場の秩序を維持することができます。
 労働者が入社したら、最初に就業規則の内容を説明し、しっかりと教育しておくことが重要です。素直な心のうちに社会生活の基本ルールを教えることは、一生その労働者の心に刻まれることとなるでしょう。

■記載内容は法律の定めに従う(労働基準法89条)

 就業規則に記載する内容は、労働基準法で定められています。その内容は、次の3種類に分けられます[図表2]
 ①絶対的必要記載事項…必ず記載しなければならないもの
 ②相対的必要記載事項…その事業所に定めがあれば記載しなければならないもの
 ③任意記載事項…①,②以外は法令、労働協約に反しない限り自由に記載できる

[図表2]就業規則の記載項目
絶対的必要記載事項(必ず記載しなければならない項目) ①始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇, 交替制の場合は交替の方法等
②賃金の決定、計算、支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期、昇給に
関すること
③退職に関する事項、解雇の事由
相対的必要記載事項(定めがあれば記載しなければならないもの) ①退職金に関すること
②賞与・最低賃金額に関すること
③食費・作業用品などの負担に関すること
④安全衛生に関すること
⑤職業訓練に関すること
⑥災害補償, 業務外の病気・ケガの補助に関すること
⑦表彰, 制裁の定め
⑧その他全労働者に適用される事項に関すること
任意記載事項 上記以外の事項についても、その内容が法令または労働協約に反しないもの であれば任意に記載できる


■年次有給休暇は記載しなければならない

 年次有給休暇を就業規則に記載することを嫌がる会社があります。しかし、これらは「休日・休暇」についてのことであり、絶対的必要記載事項(必ず記載しなければならない事項)です。
 絶対的必要記載事項を記載せずに届け出しようとすると、労働基準監督署から記載するよう命じられます(労働基準法92条2項)。

■実態に合わせて作成する必要がある

 就業規則には、賃金の計算方法も記載しなければなりません。例えば、労働者が「時間外労働手当を受け取っていない」と労働基準監督署に申告すれば、労働基準監督署がまず見るのが就業規則(賃金規程)です。
 変形労働時間制や裁量労働制などの制度を導入していたつもりでも、就業規則に記載がなければ、会社の主張が通らないことがあるのです。
 就業規則は実態に合わせて、注意して作成する必要があります。

■すべての労働者の就業規則を作成する必要がある

 就業規則はパートタイマーを含め、すべての労働者に適用されるように作成する必要があります。正社員用の就業規則と異なる部分があれば、パートタイマー用の就業規則を作成しなければなりません。
 この場合、正社員用の就業規則とパートタイマー用の就業規則を合わせたものが労働基準法上の就業規則となります。


《復習&応用問題》

Q2  どのような場合に就業規則の別規程にすればいいですか?


A2 就業規則に書ききれないものは、別規程を作成しても構いません

 例えば、賃金規程や育児・介護休業規程などは、就業規則とは別に定めることが少なくありません。これらは絶対的必要記載事項(必ず記載しなければならない事項)であり、就業規則の一部です。
 届け出る際には、これらの規程も一緒に届け出する必要があります。

Q3  当社は創業したばかりの会社で退職金規程がありません。先日、労働者から退職金規程を見せてほしいと言われましたが、いつまでに作成しなければなりませんか?


A2 退職金規程は、制度がなければ作成する必要はありません

 退職金制度は、相対的必要記載事項ですから、制度があれば定める必要があります。制度がなければ定める必要はありません。

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2014年4月にご紹介したものです。


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 第1章  労働基準法とは?
 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
 第3章 「賃金」の基本を押さえる
 第4章 「休暇・休業」の基本を押さえる
 第5章 「妊娠~出産~育児関連、年少者」の基本を押さえる
 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
 第7章 「労働契約・就業規則」の基本を押さえる

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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』『あなたの年金これで安心!―受け取る金額がすぐ分かる』(以上、成美堂出版)など。


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