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新任担当者のための労働法セミナー [2015.02.20]

第34回 育児休業、その他の制度①(育児休業、育児短時間勤務)


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 もうすぐ出産のため、休業に入る労働者がいます。いつまで休むことができるのか、教えてください。


A1 産前産後休業を取得した後、原則として、子が1歳に達するまで、育児休業を取得できます(育児・介護休業法5条1項)


 育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)には、子が1歳に達するまで、育児休業を取得することができると定められています。「1歳に達する日」とは、誕生日の前日をいいます(民法143条、年齢計算に関する法律)。
 育児休業は、男性も取得することができます。法改正により、平成22年6月からは専業主婦(夫)や育児休業中の配偶者がいる場合でも、取得することができるようになりました。
 ここでは、育児休業と育児に関するその他の制度を2回にわたり解説します。

【解説】

■育児休業は保育園に空きがなければ1歳6カ月まで取得できる(育児・介護休業法5条3項、育児・介護休業法施行規則4条の2)

 子が1歳に達する日において、次のいずれにも該当する場合は、1歳6カ月に達する日まで育児休業を取得できます。
 ①本人または配偶者が育児休業をしている
 ②保育園の入所申し込みをしているが、入所できない。または、子の養育を行っている
  配偶者が死亡、負傷・疾病、離婚などにより養育することができなくなった

■父親も取得すれば1歳2カ月まで取得できる(パパ・ママ育休プラス)(育児・介護休業法9条の2)

 父親、母親それぞれが育児休業をする場合は子が1歳になるまでですが、両親とも育児休業をするのであれば、1歳2カ月に達する日まで取得することができます。
 ただし、次のすべてに該当する必要があります[図表1]
 ①配偶者が、子が1歳に達する日(誕生日の前日)以前に育児休業をしている
 ②本人の育児休業開始日が子の1歳の誕生日以前である
 ③本人の育児休業開始日が配偶者の育児休業の初日以降である
 育児休業は原則として1人の子につき1回限り取得することができますが、出生後8週間以内に育児休業を取得した父親は、特別な事情がなくても、再度取得することができます。
 なお、この制度を利用して1歳2カ月になったとき、保育園に空きがなければ1歳6カ月まで育児休業を延長することができます。

[図表1] 育児休業(パパ・ママ育休プラス)の具体例
 

■パートタイマーも対象になる(育児・介護休業法5条1項)

 育児休業は、パートタイマーも取得することができます。 ただし、期間雇用者の場合は、次の要件をすべて満たす必要があります。
 ①引き続き1年以上雇用されている
 ②子の1歳の誕生日以降も引き続き雇用される見込みがある
 ③子の2歳の誕生日の前々日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが
  明らかでないこと[図表2]
 形式上は期間を定めて雇用している場合であっても、更新を繰り返し、実質的に期間の定めがないものと異ならない場合は、上記②の「雇用される見込み」の要件を満たします。その判断は難しく、業務の恒常性・臨時性や更新回数、更新手続きなど雇い止めに関する基準により判断されます。

[図表2] 期間雇用者で③の要件を満たさないケース


 また、週の所定労働日数が2日以下の労働者や、入社1年未満の労働者は、労使協定によって対象外とすることができます。
 ※「労使協定」とは、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないとき
  は労働者の過半数を代表する者との書面による協定

 今回および次回に説明する制度の対象者は、それぞれ異なります[図表3]。なお、いずれの制度も日々雇用者は対象になりません。

[図表3] 育児に関する制度の対象者 (クリックして拡大)
 

■年次有給休暇の出勤率は出勤したものとして計算する(労基法39条8項)

 年次有給休暇を取得するには、前1年間の出勤率が8割以上であるという要件を満たす必要があります。産前産後休業や育児休業で働かなかった期間をそのまま計算すると、多くの場合、翌年の権利がなくなってしまいます。
 そのため労基法では、これらの期間を働いたものとして出勤率を計算する特例を定めています。

■育児短時間勤務は子が3歳になるまで取得できる(育児・介護休業法23条1項)

 3歳に満たない子を養育する労働者が希望すれば、1日の労働時間を原則として6時間に短縮する制度を利用することができます。育児休業を取得して復帰した後、または取得せずに働く者も取得することができます。
 ただし、所定労働時間が6時間以下の労働者については、さらに短時間にすることまで求められているわけではなく、対象外となります。また、勤続1年未満の者や週の所定労働日数が2日以下の労働者などは労使協定で対象外とすることができます[図表3]
 なお、「6時間勤務」はちょうど6時間にすることだけでなく、5時間45分から6時間までが許容されます。

■就業規則に定めが必要(労基法89条)

 いずれの制度も、法律を上回る定めをすることはできますが、法律に達しない定めをすることはできません。法律に達しない定めをしたときは、その部分が無効となり、法律どおりになります。
 また、これらの制度は、「労働時間、休日、休暇」の制度に該当し、労基法で「就業規則に記載しなければならないもの」に定められています。
 ただし、「育児休業規程」のように別規程にすることはできます。

《復習&応用問題》

Q2 子が1歳になり、育児休業から復帰した労働者から、「育児短時間勤務を取得したい」という申し出がありました。当社は製造業で、この労働者は以前から流れ作業に従事しています。勤務時間は、8時間のパターンしかないため、申し出を拒否することはできるのでしょうか?


A2 育児短時間勤務が難しい業務は、労使協定で対象外とすることができます。ただし、代わりの制度を導入する必要があります(育児・介護休業法23条2項)

 業務の性質や体制によっては、短時間勤務をすることが難しいものがあり、労使協定により対象外とすることができます。
 指針(平21.12.28 厚労告509 第2の9(3))では、
 ●流れ作業による製造業で、短時間勤務の者を組み込むことが難しい業務
 ●交替制勤務による製造業で、短時間勤務の者を組み込むことが難しい業務
 ●労働者数が少ない事業所で、その業務に従事できる労働者が著しく少ない業務
 などが例として考えられています。

 育児短時間勤務をすることが難しい業務で対象外とする場合は、その代わりの制度として、次のいずれかを導入しなければなりません。
 ①育児休業制度
 ②フレックスタイム制
 ③始業・終業時刻の繰り上げ、繰り下げ(時差出勤)
 ④事業所内保育施設の設置運営 ⑤ベビーシッターの手配、費用負担など
 労働者の希望も聞きながら、別の仕事へ配置転換することも検討されてはいかがでしょうか。

Q3 当社には、社員用の「育児休業規程」がありますが、パートタイマー用のものはありません。このたび、パートタイマーが妊娠し、初めて育児休業を取得したいという申し出がありました。どのように対応すべきでしょうか?なお、社員用の「育児休業規程」には、子が3歳まで育児休業を取得することができると定められています。


A3 パートタイマー用の育児休業規程を作成する必要があります

 育児休業は「絶対的必要記載事項」に該当するため、就業規則(育児休業規程)に定めなければなりません。定めがなかった場合でも、法律で定める要件に合致すれば、パートタイマーでも育児休業を取得する権利があります。
 現在の状況は違法であるだけでなく、社員用の育児休業規程が適用される可能性もあります。もし、適用された場合、法律での定めを上回り、子が3歳になるまで育児休業を取得することができることになります。

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2014年1月にご紹介したものです。


こんなときどうする? Q&Aでわかる! 労働基準法
  特定社会保険労務士 下山智恵子 著/労務行政
  A5判・256頁・1,782円

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 第1章  労働基準法とは?
 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
 第3章 「賃金」の基本を押さえる
 第4章 「休暇・休業」の基本を押さえる
 第5章 「妊娠~出産~育児関連、年少者」の基本を押さえる
 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
 第7章 「労働契約・就業規則」の基本を押さえる

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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』『あなたの年金これで安心!―受け取る金額がすぐ分かる』(以上、成美堂出版)など。


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