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新卒採用の実務ポイント [2014.03.25]

5.人材の明確化とターゲット校

 

HR総研(ProFuture株式会社)

【項目目次】
[1]3年以上定着人材の明確化
[2]トップパフォーマーの人材タイプ
[3]3年後の企業環境から推定する、いま採るべき人材
[4]社会人基礎力という指標とコンピテンシー
[5]コンビテンシーを採用基準と入社後教育に取り入れる
[6]自社に合ったターゲット校の設定

[1]3年以上定着人材の明確化

 「採るべき」人材の要件を明確にするために利用するのは、社員のデータです。最も重要なのは定着率です。中卒・高卒・大卒の定着率は「七五三」と言われ、入社3年後までに離職する割合は、中卒7割、高卒5割、大卒3割と言われます。厚生労働省の「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」を見ても、「七五三」が正しいことが分かります。
 一般的には、一人前の人材として利益に貢献するには3年かかると言われます。企業によって3年内離職率は異なりますが、仮に大卒離職率の平均の3割としても、企業は無駄な人材投資をしたことになります。
 離職率をゼロにすることは困難ですが、辞めるタイプと定着するタイプを社員データから知ることはできます。定着した人材タイプを「採るべき」です。

[2]トップパフォーマーの人材タイプ

 入社後に育ち、職場で好業績を上げる人材をトップパフォーマーと呼びます。この人材タイプも「採るべき」です。
 優秀人材(トップパフォーマー)とそうでない人材の分布には経験則があり「2:6:2」と言われます。優秀層が2割、どちらでもない中間層が6割、業績不振層が2割という割合になるというものです。ただし、この割合は採用選考での評価とは必ずしも一致するわけではありません。選考時には高評価だった人が業績不振層に入ることもあれば、逆に低評価だった人がトップパフォーマーになることもあります。個人の持っているポテンシャルだけでなく、企業の社風や配属された業務、上司・先輩との相性なども非常に影響するからです。
 「採るべき」は、2割の優秀層タイプと6割のボリュームゾーンです。優秀層タイプばかり採用したほうが良さそうにも思えますが、「船頭多くして…」の例にもあるようにそれらを支える役割を担える人材もなくてはならないのが「組織」です。

[3]3年後の企業環境から推定する、いま採るべき人材

 将来からの視点で現在の採用を構想し、「採るべき」人材を規定するのも有効な方法です。たぶん日本企業の多くに共通する課題は「グローバル化」に対応できる人材の獲得でしょう。
 少子高齢化が進む日本で長期的な成長を展望することは困難であり、5年後、10年後を展望すると、成長市場への進出が急務だからです。そこで世界で活躍するグローバル人材の採用と育成が急務となっています。
 楽天とユニクロ(ファーストリテイリング)は2010年に英語社内公用語化を宣言し、必達のTOEICスコアを明確にしました。経営者の決意が固ければ、組織は変わるものです。両社ともに社員のTOEICスコアは飛躍的に高まったはずです。
 ところが、新卒採用では両社のアプローチは異なります。楽天は2013年卒採用でTOEIC700点以上の採用基準を設けていますが、ユニクロは英語力を基準にしていません。
 もっとも楽天やユニクロのような著名企業の例は、採用の参考事例にはなりにくいでしょう。しかし、中堅・中小企業でもグローバル人材は必要になります。平均年齢の高い企業は、社員を英語教育してもコストパフォーマンスが悪いはずです。新卒採用の中から将来のグローバル人材の卵を見つける努力が必要だと思います。特別枠として明示してもいいかもしれません。現在の英語力を問うよりも、海外赴任を恐れない学生を発見してください。

[4]社会人基礎力という指標とコンピテンシー

 初任の採用担当者は初めて聞く言葉かもしれませんが、人事の常識の一つが「社会人基礎力」です。これは2006年に経済産業省が定義した能力指標です。
 「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力」(=社会人基礎力)を、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」という三つの能力として定義したものです。三つの能力はさらに分類され、「前に踏み出す力」は主体性+働きかけ力+実行力、「考え抜く力」は課題発見力+計画力+創造力、「チームで働く力」は発信力+傾聴力+柔軟性+情況把握力+規律性+ストレスコントロール力と定義されています。
 能力の定義も適性検査もたくさんありますが、日本では社会人基礎力が標準指標になっているので、採用基準の人材タイプを言語化したり、面接の採点シートを作成する時に利用すべきだと思います。
 もう一つ、一般ではあまり使われない用語を人事関係者は頻繁に使います。それは「コンビテンシー」という言葉です。

[5]コンビテンシーを採用基準と入社後教育に取り入れる

 コンピテンシーを直訳すると「能力」や「適性」を意味しますが、人事の世界では少し違うニュアンスを含みます。日本の人材評価は「協調性」「積極性」などの能力を対象としていますが、コンピテンシーが見るのは「親密性」「傾聴力」「ムードメーカー」「論理思考」などの行動特性です。潜在能力ではなく、顕在能力を見るのです。
 コンピテンシーが発見されたのは、「外交官の採用時のテスト成績と、配属後の実業績に相関が見られないのはなぜか」という研究からでした。これは企業の採用でも経験することです。入社後に期待が裏切られることもあるし、期待していなかった人材が大化けすることもあります。
 良い業績を継続的に上げ続けるトッププレイヤーに共通して見られる行動特性(態度・思考・判断・選択)がコンピテンシーです。職種によって必要なコンピテンシーは変わります。
 コンピテンシーは採用でも教育でも有益です。採用時の基準として利用できますし、配属の科学的根拠としても使えます。入社後も一定の間隔でテストし、データを蓄積していけば、組織戦略の要になる人材データベースを作ることができます。

[6]自社に合ったターゲット校の設定

 就職ナビからのエントリーが採用母集団を形成する定石と思われがちです。しかし、全国の不特定大学の学生からエントリーを待つという手法には戦略性はありません。
 大学は782校(平成25年度 学校基本調査)もあるので、すべての大学を理解することは困難です。特に採用したい大学を絞り込んで施策を練る必要があります。その施策を継続しながら、新規開拓したい大学を加えていきます。ターゲット大学は多ければよいというものではありません。キャリアセンターや研究室訪問、学内合同セミナーなどへの参加は労力がかかるので、人事の体力と予算を考慮してターゲット大学を絞り込んでください。メーカーなら専攻や研究分野も注視すべきです。

[本稿共同執筆者]
 HR総研(ProFuture株式会社)
   所 長 寺澤 康介 / 主任研究員 松岡 仁 / ライター 佃 光博


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