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新卒採用の実務ポイント [2014.03.25]

4.採用プロセス―プランニング

 

HR総研(ProFuture株式会社)

【項目目次】
[1]経営戦略の理解
[2]採用戦略と採用計画
[3]採用資産の棚卸し
[4]スタート時には大まかな採用数
[5]何を新規にやり、何を継続するか
[6]採用ツール、就職ナビ、合同セミナー、自社セミナーなどの予算化
[7]夏採用・秋採用・通年採用

[1]経営戦略の理解

 新任の採用担当者は若い人が多いはず。若いうちは実務に目が向きがちで、経営は偉い人が関わるもので、自分とは縁がないと考えているかもしれません。
 しかし、人事は経営に直結する部署であり、採用も経営の根幹に関わる業務です。正確に言えば、経営の一環として採用があるのです。採用実務は、経営が目指す理念や目標を満たす人材を獲得するために行われます。
 中小企業の場合、「そんな経営戦略はない」「売り上げの増大が目標」と言うトップもいるでしょうが、言語化されているか否かは別として、数年後に期待する売り上げや社員数のイメージはあるはずです。そして将来に活躍する人材イメージがあるはずです。そのような経営目標を理解した上で採用実務に取り組んでください。
 具体的には上司に質問を投げ掛け、話し合えば良いでしょう。経営戦略に対する理解が浅いと、採用戦略や採用計画、その実行にブレが生じます。根っこの理解がしっかりしていれば、ぶれることはありません。

[2]採用戦略と採用計画

 人事が所管する任務を分類すると、組織全体の運用に関わるもの(人事制度など)と、社員の育成に関わるもの、採用に関わるもの、労務管理に関わるものがあります。組織の運用と育成、労務は組織内の課題ですが、採用(新卒採用)は外部の学生を獲得するものであり、採用戦略が必要になります。採用計画は、採用戦略と同義で使われることもありますが、もともとは別のものです。採用戦略を基に採用計画が企画されると理解してください。
 採用戦略は複数の要素で成り立っていますが、最も重要なのは、「採用したい人材タイプ」です。日本の採用は、面接で最終的な合否を判定しますが、採用したい人材タイプが定められておらず、イメージや印象というあいまいな基準が横行しがちです。もう少し人材タイプを正確に規定しておく必要があります。この人材タイプについては後述します。
 継続的に新卒採用を行っている企業では、採用戦略が暗黙の了解になっているケースがありますが、新任の採用担当者は上司や先輩から聞いて、自社の採用戦略と採用目標を知る必要があります。

[3]採用資産の棚卸し

 「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」はビジネス書によく引用される孫子の兵法で、兵法とは戦略という意味です。採用計画の立案に当たっても、「己を知る」ことが必要です。
どの企業でも、前年採用の総括を行っています。総括の中身は、使った就職ナビ、採用ツールの出来と使い方、採用母集団形成の可否、合同セミナーの効果、単独セミナーへの動員と運営の成否、全体スケジュール、採用学生の質と量、そして内定者フォローの方法などです。これらは自社の採用プロモーションと学生の動き方に関する項目で、採用計画の立案に必要不可欠です。
 しかし、もう少し高い視点で、客観的に自社の採用資産を棚卸しすることをお勧めします。「己」はどのような企業なのか――まず学生から見える「己」を整理します。
 会社概要に記されている項目で、所在地、社員数、業種と取り扱い製品・サービス、主要顧客などがあります。入社後の待遇に関する項目は、給与、昇給昇格システム、評価システム、福利厚生制度の有無があります。公表することは少ないのですが、入社後の定着率も重要な要素です。
 企業全体の「己」を言語化したら、次は採用パワーの点検です。採用担当者の人数はとても重要で、採用戦略の方向を左右します。急に採用数が増えた場合は、自社の採用資産では対応できないので、専門の採用支援企業にアウトソーシングした方が安全です。
 経営者や役員の意欲も重要な採用資産です。トップ層が採用に熱意を抱いている企業は、社員も採用に協力的で、採用に成功している確率がとても高くなります。そして、その逆もまた真です。

[4]スタート時には大まかな採用数

 採用計画の柱は、採用数と質の確保です。採用数の割り出しは、各部署からの新卒要求数を聞いて経営レベルで調整していきますが、計画段階で採用数を決めている企業は皆無のはずです。なぜなら採用計画を立案するのは、学生が入社する2年近く前になるからです。
 経済環境が激変する今日、2年間はとても長い時間です。2年後に必要な人数を正確に予測することはできません。とは言っても、目標がない計画はあり得ません。採用人数の目標数を設定するのですが、精密なものである必要はなく、大まかなボリューム感をつかむ「昨年並み」「微増」「微減」程度の設定からスタートしても良いでしょう。
 採用広報を進めながら当初の設定数を調整し、選考開始の直前に最終的な採用数を決めるくらいのスケジュールの企業が多いようです。

[5]何を新規にやり、何を継続するか

 前年までの採用手法を継続するか変えるかは悩ましい問題です。就職ナビや採用ツール(採用ホームページやパンフレットなど)、合同企業セミナーの参加などを前年通りにやれば、だいたいの応募数は計算できます。新規の方法に変えると、変更点が多ければ多いほど効果(応募数や応募学生タイプ)の予測は困難になります。
 継続と新規のバランスを取りながら、少しずつ改良していくのも一つの手です。なぜなら新卒採用は失敗が許されない業務だからです。失敗した場合、次の挽回タイミングは1年後になってしまいます。
 ただ、毎年何らかの課題をクリアしていく必要があります。社内で話すだけでは気づかない課題も多くあります。人事課題、採用課題についてソリューションを提供する就職情報会社や採用コンサルティング会社もあり、それらの担当者からの情報収集も大切ですが、業種を問わず他社の人事と知り合うことからも多くの学びが得られますので、できるだけ情報交換できる社外の人事ネットワークを構築するように心掛けましょう。

[6]採用ツール、就職ナビ、合同セミナー、自社セミナーなどの予算化

 採用活動は、その一つ一つにコストがかかります。大枠は前年度の予算を参考にして決めていきます。同じ規模の採用活動を同一の手法で行えば、予算はほぼ前年度並みになるはずです。ただ採用ツールの予算は変わります。
 採用ホームページや入社案内などを毎年新規制作する企業はまれです。一般的に3年程度は基本構成を変えずに、部分的に数字や登場する社員を差し替えて使いますので、全面的に新規制作する年と部分差し替えだけの年では、かなり予算に差が出てきます。
 採用予算は、広報活動に関わるものだけでなく、適性検査代、活動交通費・宿泊費、会場代等の選考や大学訪問などの活動に関わるもの、さらには研修や懇親会など内定学生フォローに関わるものなど、いろいろなものがあります。
 2016年卒採用に向けては、早期からインターンシップを実施することで、学生との接点を持とうとする動きが加速しそうです。夏季休暇を利用してのインターンシップの募集は、5月~6月頃より開始されますので、これまで以上に早目の計画が必要となってきます。

[7]夏採用・秋採用・通年採用

 日本経団連の2015年卒採用までの倫理憲章では、大学4年の4月1日が選考開始日となっており、多くの企業が4月から5月にかけて選考活動を行っています。選考をこの時期だけで終えてしまう企業がある一方で、7~8月や9~10月に再度採用活動を行う企業もあります。春に採り切れなかったというよりは、最初からこの時期にも活動をすることを決めているのです。公務員志望からの民間企業へ志望変更する学生や留学生、春の就職活動時から志望が変わった学生、就活スタートが遅れた学生などからも優秀層を採用していこうというものです。新聞社・出版社などのマスコミをはじめ、メーカーなどでもよく行われています。
 さらには、1年を通して応募を受け付け、選考を行う企業もあります。最近では、大学1年生でも応募できる企業も出始めました。これらは選考時期によって、「夏採用」「秋採用」「通年採用」と呼ばれることが多いのですが、別の意味で使用されることもあります。4月に一括して採用するのではなく、通年で採用業務を行い、随時入社を受け入れるという企業も出現しています。留学生や外国人への対応、さらに3年以内の既卒者も新卒採用枠として選考することが求められるようになってきたことによるものです。 

[本稿共同執筆者]
 HR総研(ProFuture株式会社)
   所 長 寺澤 康介 / 主任研究員 松岡 仁 / ライター 佃 光博


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