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新卒採用の実務ポイント [2014.03.25]

1.スケジュールと採用ステップ

 

HR総研(ProFuture株式会社)

【項目目次】
■ 採用計画の策定と、重要性を増す大学との連携
■ 就職ナビのオープンと合同企業セミナー
■ 4月に選考の山場、そして内定者フォロー

■ 採用計画の策定と、重要性を増す大学との連携

 新卒採用はしばしば農業に例えられます。計画を立て、手順を追って、土を耕し、種を播き、苗を育て――と丹精して収穫に至る点は似ていますが、異なるのは期間です。採用計画は、学生が実際に入社する前々年に始まる2年がかりの業務になります。
 現在、一部の企業ではすでに選考が始まっている2015年卒学生の採用計画は、早い企業では2013年の5月ごろから策定が始まっています。策定する時期の目安は、2014年卒採用が一段落した段階です。大手企業の一部は、5月の連休のころに採用が一段落し、採用計画の策定に着手します。中には採用活動と並行して、次年度の採用計画に取り掛かる企業もあります[図表1]

[図表1]採用スケジュール例(クリックして拡大)

 もっとも中堅・中小企業は、大手企業と競合しないように時期をずらし、大手企業の採用選考が終わってから選考に入ることがあるので、企業によって採用計画のスタート時期は変わります。
 採用計画の策定では、まずこれまでの採用活動の総括を行い、良かった点は継続し、改善すべき点を改良しながら採用計画を策定します。
 大枠の計画が決まったら全体のスケジュールを確認し、準備を始めます。最も急がなければならないのは、サマーインターンシップの計画・準備です。インターンシップには、大学との連携で行うもの(大学の正規科目として単位認定されることが多い)と企業独自で実施し、学生個人からの申し込みにより受け入れるものがあり、期間も形態もさまざまです。いずれのケースでも実施時期が夏期休暇のことが多いので、準備を早くから始め、広報も急がなくてはなりません。
 キャリアセンターや研究室への訪問も、採用計画の策定と準備の期間に行います。内定した学生がいればその報告を兼ねて、次年度に向けての情報収集を行います。大学で得られる情報は重要です。キャリアセンターが予定している学内企業セミナーの計画を聞き、セミナーへの参加を申し出るとともに、それも採用計画に取り込まなければなりません。
 最近は大学との関係を重視する企業が増えています。親しい大学への訪問を定期的に行うことで、その大学の学生に対する採用力が高まります。
 HRプロが2013年末に行った調査で、「(採用広報開始前の) 11月末までの活動内容」を聞いたところ、最も多かったのは「キャリアセンター訪問」(25%)で、「学内企業セミナーへの参加」、「インターンシップ」、「研究室訪問」、「大学のキャリア支援講座への講師派遣」など大学を重視する内容が上位を占めています[図表2]。

[図表2]11月までの活動内容(複数回答)
 

■ 就職ナビのオープンと合同企業セミナー

 次は、採用ツールの制作や就職ナビの準備です。採用における最も基本的なツールは採用ホームページであり、一般的には就職ナビのオープンと同時に公開します。他の重要な採用ツールとして入社案内(入社応募者配布用の会社紹介資料)をはじめとする印刷物や会社紹介DVDなどがあります。中でも印刷物は、合同企業セミナー、学内セミナー、キャリアセンターで配布されることが多いので、採用ホームページと並行して制作する必要があります。
 これらの採用ツールの制作は、豊富な他社事例やノウハウを持つ採用支援会社などに発注することが多くなっています。企画を考え、取材を始めて完成するまでには2カ月以上を要しますので、12月1日の就職ナビオープンに間に合わせるためには、できるだけ早めに制作会社を選定し、余裕のあるスケジュールで制作しなければなりません。
 また、早い時期から学生に、業界や自社への興味を喚起すべく、サマーインターンシップの報告や、ビジネス構造や職種紹介などのプレコンテンツページを公開する企業も増えてきています。
 12月1日に就職ナビがオープンすると、いよいよ採用シーズンの到来です。就職ナビや採用ホームページを経由して学生が企業に登録申し込みすることを「プレエントリー」、エントリーシート等による正式応募を「本エントリー」、プレエントリーで集まる学生のリストを「採用母集団」と呼びます。
 採用活動は、採用母集団の形成から始まります。採用母集団の最大化と学生の志望度アップは、採用を成功させるために必須です。そこで、プレエントリーできる期間を長くするために、就職ナビのオープンと同時にプレエントリーの受付を始める企業が多いのです。
 ただし、中にはプレエントリー受付を遅らせる企業もあります。その理由はさまざまです。まず志望度の低い「とりあえずプレエントリー」を避けるという採用戦略から受付を遅らせる企業があります。また採用計画がまだはっきりしないという企業もあるでしょう。
 12月1日からは就職ナビのオープンだけでなく、合同企業セミナーも開催されるようになります。合同企業セミナーには、キャリアセンターや生協が企画して大学で開かれるものと、就職情報会社が開催するものがあります。いずれも採用広報の手段として有効ですが、それぞれの特徴を理解して、うまく使い分ける必要があります。
 就職情報会社が主催する合同企業セミナーには、さまざまな大学の学生が一堂に集まりますので、一度に幅広い対象に広報することができます。中には5万名もの学生が押し掛け、入場制限がされたセミナーもあります。これらの合同企業セミナーの多くは、大学の授業の妨げにならないように週末に開催されます。
 一方、大学で開催される学内企業セミナーは、その大学の学生だけが対象となりますので、学生集客数はそれほど多くありませんが、採用ターゲット大学の学生とより深いコミュニケーションをとることができます。同日に複数の大学で学内セミナーが開催される場合もありますので、人事部内で担当者ごとに手分けして参画するケースもあります。
 合同セミナーまでは採用シーズンの前哨戦ですが、年を越して1月の後期試験が終わり、2月に入ると一気に本番を迎えます。合同企業セミナーまでは集団見合いのような関係だった学生と企業は、1対1で相対することになります。
 1月末から個別企業セミナーを実施する企業が増え始め、2月から3月にかけてセミナー開催のヤマ場になります。同時に本エントリー受付やWebテストも行われます。
 本エントリーや個別セミナーの開始を学生に伝えるのは、就職ナビや採用ホームページを通じてですが、これらの情報はプレエントリーした学生だけに告知されることも多くなっています。

■ 4月に選考の山場、そして内定者フォロー

 3月から5月にかけて採用選考は佳境を迎えます。外資系やテレビ局などはもっと早く選考を進めますが、経団連の倫理憲章が「選考の開始は4月以降」と定めていますので、倫理憲章に賛同している企業をはじめ、多くの大手企業が順守しています。もっとも中堅中小企業の場合は、大手企業との競合を避け、5月以降に面接する企業が多くなります。

[図表3]面接選考開始時期(予定)

 HRプロによる企業調査では、2014年卒採用の面接選考の開始時期について、全体では「3月」(23%)、「4月」(23%)、「5月以降」(16%)となっていますが、1000人以上の大手企業では「3月」(25%)、「4月」(35%)、「5月以降」(9%)と4月に集中し、300人以下の中小企業では「3月」(19%)、「4月」(18%)、「5月以降」(20%)と、5月以降が最も多くなっています[図表3]。2014年卒採用では、全体的に選考時期が前倒しとなっており、2015年卒採用ではさらにこの傾向は強くなると予測されています。
 1回だけの面接で内定を出す企業は少なく、ほとんどの場合は複数回の面接を行います。人事も面接に同席しますが、人事以外の現場の若手社員や管理職、取締役に面接官をお願いすることが多くなります。
 そして採用計画数を内定数が超えた段階で、その年度の採用活動は一段落することになりますが、この段階で採用担当者は頭を悩ますことになります。必ず内定を辞退する学生が現れるからです。その辞退率を予測して内定数を上積みする必要があります。
 採用計画数を満たす数の学生に内定を出しても、まだ採用担当者の仕事は終わっていません。翌年4月の入社までのフォローが必要となります。メールやSNSでのやり取りや、定期的に呼び出して話すことも有効でしょう。内定学生を集めて同期意識を植え付けたり、若手社員を交えた懇親会を企画することもあります。
 内定辞退を抑制するための内定者フォローは特に9月までが重要で、10月上旬の内定式が1つの区切りとなり、以降は、入社後の早期戦略化をはかるべく、eラーニングなどによる入社前研修を行う企業も増えてきています。

【COLUMN】
「倫理憲章」から「指針」へ

 1990年代までの新卒採用には、日程は時代により変遷がありましたが、「就職協定」という規制がありました。しかし、就職協定で定めた日程が企業に守られず、1997年に半世紀近い歴史にピリオドが打たれました。

 就職協定に代わって登場したのが、経団連が2004年10月に公表した「2005年度・新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」です。採用選考活動では学事日程を尊重すること、採用選考の開始は4月以降にすること、正式な内定日は10月1日以降にすることが定められました。
 多くの大企業の選考が4月に始まるのは、倫理憲章の規定があるからです。また10月1日より前の内定を「内々定」と呼ぶのは、倫理憲章が「正式な内定は10月1日以降」と定めているからです。
 倫理憲章では採用選考を4月以降としながらも、就職ナビがオープンする10月1日に企業の採用広報が開始され、学生の就職活動がスタートしていました。
 しかし、その後、採用広報の早期化はさらに加速し、3年生の夏季休暇に行われるインターンシップが普及してくると、その告知が行われる6月が実質的なスタートという状況になっていきました。スタートが早期化しても、選考が行われるのは翌年の冬から春にかけてであり、4年の夏を過ぎても内定が得られない学生が多数存在するようになっていきました。つまり学生の就職活動の早期化と長期化が同時に起こったのです。

 この事態を改善するために、2010年の冬に、商社の団体である日本貿易会、経済同友会、経団連がそれぞれ早期化の是正案を出し、翌2011年3月に経団連より、「採用広報は12月1日以降に開始、選考活動は4月1日以降に開始」という規制を盛り込んだ改定倫理憲章が公表されました。改定倫理憲章を受け、就職ナビの運営会社団体である日本就職情報出版懇話会が、就職ナビの12月1日オープンで合意したのです。
 この改定倫理憲章は2015年卒採用まで適用され、2016年卒採用からは政府提案を経団連が受け入れるかたちで、新しいスケジュールとなります。採用広報の解禁は12月から3月へ、面接選考開始は4月から8月へと後ろ倒しとなります。内定開始日は10月1日のままとなりますので、選考期間が大きく短縮されることになります。これまでの「倫理憲章」は、経団連傘下の約830社が賛同企業として表明していましたが、新しいスケジュールは「指針」として経団連傘下の全企業に順守を求めるものになっています。ただし、新経済連盟などは早くも順守しない意向を表明するなど、新しいスケジュールでの採用活動は波乱の様相を呈しています。

[本稿共同執筆者]
 HR総研(ProFuture株式会社)
   所 長 寺澤 康介 / 主任研究員 松岡 仁 / ライター 佃 光博


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