jin-jour(ジンジュール) |人材育成、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス対策など 人事の視点から、働く人と会社の関係を元気にする情報を発信

ログイン
MENU

メニュー

×

新任担当者のための労働法セミナー [2013.12.19]

第20回 解雇の予告、解雇制限(労働基準法19条、20条、21条)


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 労働者を解雇したいと考えています。今日付けで解雇をすることを、今日労働者に通知しようと思いますが、可能ですか?


A1 解雇するときは、労働基準法により、30日前までの予告が義務付けられています。30日前に予告しない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を払う必要があります(労働基準法20条)


 解雇とは、会社が労働者との雇用契約を終了することをいいます。解雇する場合には、30日前までに予告することが労働基準法で定められています。それができず、その日に辞めてもらうのであれば、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。また、平均賃金を支払った場合、支払った日数分だけ予告期間を短縮することができます[図表1]
 この場合の日数は労働日数ではなく、暦日数であり、休日も含みます。
 なお、平均賃金は、次の算式で計算します(賞与は含まない。詳細は第18回をご参照ください)

   直前3カ月間の賃金÷3カ月間の暦日数   

 



 労働基準法は、強行規定ですから、違反することはできません(第1回参照)。
 ただし、解雇する場合には、労働基準法だけでなく、さまざまな法律に注意しなければなりません。また、使用者側の勝手な解雇は、裁判等で「解雇権の濫用」と判断されることになります。
 総合労働相談コーナーに寄せられた相談の内訳をみると、解雇と退職勧奨を合わせた割合は全体の約4分の1を占めており、紛争の発端になる可能性が高いことが分かります(厚生労働省 平成24年度個別労働紛争解決制度施行状況
 本稿では、まずは労働基準法ではどうなっているのか、その他の法律、判例ではどうなっているのかを数回に渡って解説していきます。

【解説】

■業務上災害で休業中の人や産前産後休業中の人は解雇できない(労働基準法19条)

 30日前に予告しても、業務上災害により休業中の労働者(その後30日間を含む)と産前産後休業中の労働者(その後30日間を含む)を解雇することはできません[図表2]


■労働者に重大な問題がある場合は、解雇予告手当はいらない

 例えば、盗取や横領、傷害など、労働者に重大な問題がある場合は、労働基準監督署の「解雇予告手当除外認定」を受ければ、30日前までの予告または解雇予告手当を支払うことなく、解雇することができます。
 除外認定は、次の場合に受けることができると例示されていますが、具体的には個別に判断されます(昭23.11.11基発1637、昭31.3.1基発111)。
①事業場における盗取、横領、傷害など刑法犯に該当する行為のあった場合
②賭博、風紀紊乱(びんらん)等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合
③雇い入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合
④他の事業場へ転職した場合
⑤原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
⑥出勤不良または出欠常ならず、数回に渡って注意を受けても改めない場合

 除外認定は、労働基準監督署が判断するものであり、次回ご説明する懲戒解雇が正当かどうかの判断とは異なります。この認定を受けられなかったから懲戒解雇することができない、というわけではありません。

■大震災で事業の継続ができなくなったときも解雇予告手当はいらない(労働基準法20条)

 天災事変その他やむを得ない理由で事業の継続ができなくなった場合も同様に、労働基準監督署の認定を受ければ、解雇予告手当を払うことなくすぐに解雇することができます。
 「やむを得ない事由」とは、天災事変と同程度のものをいい、資材や資金が不足したことによるものや取引先が休業したことによるものなどは含まれません。

■採用後14日以内の解雇は解雇予告手当はいらない(労働基準法21条)

 入社後すぐに「採用ミス」に気付くことがあります。この場合は、14日以内であれば解雇予告手当なしに解雇できます[図表3]。14日を1日でも超えた場合は原則どおり30日前までの予告または解雇予告手当が必要です。この場合の日数は、「労働日数」ではなく、「暦日数」で数えます。
 また、2カ月以内の期間雇用者も、解雇予告手当なしに解雇できます。ただし、契約期間を超えて引き続き雇用されている場合には、原則どおり30日前までの予告または解雇予告手当が必要です。


《復習&応用問題》

Q2 解雇予告手当は、いつ支払えばよいでしょうか?


A2 解雇予告手当は解雇通知と同時に支払います

 解雇予告手当は、解雇の申し渡しと同時に支払うようにします。支払いがなければ、無効とされることがあるので、注意が必要です。

Q3 解雇日を30日後として解雇通知をしました。予告期間中、労働者にどのようにして過ごしてもらえばよいですか?


A3 予告期間中も普通に働いてもらいます

 解雇予告をしても、予告期間中は、通常と何ら変わりません。労働者には誠実に働く義務があり、会社には賃金を支払う義務があります。

Q4 労働基準法19~21条以外の解雇に関する法律を教えてください


A4 さまざまな法律で差別的な解雇は禁止されています

 労働基準法19~21条以外にも、次のとおり、さまざまな法律で差別的な解雇は禁止されています。
①国籍、信条などを理由としたもの(労働基準法3条)
②企画業務型裁量労働制の対象労働者となることに同意しないことを理由としたもの(労働基準法38条の4)
③労働基準監督署などに申告したことを理由としたもの(労働基準法104条ほか)
④女性または男性であることを理由とした差別的な取り扱い(男女雇用機会均等法8条1項)
⑤婚姻、妊娠、出産、産前産後休業を理由としたもの(男女雇用機会均等法9条2項、3項)
⑥育児休業・介護休業を申し出・取得したこと(育児・介護休業法10条、16条)
⑦労働者が労働組合に加入したことや労働組合活動をしたこと(労働組合法7条1号、4号)

 中でも、特に注意すべきものが、⑦労働組合法の禁止事項です。この法律では、労働者が労働組合に加入したことや組合活動をしたことなどによって、差別したり、解雇したりすることを禁止しています(不当労働行為)。労働組合に加入した人を解雇する場合には、差別のつもりではなくても、差別と判断されてしまうことに注意が必要です。過去の裁判でも、会社が負けるケースが多いのです。
 最近は、一人で合同労働組合に加入することも多く、労働組合に加入した人を解雇する場合は、この点に留意しなければなりません。
 次回以降では、引き続き、退職、解雇に関するその他の法律を解説します。


※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2012年11月にご紹介したものです。


こんなときどうする? Q&Aでわかる! 労働基準法
  特定社会保険労務士 下山智恵子 著/労務行政
  A5判・256頁・1,782円

●人事・総務担当者なら知っておきたい、よくあるケース・実務のポイントを123問のQ&A形式で解説!

●労働時間、解雇、賃金など、問題となりがちな項目について、労働基準法の定め・取り扱い等を図解入りで解説

 第1章  労働基準法とは?
 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
 第3章 「賃金」の基本を押さえる
 第4章 「休暇・休業」の基本を押さえる
 第5章 「妊娠~出産~育児関連、年少者」の基本を押さえる
 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
 第7章 「労働契約・就業規則」の基本を押さえる

書籍の詳細、内容見本の閲覧、ご注文はこちらをクリックしてください

下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』『あなたの年金これで安心!―受け取る金額がすぐ分かる』(以上、成美堂出版)など。


労務管理、人事評価、ハラスメント対応など充実のコース!

労務行政eラーニング 詳しくはこちら

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

ログイン

×

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品