jin-jour(ジンジュール) |人材育成、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス対策など 人事の視点から、働く人と会社の関係を元気にする情報を発信

ログイン
MENU

メニュー

×

使える!統計講座 【深瀬勝範】 [2013.03.25]

第53回・完 統計データの効率的な入手と正しい活用


使える! 統計講座(53・完)
深瀬勝範 ふかせかつのり(社会保険労務士)

 2010年8月から連載が始まった本コラムも、今回が最終回となります。これまで50以上の統計調査を紹介し、回帰分析などの統計的手法について説明してきましたが、最後に、統計データの入手や使い方について、おさらいしたいと思います。

1.統計データを効率的に入手するために

 インターネットには、さまざまな統計データが公開されています。「政府統計の総合窓口e-Stat」では、各府省等が実施した563に上る統計調査の結果(2013年3月15日現在)が掲載されており、また、業界団体や民間企業等のウェブサイトにも、その機関が実施した統計調査の結果が公開されています。
 今や、調べたいことがあれば、インターネットを通して、さまざまな情報を入手することができます。むしろ、最近では、公開されている統計データの数が膨大になりすぎて、自分が調べたい情報を探すことに多くの時間を取られる、あるいは情報が掲載されているウェブサイトまでたどり着けないなどの問題が生じています。
 このような問題の発生を防止し、自分が調べたい統計データを効率的に入手するためには、次のようなことを行うとよいでしょう。

(1)自分がよく使うデータが掲載されている統計調査のURLをパソコンに登録する

 例えば、インターネットで「賃金水準」を調べるときに、いちいち用語検索を使っていると、ヒットしたウェブサイトの中から適切なものを選ぶだけで、多くの時間を取られてしまいます。しかし、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を「お気に入り」などに登録しておけば、短時間で確実に賃金水準に関するデータを入手できます。

 [図表1]は、労働や賃金関連のデータが掲載されている統計調査のリストです。これを参考にして、自分がよく使う統計調査のウェブサイトについては、URLをパソコン(使用しているインターネットブラウザ)に登録しておくとよいでしょう。


[図表1]人事関係者がよく使う統計調査のリスト

(2)日ごろから新聞や専門誌に掲載されている統計データをチェックする

 よく使う統計データの数そのものを増やす努力も必要です。そのためには、日ごろから新聞やビジネス誌などに目を通し、気になるデータを見つけたら、それが掲載されている統計調査をチェックするように心がけましょう。
 例えば、「労働分配率」に関する新聞記事のデータの出所として「経済産業省 企業活動基本統計調査」が挙げられていれば、インターネットで、その統計調査を閲覧してみましょう。そこには、労働分配率以外にも、売上高や利益、事業組織別従業者数、売上高研究開発費比率など、仕事に使えそうなデータがたくさん掲載されていることが分かるはずです。このように、日ごろから統計データをチェックして、「このデータは、この統計に掲載されている」という知識を広げておくと、情報収集力が飛躍的に高まります。

2.データを正しく活用するために

 企業業績、賃金水準、労働条件……。ビジネスパーソンは、業務において、さまざまな統計データを使います。今や、統計データを正しく活用できるかどうかが、業務の質と効率を決定する重要な要因になっていると言えるでしょう。
 データを正しく活用するためには、次の点に注意することが必要です。

(1)統計データの調査対象や集計方法を確認する
 一般的に、財務状況や賃金水準は、企業規模や業種などによって異なります。したがって、統計データとの比較分析を行う場合には、自社と同じ(または近い)規模、業種を対象に集計された統計データを使うようにしなければなりません。
 また、統計データの集計方法には、データの平均値をとったもの、一定条件を設定して理論的に算出したもの(例:モデル賃金)などの種類があります。集計方法によって結果も異なってきますから、基本的には、入手した統計データの集計方法に合わせて、自社のデータを集計するようにしなければなりません。
 政府統計であれば、「調査の概要」などに調査対象や集計方法が明記されています。統計を使うときには、最初にこれを見て「自社の比較分析に使えるデータかどうか」、「自社のデータをどのように算出するか」という点について確認してください。

(2)データ分析スキルをマスターする
 統計データを入手したら、パソコンの表計算ソフトを利用して、グラフ化する、統計的手法による分析を行うなどのデータ加工を行います。したがって、統計データを使う者は、データ分析スキルをマスターしておくことが必要です。
 このコラムでは、以下のとおり、パソコンによるグラフ化や統計的手法の使い方について説明しています。これらの手法を実際の場面で使えるようになれば、業務に必要なデータ分析スキルは一通りマスターできたものと考えられます。

掲載回タイトル解説内容
第2回給与水準を調べる②  平均値を使うときの注意点
第3回給与水準を調べる③  散布図の作成と使い方
第4回給与水準を調べる④  分位数、分散系数の算出と使い方
第5回給与水準を調べる⑤  度数分布図の作成と使い方
第8回統計的手法を使う①  中央値、最頻値、標準偏差などの算出と使い方
第9回統計的手法を使う②  加重平均、移動平均、線形補間などの使い方
第10回統計的手法を使う③  相関係数の算出、回帰分析の進め方
第11回統計的手法を使う④  回帰分析によるモデル賃金の算出

[図表2]本コラムで解説したデータ分析手法

(3)判断力を磨く
 例えば、「正社員の所定内賃金の平均額が、自社は32万円、業界水準は30万円だった」とすれば、「自社の賃金は業界水準と比べて高めである」という事実が分かります。
 しかし、この事実が判明しただけでは、分析結果としては不十分です。
 データ分析においては、「自社の事業運営や労働者にとって、その事実が持つ意味を明らかにすること」が重要です。この例の場合、会社が「優秀な人材を確保したい」と考えていれば、高めの賃金水準は「望ましい状態」と言えるかもしれませんが、「人件費負担が重く、利益を出せない」状況であれば、「問題がある」と捉えられることになります。
 データ分析を行う者は、「分析結果がどのような意味を持つか」という判断までできるようになることが必要です。社会情勢や会社の動きに注意を払い、物事の本質を見極めようとする気持ちを大切にして、自らの判断力に磨きをかけるように心がけましょう。

3.最後に

 このコラムでは、さまざまな統計調査や統計的手法について説明してきましたが、それらは、ほんの一部のものに過ぎません。また、これからも、さまざまな機関によって新たな統計調査が行われ、パソコンの性能向上により新たなデータ分析手法が開発されることでしょう。読者の皆さまにおかれましては、ここで解説したデータや手法を参考にしながら、今後は、ご自身で、情報収集力、データ分析スキル、そして、判断力の向上に努めていただきたいと思います。
 2年半にわたり連載してきた本コラムも、今回が最終回となります。

 長い間、ご愛読ありがとうございました。

深瀬勝範(ふかせ・かつのり)Profile
社会保険労務士
 1962年神奈川県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、2001年より現職。営利企業、社会福祉法人、学校法人等を対象に人事制度の設計、事業計画の策定等のコンサルティングを実施中。


管理職のeラーニング講座、お試しできます

無料トライアル受付中

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

ログイン

×

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品