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使える!統計講座 【深瀬勝範】 [2013.02.19]

第52回 要員計画を策定するときに使える統計データ ~労働生産性・直間比率、求人倍率のチェック~


使える! 統計講座(52)
深瀬勝範 ふかせかつのり(社会保険労務士)

 新年度のスタートに当たり、人事部門は、人員配置や新規採用者数などを盛り込んだ「要員計画」を策定します。今回は、要員計画策定の流れに沿って、それぞれの段階でチェックするべき統計データについて説明します。

1.要員計画策定の流れとチェックするべき統計データ

 要員計画を策定するときには、まず、各部門の責任者から人材の過不足の状況について話を聞き、部門別の要員数を定めた「要員計画案」を作成します。
 ただし、この段階の要員計画案は、各部門の要望を集計しただけのものですから、本当に必要な人数よりも多くなっているものと考えられます。そこで、要員計画案から算出される「労働生産性」や「直間比率」を業界平均などと比較して、それをもとに各部門の要員の調整を行います。
 各部門の要員を確定させると、「どのような人材を、あと何人採用しなければならないか」が明確になります。ただし、将来的に人手不足が見込まれる状況であれば、今のうちに多めに人材を採用しておくほうがよいかもしれません。そこで、「求人倍率」などから労働市場の状況を見て、さらに要員計画案の調整を行います。
 このように要員計画の策定では、要員数を調整する根拠として、統計データを効果的に使っていくことが必要になります。それでは、要員計画の策定の流れにそって、チェックするべき統計データを見ていきましょう。

[図表1]要員計画策定の流れとチェックするべき統計データ

2.労働生産性を分析するときに使える統計データ

 「労働生産性」とは、「付加価値額÷常時従業者数」で算出される指標です。付加価値額とは、企業が新たに産み出した価値の総額ですから、「労働生産性=従業者1人当たりのもうけ」と捉えればよいでしょう。自社の従業員規模は同業他社とあまり変わらないのに、労働生産性が業界平均と比べて低ければ、「付加価値額に対して従業者数が多い」ということを示しています。この場合には、人数を減らすように要員計画の調整を行うことが必要になります。
 産業別の労働生産性のデータが、経済産業省の「企業活動基本調査」に掲載されていますから、自社のそれとの比較を行ってみましょう[図表2]。なお、この統計調査における「付加価値額」および「常時従業者数」の定義・算式は、それぞれ次のとおりとなっています。自社の労働生産性も、この方法に基づいて算出してください。

●付加価値額=営業利益+減価償却費+給与総額+福利厚生費+動産・不動産賃借料+租税公課
●常時従業者数:有給役員、常用雇用者(正社員、正職員、パート、アルバイト、嘱託、契約社員等の呼称にかかわらず、1カ月を超える雇用契約者と、当該年度末または最寄りの決算期の前2カ月においてそれぞれ18日以上雇用した者)をいう

[図表2]主な産業の労働生産性(2010、2011年度)
 

3.直間比率を分析するときに使える統計データ

 要員計画の調整を行うときには、どの部門の人員を減らす(増やす)のかが問題になります。大ざっぱに言えば、生産や販売活動に携わっている要員(直接人員)と、管理や事務業務に従事している要員(間接人員)のどちらを調整するのか、決めなければなりません。このようなときには、直接人員と間接人員の比率(直間比率)を業界水準と比較してみるとよいでしょう。
 前掲の「企業活動基本調査」の確報・データには、「産業別、企業数、事業組織別従業者数」のデータが掲載されています。これを見れば、産業ごとの「本社・本店部門」と「それ以外の部門」の人員構成などが分かります。
 [図表3]は、「企業活動基本調査」のデータから算出した、主な産業の直間比率です。ここでは、「本社・本店の現業部門」と「本社・本店以外」を直接人員として、一方、「本社・本店の本社機能部門(調査・企画部門、情報処理部門、研究開発部門、国際事業部門、その他)」を間接人員としてカウントしました。自社の直間比率を算出して、このデータと照らし合わせれば、要員計画を調整する方向性が見えてくるでしょう。

[図表3]主な産業の直間比率(2010年度)
 

4.労働市場の状況をチェックするときに使える統計データ

 労働市場の状況をチェックするときには、厚生労働省の「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」で公表されている「求人倍率」等を見るとよいでしょう。求人倍率は、「(公共職業安定所における)求人数÷求職者数」で、これが「1」を上回っていれば、求職者1人に対して1件以上の求人があることになります。
 求人倍率が「1」を上回り、かつ上昇傾向が続いている状態であれば、今後は、人を採用することが困難になっていくことが見込まれます。この場合は、将来的に必要となる人材を今のうちに確保しておくことも検討する必要があります。
 求人倍率には、その月内に新たに受け付けた求職者数と求人数によって算出した「新規求人倍率」と、前月から繰り越された求職者数、求人数を含めて算出した「有効求人倍率」の2種類があります。要員計画の参考データに使うときには、労働市場の変化に素早く反応する「新規求人倍率」のほうを重点的にチェックするとよいでしょう。
 なお、求人倍率の算出においては、新規学卒者のデータは除外されています。したがって、新卒の採用計画を策定するときには、求人倍率ではなく、厚生労働省「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」等で公表される新卒者の就職・内定状況に関するデータをチェックしてください。

[図表4]新規求人倍率の推移(2008年1月~2012年12月、新規学卒者を除きパートタイムを含む)

<ここで使った統計調査>

・経済産業省「企業活動基本調査」
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/index.html
・厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1.html
・厚生労働省「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/131-1.html

 なお、高校卒業(予定)者の就職(内定)状況は下記を参照のこと。
・文部科学省「高等学校卒業(予定)者の就職(内定)状況に関する調査」
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kousotsu/1263034.htm

深瀬勝範(ふかせ・かつのり)Profile
社会保険労務士
 1962年神奈川県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、2001年より現職。営利企業、社会福祉法人、学校法人等を対象に人事制度の設計、事業計画の策定等のコンサルティングを実施中。


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