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人事パーソン要チェック! 新刊ホンネ書評 [2013.03.21]

[23] 『正社員消滅時代の人事改革』―今野浩一郎


日本経済新聞出版社 2012年12月



 著者は、バブル崩壊以降の20年は、人事管理の分野でも「失われた20年」であったが、伝統的な人事管理に代わる新しい人事管理を構築するための準備期間でもあったとし、本書において、これまでの経験を通して得られた成果を組み合わせて、新しい人事管理のモデルを構想することを試みています。

 伝統的な人事管理に代わる新しいモデルは、時代の流れからすると成果主義を軸に形成されることになる一方で、ワークライフバランス、女性活用、パートタイマー問題等、働く側のニーズの変化にどう対応するかが重要な課題となるとし、それらを踏まえ、経営のニーズと社員のニーズのそれぞれの観点から、人事管理の方向性を検討しています。

 まず、経営のニーズ面から、経営環境の変化に伴い企業の求める人材や働き方がどのように変わるかを確認し、伝統的人事管理の特徴を整理した上で、それが限界を迎えていることを検証しています。さらに社員のニーズの観点から、労働市場の変化を背景に社員の働くニーズと求める働き方を確認し、こうした変化にも、伝統的な人事管理では対応できないとしています。

 本書では、女性や高齢社員、派遣社員、パート社員など、働く場所・時間・仕事について何らかの制約を持つ社員を「制約社員」と呼び、どこへでも異動し、長時間労働もいとわない正社員を「無制約社員」と呼んでいます。本書でいう伝統的な人事管理とは、正社員とパート、現役社員と高齢社員、総合職と一般職といった、制約社員と無制約社員の間で異なる人事管理をすることを基本としてきた「1国2制度」の人事管理を指しています。

 多様化する労働市場の中で、無制約社員は少数派となり、制約社員が労働者の多数派になる傾向は今後さらに強まるであろうとし、基幹社員の制約社員化(および制約社員の基幹社員化)の進行により、従来の「1国2制度」の人事管理の基盤は崩壊寸前にあり、これからとるべき方向は「多元型」であって、制約社員を基幹社員として活用することを第一にやるべきであるとしています。

 そのための人事管理の新たな方向性として、仕事配分・人材配置を交渉化・市場化ベースとすることと、仕事基準の報酬管理に一元化することの二つの改革指針を提示し、前者については目標管理制度、自己申告制度、社内公募制度や教育訓練に落とし込み、後者についてはパート・高齢社員を含めた社員格付け制度や、仕事ベースの統一的な賃金制度の方向性を示しています。

 人事管理の教科書的著作などでも知られる著者ですが、本書からは、それらテキストの“最新版”的意味合いも感じられ、人事管理を学ぶ人が現況と課題を俯瞰(ふかん)する上では、まさにその道の権威によるテキストだと思います。

 また、企業に対し、「1国2制度」を続けるのか、「多元型」への転換を図るのか、パラダイム転換の要否を問うている内容でもあり、経営ニーズ、社員ニーズの変化に沿って人事管理や報酬管理の枠組みを見直す際の「思考の補助線」にもなる本です。各章で内容に呼応する先進企業の事例を紹介するなどの配慮もされています。

 やや気になったのはタイトルで(「正社員消滅時代」というのは、編集者がつけたのか?)、帯にある「『制約社員』を生かす会社になる」のほうをタイトルにすべきだったでしょう。

<本書籍の書評マップ&評価> 下の画像をクリックすると拡大表示になります

 

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2013年2月にご紹介したものです。

【本欄 執筆者紹介】
 和田泰明 わだ やすあき

 和田人事企画事務所 人事・賃金コンサルタント、社会保険労務士

1981年 中堅広告代理店に入社(早稲田大学第一文学部卒) 
1987年 同社人事部へ配転
1995年 同社人事部長 
1999年 社会保険労務士試験合格、2000年 行政書士試験合格 
2001年 広告代理店を退職、同社顧問(独立人事コンサルタントに) 
2002年 日本マンパワー認定人事コンサルタント 
2003年 社会保険労務士開業登録(13030300号)「和田人事企画事務所」 
2004年 NPO生涯教育認定キャリア・コンサルタント 
2006年 特定社会保険労務士試験(紛争解決手続代理業務試験)合格 
    
1994-1995年 日経連職務分析センター(現日本経団連人事賃金センター)「年俸制研究部会」委員 
2006年- 中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定試験問題[人事・人材開発部門]」策定委員 
2009年 早稲田大学オープン教育センター「企業法務概論」ゲストスピーカー 

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