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名言、故事成語に学ぶ人材マネジメントの本質 [2013.01.16]

第7回「小事が大事」「凡事徹底」~小さなことの積み重ねこそが、人事制度を機能させる


名言、故事成語に学ぶ人材マネジメントの本質(7)
太期健三郎 だいごけんざぶろう
(ワークデザイン研究所 代表)

 人事コンサルティングを行っていると、人事制度設計には多くの時間と労力を費やしている一方で、制度運用に関する「小さなこと」をおろそかにする企業を目にすることがあります。そのような企業では人事制度はたいてい機能していません。それは、とてももったいないことだと思います。
 「小事が大事」「凡事徹底」など「小さなこと」の大切さを説く言葉はたくさんあります。

 今回のコラムでは、「当たり前のことをきちんと行う日々の運用」「制度の詳細設計」など、人材マネジメントに必要な「小さいけれど大切なこと」を考えていきましょう。
 すばらしい人事理念、人事戦略を持ち、多くの時間、労力、お金をかけて良い人事制度を作ったものの、十分に機能していないという企業は少なくありません。その理由の一つ(※)は、「小さなこと」をおろそかにしていることです。ここで言う「小さなこと」には「①日々の運用、小さな行動」と「②制度の細部へのこだわり」の二つがあります。
※もう一つの理由として、自社の「魂」、つまり「企業理念、ビジョン、戦略」を込めずに人事制度を作ってしまうこと(当連載「第5回「仏作って魂入れず」~人事制度が機能しない理由とその解決策」参照)があります。併せてご覧ください。 

①日々の運用、小さな行動(当たり前のことを愚直に続ける)

 「小事が大事(小事が大事を生む)」ということわざがあります。「大きな目標を実現しようと思うなら、小さなことを怠ってはいけない」という意味です。
 「凡事徹底」という四字熟語もあります。これは、「ごく平凡な当たり前のことを徹底して継続して実行することが大切だ」というものです。
 人事制度は、小さなことを確実に実行し続けて初めて機能するものです。

 この場合の小さなことの例をいくつか示してみましょう。
・新任管理者に、管理者の役割、人事評価、労働法の基本など、人事制度を円滑に、効果的に運用するために必要最低限の教育を行う
・管理者は部下の日常の仕事ぶり、言動を観察して、評価、育成を行う
・評価シートなど各種帳票は、正しく、漏れなく、期日までに提出させる
・OJT(職場内訓練)、評価面談などは現場任せにせず、人事部門がサポートし、実行状況をモニタリングする
―――などです。

 一つひとつは基本的なことばかりですが、忙しい、手間がかかるなどの理由で十分に行えていないものもあるのではないでしょうか。

②制度を構成する細部にこだわる

 「小さなことの大切さ」についての言葉をいくつか紹介してきましたが、少しトーンの異なるものとして「枝葉末節」という四字熟語があります。
 これは、主要でない些細(ささい)なことを示した言葉で、良い意味に使われることはほとんどありません。「木の幹」が主要なものであるのに対して、「枝葉」は枝と葉、「末節」は木の末のほうの節(ふし)の意で、主要でないものの例えです。
 しかし人材マネジメントでは「木の幹」である人事制度(評価制度、給与制度など)だけでなく、「枝葉末節」である細部(細かいルール、規定、帳票など)も大切なものでおろそかにすることはできません。

 「神は細部に宿る」(God is in the details)というフレーズを聞いたことがありますか?(ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエ〔1886-1969〕の言葉だという説や、ドイツの美術史家アビ・ヴァールブルグ〔1866-1929〕の言葉だという説など)言葉の出所には諸説あるのですが、「細かなディテールをおろそかにしては全体の美しさは得られない」「細かくこだわった細部こそが作品の本質を決める」という意味です。

 自動車を例に考えてみましょう。多くのドライバーに支持されている車は、コンセプトやデザインが良いだけではありません。乗り心地、操作性、安全性、価格などのさまざまな視点で、ハンドル、シート、各種機器から、数万点とも言われる部品の一つひとつまで考え抜かれています。 
 人事制度も評価制度、給与制度、教育制度などの概要だけでなく、制度を運営する詳細ルール、関連システム、各種シートのフォーマットなど詳細を考え抜いて作り込まれる必要があります。

 次のような視点で自社の人事制度の詳細をチェックしてみてください。

・制度の運用ルール、詳細規定などは明確に定め、伝達されているか?

・評価項目、評価基準などの内容、表現、言葉遣いは適切か?

・人事評価シートは項目、レイアウトなど使いやすいものになっているか?

・就業規則は制度の改訂、労働法の法改正が反映されているか?

 細かすぎる、重箱の隅をつつくようだ――と思うかもしれません。しかし、社員が迷うことなくスムーズに使える、運用する負担が少ない、など小さいことの積み重ねが運用に大きく影響を与えます。
 「能力主義人事制度」「成果主義賃金」「グローバル人材の育成」などのお題目は並べても、それを実現する具体的な方法を明確にし、実行していかなければ絵に描いた餅(もち)になってしまうのです。
 人材マネジメントが機能している企業――もっとシンプルに言えば「人を上手に活用している企業」――は特別な人事制度を運用しているわけではありません。当たり前のことを愚直に実行し続けているのです。

■まとめ

 今回のコラムのポイントを整理してみましょう。

「小事が大事を生む」「凡事徹底」「枝葉末節」

1.人事制度が機能させるには、小さなことをおろそかにしない

2.当たり前のことを愚直に行い続ける

3.制度を構成する細部を考え抜いて作り込む

 当たり前のこと、小さなことを確実に積み重ねる。これが人材マネジメントの正道であり、最短の道だと思います。

太期健三郎(だいごけんざぶろう)profile
1969生まれ。神奈川県横浜市出身。人事コンサルタント/ビジネス書作家。三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)、株式会社ミスミ、株式会社グロービスを経て、ワークデザイン研究所代表に就任。コンサルタントおよび現場実務の両者の立場で一貫して人材マネジメントとキャリアデザインに取り組む。主著『ビジネス思考が身につく本』(明日香出版社)。
ワークデザイン研究所のホームページ http://work-d.org/
ワークデザイン研究所代表のブログ http://blog.livedoor.jp/worklabo/


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