jin-jour(ジンジュール) |人材育成、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス対策など 人事の視点から、働く人と会社の関係を元気にする情報を発信

ログイン
MENU

メニュー

×

名言、故事成語に学ぶ人材マネジメントの本質 [2012.12.12]

第5回「仏作って魂入れず」~人事制度が機能しない理由とその解決策


名言、故事成語に学ぶ人材マネジメントの本質(5)
太期健三郎 だいごけんざぶろう
(ワークデザイン研究所 代表)

 時間をかけて一生懸命に人事制度を作ったけれど意図したようには機能しない。多くの企業で悩まれている問題ではないでしょうか。その大きな理由の一つは「仏作って魂入れず」だからです。形ある仏像はいわば人事制度であり、“魂”は無形の「企業理念、ビジョン、戦略」です。今回は人事制度に自社の「魂」を入れることの大切さと、魂の込め方を説明します。

 「仏作って魂入れず」。よく見聞きする有名なことわざです。
 元の意味は「仏像を作っても魂を入れなければ、単なる木や石と同じである」であり、そこから転じて「せっかく良いものを作っても、大事なものが抜け落ちていれば、作った努力もむだになる」ということです。
 仏像に魂を入れることを「開眼」と言い、実際に最後に眼(め)を描き入れて開眼の儀式を行うそうです。「仏作って眼(まなこ)を入れず」「仏作っても開眼せねば木の切れも同然」ということわざもあります。
 人事制度も、このことわざと同じです。いくら一生懸命に作ったとしても、自社の魂が込められていなければ機能しません。「絵に描いた餅(もち)」となってしまいます。

■仏(仏像)=人事制度は、全体としての整合性が不可欠

 「仏」(仏像)に当たる人事制度は、評価制度、教育制度、報酬制度など個々の制度で構成されています。それらは独立したものではなく、有機的に連動して機能するものです。
 各制度が整合性を持ち、連動して運用されなければ、頭、胴体、手、足が個別では美しいのに、全体として“ちぐはぐな”仏像のようになってしまいます。

■魂=企業理念、ビジョン、経営戦略

 人事制度に入れる「魂」とは、企業理念、ビジョン、経営戦略です。
 経営戦略を実現するための道具(マネジメントツール)が人事制度です(※)。その人事制度に、魂が込められていなければ目的どおりに機能するわけがありません。
 そう考えると「仏作って→魂を入れる」のではなく「魂があって→仏を作る」という順序になるのでしょう。

※詳しくは、前連載コラム「人事パーソンのための実践!ビジネスフレームワーク」(第5回)「そもそも、人材マネジメントとは?」で説明しています。ぜひご参照ください。

[図表]人事制度(仏)と「企業理念、ビジョン、経営戦略」(魂)の関係

■仏(人事制度)に魂(企業理念、ビジョン、戦略)を込める方法

 人事制度は自社の企業理念、ビジョン、戦略を実現するためのものですから、でき合いの人事制度を適用したり、他社で機能している人事制度をそのまま真似(まね)して導入しても十分には機能しません。100社あれば100通りの人事制度が求められる、完全なオーダーメード、オリジナルのものと言えます。
 それでは、魂の入った人事制度を作るためにはどうすれば良いでしょう? 「(1)魂を明確にする」「(2)全社を巻き込んで作る」という二つのポイントがあります。

(1)理念、ビジョン、戦略を明確にする

 企業理念、経営ビジョン、経営戦略などは、多くの場合あいまいな言葉で表現されています。その性格上仕方のないことですが、人事制度を設計する際には、これらを具体的な言葉に落とし込んで明確にする必要があります。
 それが明確になれば、

①経営戦略を実現するための人材像(必要な知識、スキル、経験など)を具体化し

②その人材像を育成するための教育制度を具体的に考え

③知識、スキル、行動、成果を評価する制度を作り

④評価した各項目をどのように給与に反映させるかという処遇制度を設計する

――というプロセスで整合性のある人事制度を作ることができます。

(2)全社を巻き込んで人事制度を作る

 人事制度は、人事部門だけで設計され、経営陣が承認し、運用が開始されるということが少なくありません。これでは、魂が入った人事制度にすることは難しいです。「人事が作った机上の制度だ」「複雑すぎて運用できない」「現場、顧客の実態を反映していない」などの不満が出るのは想像に難くないでしょう。
 各部門、各階層の社員の声を聞き、社内を巻き込んで制度を作るべきです。そうすると、人事制度に対して「会社から一方的に押しつけられた」という思いがなくなり、「自分たちの意見、現場の実態が反映された、自分たちが関与して作った」と受けとめられ、機能するはずです。

もちろん、時間と手間はかかります。しかし、経営戦略を実現するための「魂」の入った人事制度を作り、運用するには一番の近道となるでしょう。「急がば回れ」です。
 これは人事制度に限らず、企業の全ての制度、しくみ、システムを作るときに当てはまる原理原則でしょう。

■まとめ

 「仏作って魂入れず」としてはならない。これが人事制度を作るときの要諦であることを理解いただけたと思います。
 今回のコラムのポイントを整理してみましょう。

「仏作って魂入れず」

1.人事制度に経営理念、ビジョン、戦略が込められていなければ十分には機能しない

2.理念、ビジョン、戦略を明確にした上で、人事制度に入れる

3.魂を入れるために、全社を巻き込んで人事制度を作る=造る

太期健三郎(だいごけんざぶろう)profile
1969生まれ。神奈川県横浜市出身。人事コンサルタント/ビジネス書作家。三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)、株式会社ミスミ、株式会社グロービスを経て、ワークデザイン研究所代表に就任。コンサルタントおよび現場実務の両者の立場で一貫して人材マネジメントとキャリアデザインに取り組む。主著『ビジネス思考が身につく本』(明日香出版社)。
ワークデザイン研究所のホームページ http://work-d.org/
ワークデザイン研究所代表のブログ http://blog.livedoor.jp/worklabo/


労務管理、人事評価、ハラスメント対応など充実のコース!

労務行政eラーニング 詳しくはこちら

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

シリーズ記事

キーワード

ログイン

×

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品