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新任担当者のための労働法セミナー [2013.05.15]

第13回 時間外労働、休日労働(1) 〔労働基準法36条〕


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 36協定(時間外、休日労働に関する協定届)というのは、何ですか?


A1 協定を締結、届け出することで時間外労働、休日労働をさせても法律違反とは
     ならないものです


 本稿第2回で、原則として1日8時間、1週40時間を超えて働かせてはならないと説明しました。しかし、これでは急な受注に対応できず、現実的ではありません。
 36協定(時間外、休日労働に関する協定届)は、締結し、所轄労働基準監督署へ届け出することにより、協定時間の範囲内で時間外労働、休日労働をさせても法律違反とはならない効果を持つものです。

【解説】

■時間外労働の上限が決められている

 時間外労働には限度時間が決められています[図表1]。限度時間は、法定労働時間を超えて働かせることができる時間の上限です。
 ここでいう時間外労働は1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超える労働のことです。例えば、1日の所定労働時間が7時間の会社で、8時間働いた場合の「法内残業」1時間は「時間外労働」として計算しません。また、法定外休日労働は時間外労働に含みますが、法定休日労働は含みません(法定休日労働は「休日労働」として協定します)。例えば、土曜日、日曜日の2日間が休日の会社で日曜日を法定休日とすると、土曜日は法定外休日となります。
 協定時間を決める際には、この限度時間を守る必要があります。この限度時間を超えた36協定を届け出ようとすると、労働基準監督署は、時間短縮のための指導をすることになっています。

[図表1] 時間外労働の限度時間

 限度時間は、以下の業務には適用されません。
○工作物の建設等の事業
○自動車の運転の業務
○新技術・新商品等の研究開発の業務
○厚生労働省労働基準局が指定する業務(ただし、1年間の限度時間は適用)
協定届の記載例は、[図表2]のとおりです。

[図表2] 時間外労働、休日労働に関する協定届の記載例と注意事項

                           [クリックして拡大]

■特に有害な業務は1日の上限も決められている

 エックス線業務や異常気圧下での業務など健康上特に有害な業務として厚生労働省が定めたものは、1日の上限も2時間までと決められています。

■満18歳未満の者は時間外労働をさせることができない

 さらに、満18歳未満の者は時間外労働や休日労働をさせることはできません[図表3]。また、育児中の者から申し出があれば、1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせることはできません。

[図表3] 時間外労働、休日労働に関して特に制限のある労働者


《復習&応用問題》

Q2 無期限の36協定を締結、届け出することはできませんか?


A2 無期限の36協定を届け出することはできません

 36協定には、有効期間を定める必要があり、無期限の協定を締結、届け出することはできません(労働基準法施行規則16条2項)。
有効期間は、労使で決定すればよいですが、1年間とすることが望ましいとされています(平11.3.31 基発169)。
 有効期間が切れた36協定には効力がなく、それ以降も時間外、休日労働させることは法違反となります。実務担当者としては、毎年、期限が切れないように協定、届け出しなければなりません。
 なお、本社で各事業場の分も一括して届け出る方法もあります。

Q3 震災の影響で、36協定を締結していない労働者に時間外労働をしてもらう必要が生じました。労働基準法で定められた災害の特例では、36協定を締結、届け出なしで時間外労働をさせることができるとされていますが、該当すると考えてよいでしょうか?


A3 災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合に限られ、個別に判断されます(労働基準法第33条)

 災害その他避けることのできない事由により臨時的に時間外、休日労働を命じる必要がある場合は、労働基準監督署の許可を得た上でさせることができます。事態が窮迫している場合は、事後に遅滞なく届け出すれば命じることができます。この場合は36協定の締結、届け出は必要ありません。
 ただし、その理由に該当するものは、厳格に運用すべきであり、次の基準によるものとされています。(昭22.9.13 発基17、昭26.10.11 基発696)
①単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと
②急病、ボイラーの破裂その他人命または公益を保護するための必要は認めること
③事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械の故障の修理は認めるが、通常予見される部分的な修理、定期的な手入れは認めないこと
④電圧低下により保安等の必要がある場合は認めること
 災害でも発生から相当程度期間が経過し、臨時の必要がないと考えられる場合は認められません。


※本記事は、人事専門資料誌「労政時報」の購読者限定サイト『WEB労政時報』にて2012年4月に掲載したものです


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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』(以上、成美堂出版)など。


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