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新任担当者のための労働法セミナー [2012.12.04]

第8回 専門業務型裁量労働制

 

下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士



今回のクエスチョン

Q1 裁量労働制とは、どのような制度ですか?


A1 裁量労働制は、業務の遂行方法や時間配分を労働者の裁量に委ねるもので、実際の労働時間にかかわらず、労使協定で定めた時間を労働したものとみなす制度です


 研究開発やシステム開発など、働いた成果を「時間」で測る従来の制度が合わなくなってきた業務があります。長時間働いた者に対して多くの賃金を支払うよりも、短時間でも会社に貢献してくれた者に多くの賃金を支払いたいという考え方が主流になってきました。裁量労働制は、このような考え方から創(つく)られた制度です。
 裁量労働制では、労働者に業務の遂行の手段や時間配分を具体的に指示することはできません。
 裁量労働制には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制がありますが、企画業務型裁量労働制については、次回ご説明します。

【解説】

■労使協定で協定した時間を働いたものとみなす制度

 裁量労働制は、実際に働いた時間には関係なく、労使協定で定めた時間を働いたものとみなす制度です。
 例えば、「1日のみなし労働時間数」を8時間と設定した場合、ある日の実際の労働時間が4時間であろうと10時間であろうと8時間働いたものとみなします。8時間を超過した労働に対する割増賃金を支払う義務はなく、逆に8時間に不足する時間の賃金を減額することもできません。
 また、働かなかった日に、働いたものとみなす制度ではありません。
 なお、みなし時間が9時間である場合など、法定労働時間を超える場合は時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要です。

■対象業務が限定されている

 専門業務型裁量労働制を採用できる業務は、[図表1]の19業務に限定されており、これ以外の業務は認められていません労働基準法施行規則24条の2の2、平9.2.14 労働省告示7号)。

 対象業務に該当しても、裁量労働制の対象にならない業務もあります。例えば、上記①について、研究開発業務に従事する者を補助する助手や、②についてプログラムの設計・作成を行うプログラマーは含まれません。また、業務に付随して雑用や清掃のみを行う者も対象になりません。
 このように、各業務の詳細については、通達で示されています(平6.1.4 基発1、平9.2.14 基発93など)。

■労使協定の締結・届け出が必要

 専門業務型裁量労働制を採用する場合は、労使協定を締結し、労働基準監督署へ届け出しなければなりません。

協定内容
(1)対象業務
(2)1日のみなし労働時間数
(3)業務の遂行方法、時間配分など具体的な指示をしないこと
(4)対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉確保措置
(5)対象労働者からの苦情処理に関する措置
(6)労使協定の有効期間(3年以内とすることが望ましい)
 なお、上記(4)(5)に関連して、対象労働者の労働時間の状況、健康・福祉確保措置の状況、苦情処理措置の状況の記録については、労使協定の有効期間中およびその期間満了後3年間は保存しなければならない(労働基準法施行規則24条の2の2)。

 「健康・福祉確保措置」とは、例えば[図表2]のような措置が考えられます。

 裁量労働制では、どれだけ働いても労使協定で定めた時間を働いたとみなします。そのため、長時間労働の温床になりやすく、健康に支障を来すことが問題になりました。
そのため、労働者の健康を維持するため、勤務状況や健康状態に応じた「健康・福祉確保措置」を労使協定に定めることが義務付けられています。

《復習&応用問題》

Q2 裁量労働制の労働者に、仕事の経過を報告させたり、会議に出席することを命じることはできますか?


A2 業務遂行の手段・時間配分の決定等に関すること以外については、指示しても構いません。また、労働時間のうちの限られた範囲で、会議への出席を命ずることも可能です

 裁量労働制では、業務の遂行の手段および時間配分の決定等に関して、労働者に対して使用者が具体的な指示をしないことが要件とされています。しかし、これら以外のことについては、使用者は労働者に対して必要な指示をすることができます。
 具体的には、業務の開始時に業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、中途において経過の報告を受けつつ、これらの基本的事項について変更の指示をすることができるとされています(平11.12.27 労働省告示149)。
 これは、企画業務型裁量労働制についての指針に示されている内容ですが、専門業務型裁量労働制においても同様であると考えられます。
 また、全体として、業務遂行の手段・時間配分の決定等について裁量が維持されていれば、会議への出席等を命じることも可能です。

Q3 裁量労働制では、休日や深夜労働についての決まりはどうなっていますか? 

 
A3 休日や深夜労働の決まりは、裁量労働制でも除外されません


 裁量労働制は、働いた日に一定の時間を働いたものとみなす、「労働時間の算定」についての制度です。そのため、休日の決まりは除外されるわけではなく、休日に働かせた場合は、3割5分増以上の割増賃金を支払う必要が生じます。
 同様に、深夜労働(午後10時から午前5時)についての決まりも除外されず、働かせた場合は2割5分増以上の割増賃金を支払わなければなりません。
 業務の遂行方法や時間配分を労働者に委ねた結果、遅い時間に仕事を始めて深夜に及んだ者のほうが、早い時間に仕事を始めて深夜に及ばなかった者よりも賃金が高くなるということが起こります。また、深夜労働は健康を害する可能性もあります。
 このようなことを防ぐために、休日や深夜に働くことまで労働者の判断に任せずに、事前に会社の許可を得るようにしておく方法が考えられます。


※本記事は、人事専門資料誌「労政時報」の購読者限定サイト『WEB労政時報』にて2011年11月に掲載したものです


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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』(以上、成美堂出版)など。


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