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採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント [2012.08.15]

2012年8月

 


HRプロ株式会社/HR総合調査研究所
代表 寺澤康介 てらざわ こうすけ
(調査・編集: 主任研究員 松岡 仁)


 HRプロ代表の寺澤康介です。
 先日、株式会社ファーストリテイリング、グループ執行役員人事担当の若林隆広さんに、ユニクログループの人材採用に関するお話を伺いました。
 新卒・中途、国籍を区別せず、学年すら問わないという同社のユニークでオープンな「通年採用」は、極めて革新的な人材採用手法であるとの評価により、「第1回日本HRチャレンジ大賞」のイノベーション賞を受賞しました。
 若林さんのお話を伺いながら強く感じたことが二つあります。
 一つ目は、人材採用の領域においても同社のチャレンジスピリッツの旺盛さが示されていること。横並び意識の強い伝統的な日本の大企業ではなかなか見られません。
 二つ目は経営陣の人材採用に対するコミットの強さです。今年7月7日に開催された採用イベント「希望塾」には、柳井社長以下、国内にいる役員が全員参加してプレゼンテーションを行ったとのことです。
 トップの人材採用に対する意気込み、そしてベンチャースピリッツ。ユニクロの強さの理由の一つを見たような気がしました。

 さて、今回のテーマは「2014年度新卒採用戦線の予測」です。企業、学生、大学キャリアセンターに本年5月に実施したアンケート調査を基に、2014年度新卒採用の動向予測の主要なポイントを解説したいと思います。

■学校対策が最も重要な施策

 採用担当者に2014年度新卒採用で最も力を入れることを聞いたところ、1位が「学内企業説明会」(47%)となり、2位の「就職ナビ」(36%)を大きく引き離しました[図表1]

 昨年までは「就職ナビ」が1位で、今年初めて「学内企業説明会」になりました。企業規模別で見ても、すべての企業規模で「学内企業説明会」が1位で、「1001名以上」の大企業では、「就職ナビ」は「個別企業セミナー」「採用ホームページ」に次いで4位にまで落ち込んでいます。
 先回までの連載で、就職ナビ離れや大学キャリアセンター対策について書きましたが、このデータはその流れを端的に表していると言えるでしょう。
 「学内企業説明会」重視は、ターゲット校採用のさらなる浸透を意味しています。就職ナビによる「広く浅い」広報活動から、学校を絞っての「狭く深い」広報活動(コミュニケーション活動)へとかじは切られているのです。
 採用広報開始(就職ナビの正式オープン)以前の施策を聞いたところ、1位「インターンシップ」(48%)、2位「採用ホームページの開設」(43%)に続いて、3位「キャリアセンター訪問」(41%)、4位「学内企業セミナーへの参加」(38%)と、やはり学校対策が上位に来ています[図表2]



 大学キャリアセンター向けの調査によると、今年届いた求人票数の前年比では、「変わらない」が44%で最も多いものの、「増えた」とする大学も42%あり、増加傾向と言えます。採用担当者への調査を見ても、「提出していない」企業は14%に過ぎず、「前年と同程度あるいはそれ以上の数の大学に提出する」が72%と、増加傾向にあります。この傾向は2014年卒向けにも続くものと思われます。

■水面下の動きが広がる可能性

 7月17日、経団連は2014年度入社対象の倫理憲章について、2013年度入社対象の内容から変更しないことを正式に発表しました。その以前から前年に変えたばかりの倫理憲章の変更はないだろうとの見方が強く、企業は、採用広報開始12月1日、採用選考開始4月1日を前提に準備していましたので、この発表による混乱は特にないでしょう。
 採用担当者に「貴社の採用広報開始はいつか」を聞いた設問でも、昨年よりも多い60%以上が「12月」と回答しています[図表3]。一方、「採用選考開始はいつか」を聞いた設問では興味深い結果が出ています[図表4]。1位はやはりダントツで「4月」ですが、「4月」「5月」はポイントを落とし、「12月以前」「3月」と回答した企業が増えています。特に「12月以前」はポイントを伸ばし、10%近くに達しています。しかも、企業規模別に見ると大企業の方にその傾向が強く出ています。




 12月以前には大学主催のキャリア支援講座への講師派遣も自粛するなど、倫理憲章の規定をさらに厳格に解釈・運用しようとする動きがあります。ただその一方で、早期から採用活動を開始する外資系企業に、多くの優秀層学生を囲い込まれているとの危機感も強くなっており、採用につながるインターンシップの実施のほか、OB・OG等を介して水面下で採用選考を進める動きが強まるかもしれません。

■インターンシップの活用拡大

 インターンシップの実施予定では、調査段階では「未定」との回答が42%を占めるものの、「2013年度向けはやったが、2014年度向けはやらない予定」という企業はほとんどないのに対して、「2013年度向けにはやらなかったが、2014年度向けはやる予定」とする企業が5%あるなど、インターンシップを実施する企業は増えそうです[図表5]。企業規模別では、規模が大きくなるほど実施率は高くなっています。



 実施するインターンシップのタイプ(期間)では、「1週間程度」「2週間程度」が多くなっています[図表6]。経団連が、倫理憲章の参考資料で示している「就業体験としてのインターンシップの在り方」で、その期間を「5日以上」としているほか、大学の正課としてのインターンシップの多くが「2週間以上」となっていることによります。かつて盛んに実施されていた「OneDayインターンシップ」は減少傾向にあります。また、数は少ないものの「選考直結型インターンシップ」も予定されています。学生の多く(79%)は「選考直結型インターンシップ」への参加を望んでおり、「導入を検討してみたい」とする企業も30%もあり、実際にはもう少し多くのインターンシップが「選考直結型」となってくる可能性もあります。
 また、有給での長期インターンシップや、コーオプ教育(大学のカリキュラムと企業での職業体験を統合した実践的キャリア教育)なども徐々に広がりを見せてくるものと思われます。

■12月~3月の動き

 学内企業説明会や合同企業説明会への参加で母集団を形成し、自社の個別企業セミナーへと誘導するわけですが、ターゲット学生へのグリップ力をいかに高めるかが課題になってきます。採用ホームページの更新だけでは心もとなく、大学別セミナーやOB・OG懇談会の開催など、リアルなコミュニケーション活動が増えてくるものと思われます。
 また、エントリーシートの提出時期やWebテストの受検時期を早めてターゲットを絞る動きや、プレ選考的なイベント、リクルーターによる予備選考などが増えてくるのではないかと考えています。

■4月以降の動き

 今年の選考活動では、人気業界である総合商社の選考が例年になく早く行われましたが、この動きは来年も変わらないでしょう。あるいはもっと早くなるかもしれません。今年の4月に内定取得者に対して実施したアンケートで、「就職活動を継続するかどうか」を聞いたところ、「内定したので終了する」と回答した学生(文系)は昨年の42%から56%と14ポイントも伸びています[図表7]。採用広報開始から選考開始までの期間が短くなったことで、接触できている企業数が減ったこともあり、すんなり内定を受け入れる学生が増えたということです。つまり、「早く内定を出した者勝ち」的な様相を呈しているとも言えます。



 4月に入ってからの本選考期間を短縮するために、3月までに予備選考を実施しておく必要が出てくるわけです。予備選考によってターゲット学生を絞り込み、その層への対応を手厚くし、確実に本選考に誘導する施策をとってくるでしょう。結果的に、4月上旬にはもう内定を手にする学生も現れ、4月前半内定組と後半組が今年以上に分かれてくるものと思われます。
 大手企業の選考活動(内定出し)のヤマ場は今年よりも早くなり、準大手や中堅・中小企業の選考活動(内定出し)の時期も早まってくる可能性があると考えた方がいいでしょう。

■課題、新たな取り組み

 最後に、採用担当者から寄せられた「2014年度新卒採用の課題」と「新しい取り組みや制度」を見てみましょう。

・親に対する弊社の認知(5001名以上、旅行・ホテル)
・早期からの広報活動への注力(501~1000名、輸送機器・自動車)
・海外展開を見据えた人材確保(501~1000名、輸送機器・自動車)
・学校を絞り込みPR(101~300名、百貨店・ストア・専門店)
・求める人材像のいる場所を見つけ出すこと(301~500名、精密機器)
・他社の様子を見つつ、説明会開始時期、選考開始時期など、スケジュールをフレキシブルに変えていきたい(51~100名、情報処理・ソフトウエア)
・全社を巻き込んだ採用活動(1001~5000名、機械)
・専門性の高い学生を早めに囲い込む(101~300名、化学)
・職種限定の採用を強化(501~1000名、印刷)
・就職倍率をいかに低く抑えるか(効率的、効果的採用活動の構築)(501~1000名、フードサービス)
・先輩新卒社員による説明やディスカッション(成長を目の当たりにしてもらう)(101~300名、情報サービス・インターネット関連)
・採用面談者のスキルアップ(501~1000名、信販・クレジット・リース・消費者金融)

 2013年度入社対象の採用活動では、採用広報開始日以前の企業と学生の接触について厳格に運用され、広報開始から選考開始までの期間が短くなったことで、就職意識、業界・企業研究、志望動機などがこれまでの学生と比べて希薄になったと言われました。この傾向は2014年度の採用活動でも変わることはないでしょう。
 上記の最後のコメントにもありますように、説明会・セミナーだけでなく、面接もまた企業広報、志望動機形成の場であると考え、面接官への勉強会・研修を実施されることをお勧めします。

110506terazawa_pic.jpgのサムネール画像寺澤 康介 てらざわ こうすけ
HRプロ株式会社 代表取締役

86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(現HRプロ)を設立、代表取締役に就任。約20年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
http://www.hrpro.co.jp/


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