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新任担当者のための労働法セミナー [2012.10.10]

第6回 フレックスタイム制


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士


 


今回のクエスチョン

Q1 フレックスタイム制とは、どのような制度ですか?


A1 始終業時刻を労働者が自分で決めることができる制度です


 フレックスタイム制は、始終業時刻を労働者が自分で決めることができる制度です。
 1カ月以内の一定期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、定めておいた総労働時間よりも多く働いたときに時間外労働となります。この総労働時間の枠内であれば、1日8時間、1週40時間(特例事業場は44時間)を超えて働かせても、時間外労働になりません。

【解説】

■総労働時間と実働時間の過不足を清算する
 
フレックスタイム制は、一定期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業・終業時刻を選択して働く制度です[図表1]

※[図表1~4]はクリックすると別ウィンドウで拡大してご覧いただけます

 

 清算期間は1カ月以内であれば1週間単位、2週間単位などもできますが、賃金計算期間に合わせた1カ月としておくと給与計算が簡単です。
 フレックスタイム制で法定の時間外労働となる時間は、清算期間の法定労働時間の総枠を超えた時間です。

  清算期間の法定労働時間の総枠=40時間×清算期間の暦日数÷7


 清算期間に実際に働いた時間を合計して、法定労働時間の総枠との過不足を清算します。
(1)超過した時間
 賃金として支払います。支払わずに翌月に繰り越すことは「賃金全額払いの原則」(労働基準法24条)に違反することになるため、できません。
(2)不足した時間
 賃金を減額します。減額せずに、不足した時間を翌月に繰り越しても構いません。ただし、翌月の法定労働時間の総枠の範囲内に限ります。
 なお、年次有給休暇を取得したときは、「標準となる1日の労働時間」を働いたものとみなして賃金を計算します。
 また、特例事業場(商業、映画・演劇、保健衛生業、接客娯楽業で10人未満の事業場)は、法定労働時間が週44時間なので、「週40時間」をすべて「週44時間」と読み替えて計算します。

■法定休日に働いた時間は別途計算する
 フレックスタイム制で働く労働者も、1週1日または4週4日の法定休日に休ませる義務があります。法定休日に労働した時間は、総労働時間に加えずに、休日労働として割増賃金を支払わなければなりません。

■就業規則と労使協定が必要
 この制度を導入するには、就業規則に始業・終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨を定め、労使協定を締結する必要があります。労使協定は、36協定と同様に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者と締結します。なお、労働基準監督署への労使協定の届け出は不要です。
 労使協定で定める内容は、次のとおりです。
(1)対象となる労働者の範囲
(2)清算期間、起算日
(3)清算期間における総労働時間
(4)標準となる1日の労働時間
(5)コアタイム(設ける場合)
(6)フレキシブルタイム(設ける場合)

■問題点を理解したうえで活用する
 労働者が出退勤の時刻を決めることは、労働者の自主性が尊重されるため、自己管理意識ややる気が高まるなどのメリットがあります。出勤時刻をずらすことで通勤ラッシュを避けることもできます。また、業務の繁閑に応じて、忙しい日には長く、さほど忙しくない日には短く、という具合に柔軟に働いてもらえれば、会社としても、時間外労働手当の削減を図ることができます。
 しかし、中には業務よりも自分の都合を優先させたり、いつも出社が遅くなりがちとなる労働者もいます。急な会議や来客のときに出社していないなど、運用面での問題を抱えて、制度のメリットを活かせずに廃止してしまうような企業の例も見られます。
 このため、導入する際には、自己管理ができる労働者だけに対象者を限定するなどの工夫が必要です[図表2]

 

《復習&応用問題》

Q2 当社は、8時30分に出勤してもらわないと困りますが、午後3時以降の退勤時刻は労働者が自由に決めてもらっても構いません。このような条件でフレックスタイム制を導入することはできますか?

 
A2 始終業時刻のいずれか一方のみを労働者が決める制度にはできません


 フレックスタイム制は、始業時刻と終業時刻の両方を労働者が決める制度にしなければなりません。いずれか一方についてのみ労働者が決める制度で導入することはできません。
 同様に、フレックスタイム制において認められるもの、認められないものの例をまとめました[図表3]

 

Q3 毎週土・日曜日が休みで1日の所定労働時間は8時間、清算期間1カ月でフレックスタイム制を導入しています。カレンダーの曜日の関係で、法定労働時間の総枠を超えてしまう月がありますが、この月は時間外労働割増賃金を払わなければなりませんか?

 
A3 要件に合致する場合は特例があります


 この方法では、どうしても法定労働時間の総枠を超えてしまう月があります。ただし、要件に合致する場合は、超えた時間も時間外労働に該当しないという特例があります(平9.3.31 基発228)[図表4]
 この考え方は、他の変形労働時間制には適用されません。

 


※本記事は、人事専門資料誌「労政時報」の購読者限定サイト『WEB労政時報』にて2011年9月に掲載したものです


こんなときどうする? Q&Aでわかる! 労働基準法
  特定社会保険労務士 下山智恵子 著/労務行政
  A5判・256頁・1,782円

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 第1章  労働基準法とは?
 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
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 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』(以上、成美堂出版)など。


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