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『HRトークLIVE』レポート
第1回 グローバルで躍動する人材づくりのために、いま人事は何をすべきか
[2012.08.22]

Session2〈2〉 会場とのディスカッション②

自社のビジョン・バリューをどうグローバルで共有するか

■徹底的にストーリーを語れば伝わらない話はない


野田 会場からいただいたご質問です。「会社のあるべき姿を海外法人のローカル社員にいかに浸透させるかについて、具体策の例はありますか。サービス業のため、国や文化の違いが大きいのだと感じています」。
それから、「LIXILグループのバリューや理想を、日本以外の地域で伝道し理解してもらうためには、各地域に核となるタレントが必要であると考えます。中国、韓国、タイなどのアジア新興国にそのようなタレントが存在するのか、いない場合はどのように手を打たれるのか、おうかがいできればと思います」ということです。

八木 日本の側が「ローカルって信用できないよね」とか「どうせ俺たちの言っていることは分からないに違いない」という態度だから向こうも信用しない。分からなくしているのは日本サイドなんです。
先ほどお話しした「建前」、つまり自分たちが大切にしていること、日本の会社が日本的に大切にしていることを語ればいいんですよ。日本のことだから説明できない、ということは全くありません。徹底的に説明すれば、必ず分かってくれます。
私は、4月にLIXILに入って1カ月ちょっとです。その私がイタリアに行って、中国に行って、LIXILってこんな会社だよと話すだけで、分かってもらえたことを実感しています。どれだけ一生懸命に、コンセプトをきちんとしたストーリーにして話をするか。それだけだと思います。

それから、バリューをどうやって伝えればいいかということですが、それは、一緒にディスカッションをすればいいんです。こういうバリューがあるんだけれど、タイの拠点のオペレーションではちゃんとできているかな。できてないとしたら、どこがまずいのかな。どうすればできるだろうね――ということを丁寧に徹底的にディスカッションしていく。それだけだと思います。

野田 私がある自動車メーカー系列の大きな部品会社でお手伝いをして、グローバルのビジョン浸透という仕事をさせていただいたときは、いまのキリスト教の布教の考え方を応用しました。
どういうことかというと、まずビジョンに通じることに関して、その職場ですでに実践されていることを探していくのです。
昔、キリスト教というのは、圧倒的な物量と科学の優位性とをもって、「この恩恵にあずかりたければ俺たちの言うことを聞け」という布教の仕方をしていたのだそうです。しかし、それではいまは全く通用しない。

いまはどのようにしているかというと、キリスト教の教義の中にある普遍的に誰もが正しいと思うもの、そこについて「あなたたちは、もうすでにできているではないですか」と語るのだそうです。「あなたたちは隣人を愛していますよね。周りの人とうまくやっているじゃないですか。これは実はキリスト教でも説いていることなのです。重要なことは、すでにできていることを自覚的に続けることです」というような言い方をするんだそうです。
これを、ずっと繰り返していくと「自分たちはキリスト教を理解しているし、教えを実践できている」ということで、とても高いモチベーションをもって布教できるのだそうです。


八木
 LIXIL教の布教に使わせていただいてもいいですか?

野田 ええ、どうぞどうぞ(笑)。それから次に、ビジョンに沿って実際にできている事柄の逸話集め、エピソード集めをやりました。言うとどこの会社か分かってしまいますが、具体的には「現地現物」にまつわるエピソードです。「現地現物」をインド人が実践している。そういう話を集めるのです。
もちろん日本とはレベルもニュアンスも違っていたりするのですが、そこにある精神は「現地現物」なんです。それがインドの社員たちの心に突き刺さったんですね。そういうことを繰り返していけば、分かってもらえるということだと思います。

八木 おっしゃりとおり、それこそが「建前」をきちんとやっていくということなんですね。

■「グローバル」の在り方には、企業の数だけ種類がある


野田 それでは、少し違った観点からのご質問を取り上げたいと思います。
「グローバルを目指すということを追求すると、日本という国を忘れてしまうのではないでしょうか。グローバル人材というのは国の意識を持たない人なのでしょうか」というご質問がありました。

八木 一つの普遍的な「グローバル」というのはどこにもないと思います。トヨタにはトヨタのグローバル、コマツにはコマツのグローバル、GEにはGEのグローバル。そして、私は、LIXILでLIXILのグローバルをやっています。つまり世界の中で、それぞれの会社がそれぞれに合う人を探してくればいいのです。
先ほど「自分を知ることが大事だ」とお話しました。自分たちはこういう会社なのだ、というアイデンティティをしっかりとつかむ。それに基づいて世界に出る。それがグローバルということです。LIXILのグローバルはちょっと日本的ですが、日本臭くていい。僕がLIXILでやりたいのはそういうことなんです。
だって、「住生活」なんて世界で一番細かいところに目が行き届くのは日本人くらいじゃないですか。そういうものを世界に発信したら、俺たちはきっと世界で、日本のバリューを基盤にして、グローバル化できるではないか――それが僕がLIXILに入った理由なんです。
日本の会社は日本であることに本当に自信を持つべきです。トヨタだって日本的なことをいっぱいやっているじゃないですか。それで世界でマネージしている。自社のバリューをしっかり持って、それを、伝播していくことが大切なんだと思います。

野田 中国に進出したある会社の社長さんが、「13億人もいるんだから1万人くらいは納得してくれる人がいると思う」とおっしゃっていたんですが、そういうことですよね。

■「できないvsやる」―自分の会社を絶対に良くする。その気持ちが全てを変える。

野田 次に、「グローバリゼーションとは直接関係ないですが、多数の企業がまとまってできたLIXILを、どうやって“one firm concept”でまとめていくのか」というご質問をいただいています。

八木 正直言ってこれは難しい課題です。トステムとINAXだけをとってもカルチャーは全く違います。それを一つにするわけですから、これは大変です。ただ言えることは、「住生活」という同じ環境にいるということ。そして、世界の人たちの未来の住環境を作るのは俺たち・私たちの会社なんだと、そこでは一致しているということです。
現実には、いま新しい会社になったのだから、それを実現する新しいカルチャーを作りましょう、ということをやっていくしかないと思っています。そのカルチャーは、もしかしたら、既存のどこかに近いものになるかもしれない。でも、そんなことは忘れましょう、と。私みたいな、過去と全く無関係の人間がそれをリードしますから、過去は忘れて、新しい会社として生まれ変わりましょうという話です。

はっきり言って、これはきれいごとです。でも、このきれいごとをやらずにいて、一緒になった成果は得られるのでしょうか。世界の人の住環境の未来を作ると言っているにも関わらず、グループの内側でゴチャゴチャとケンカをしたり、お前のところは嫌だとか、バリューが違うなどと言っていて勝てるのか。
ここでもやっぱり「勝ち」を持ち出します。勝つために一緒になったのだから、チームとして一緒にならなければダメでしょう。このきれいごとを徹底的に語っていくしかないと思います。

野田 では最後に、「できないvsやる」という話で八木さんに締めていただきたいと思います。

八木 はい、本日のご質問でも「できないのですが、どうしたらいいでしょう」というお話が多かったと思いますが、「やるしかない」んです。

私の会社、俺の会社だと思ってください。私は最初に、NKKという結構大きい会社に入社しました。入ってから1年くらいしたときには、「この会社は俺の会社だ」と思っていました。別に、社長になってやろうというわけではありません。自分の働いている会社が、自分が誇りも持てないような会社だったら嫌だ。だから、とにかく「自分が大好きな会社」にしてやろう、そして、誰にしゃべるときも、「この会社は良い会社です」と言ってやろう、と。
いまもそうです。「LIXILは俺の会社だ。だから絶対この会社を良い会社にするんだ」と思っています。そうでなければ会社は良くなりません。どれだけ多くの人が、俺の会社、私の会社と思うか。それが勝負です。だから、「できない」とは言わないでください。やってみることです。

私はNKKにいたときに、社長批判論文を書いて、役員を含めて300人に配りました。まさに暴走でしたが、この会社を良くしたいと気持ちは人一倍強く持っていました。上からも「お前なあ、阿呆だけど会社を良くしたいという気持ちだけは分かる」と言われて、会社はクビにはなりませんでした。そこで、学んだことは、「勇気を持ってやればできる」ということと、そうは言っても馬鹿をやったら何にも動かないということでした。
ジェフリー・イメルトにチャレンジしたときもそうでした。GEはアメリカの会社で、アメリカ人がやっている会社だとは思っていませんでした。自分の会社のミッションが、成長することともうけることだけではイヤだ、と。だからこの会社はもっと良いことしましょう――それでチャレンジをした。私がやってきたのはそれだけです。

私自身がものすごくできの良い人間であればこんなことは言いません。私も普通の社員です。けれども、強く強く、この会社は俺の会社だ、だから良い会社にしたい。そのためにチャレンジしてきた、馬鹿をやってきた、暴走してきた――そういう少しだけの勇気はあると思っています。そのきっかけは、俺の会社だから俺がやるんだ、ということだけだと思います。

野田 八木さん、どうもありがとうございました。それでは、本日はこれで終了させていただきたいと思います。


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