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『HRトークLIVE』レポート
第1回 グローバルで躍動する人材づくりのために、いま人事は何をすべきか
[2012.08.22]

Session2〈1〉 会場とのディスカッション➀

 

グローバルリーダーをどう育てるか

■なぜ日本人はグローバルで通用しないのか


野田 それではSession2を始めます。時間の許す限り、会場から寄せられた質問に答えていきたいと思います。まず、多くの方からいただいた、グローバル人材の具体的な育て方についての質問です。

八木 GE時代に、グローバルで活躍している人材を分析してみたことがあります。トップ20人くらいを選んだ結果、全員に共通していたのが「海外生活あり」ということだったんです。帰国子女がいたり、MBAを取りに行っていたり…と。これからいくと、「経験をさせるしかない」という答えが出てきそうなんですが、実は私、「経験によって人を育てろ」という考え方が最も嫌いなので、何とかチャレンジしてやろうと思いました。

そこでまず、「なぜ日本人がグローバルで通用しないか」ということを考えました。日本人と違うのは、中国人もインド人も、韓国人やアメリカ人もみんなそうなのですが、「リーダーやりたいか?」と尋ねると、みんな「はい! はい!」と手を挙げますが、日本人はそうなりません。ここの差だなと私はまず思ったのです。
なぜそうなのか。アメリカのビジネススクールの、韓国人の教授にヒントをいただいたのですが、子供の育て方の違いだと考えました。中国もインドも韓国も、子供に対して「一番になれ」とか「勝て」と言って育てている場合が多いと思います。アメリカ人は“be yourself”、「自分の考えを持ちなさい」という言葉を親から一番たくさん言われたと聞いています。
一方、日本人の皆さんは、お父さんやお母さんに何て言って育てられましたか?
「人に迷惑をかけるな」「みんなと仲良くしろ」「思いやりを持て」「お兄ちゃんでしょ」「お姉ちゃんでしょ」という言葉ではないでしょうか。全部、周りに配慮して自分を抑えろというメッセージです。

ここに僕は大きなチャレンジがあるのではないかと考えたわけです。周りのことを考えて静かになってしまう日本人に、いかにして「私はこれをやりたい」と言わせるか、というチャレンジです。 とはいえ、40歳とか50歳になる人に、とにかく「人に勝つ発言をしろ」と言っても、機能しません。それは浅薄だろうという話になります。そこで、「あなたは何を正しいと考えているのですか」と問い、自分の価値観を持ってもらうことから始めました。
私は、リーダーシップを発揮するためには、自分の内側から沸いてくる「やらなければいけない」という気持ちが必須だと思っています。そういうやる気が出てくるのは、信じるもの=「軸」を持っている人です。そのやる気が空回りしないように補うのが知識であり知恵です。日本のGEでは2008年から、留学経験のないリーダー候補に対して、本人のフィロソフィー、哲学、価値観、バリュー、つまり軸を形成した上で、そこに知恵・知識を付ける研修プログラムを「J-LEAP」と名付けてやってきました。その卒業生からグローバルで通用する人材が出てきていますから、実際にも機能していると思います。

■恥をかかせ、軸を作らせ、突然変異させる


八木 具体的なプログラムの内容を少しご紹介します。まずは「刺激」と「気付き」です。リーダー教育に必須なのは、「突然変異の機会」を与えることだと思います。人は毎日少しずつリーダーになっていくわけではありません。何か大きな節目で、ハッと気が付き学ぶ。目からうろこが落ちる。それが必要です。そうした気付きを生む刺激のプログラムを作りました。具体的に言えば、恥をかかせるということです。恥をかくことによってハッとする失敗をさせる。

一つの例が、社長就任演説です。あなたの会社の社長になったと思って、3分間のプレゼンテーションをしてください、とやるわけです。皆さんもぜひやらせてみてください。きっとうまくはできません。そこで、なぜできないかを考えさせてやってください。たいがいそういう人に限って、自分の会社の社長はプレゼンテーションが下手だといって批判していますから「お前もっと下手だろう」と言って、思いっきり恥をかかせてやってください。こういうことから刺激を得て、次のステップに歩んでもらいます。

次に「軸づくり」。J-LEAPというプログラムは、1年間かけて15人から20人の受講者を対象に行います。毎月1人に1回1時間かけて、「あなたにとって一番大切なことは何ですか」と問い掛けます。大切なことが思い当たらない人には、どうやったらそれが持てるかについてのコーチングを行います。
ここで最初にやっているのは、「自分の経験の分析をしなさい」ということです。「あなたはなぜ○○大学の○○学部に入ったのですか。あなたはなぜGEに入ったのですか。その理由を考えなさい」と。ひょっとしたら自分の選択は失敗だったと思っているかもしれない。なら、なぜ失敗したと思うのか。自分が大切にしていたことがなかったからだよね。そう考えていくと、そこに、自分が大切にしていたものがあるでしょう――という具合です。
これを1年間12回、計12時間続けます。12回も続く人は最初のメンバーの3分の1もいませんが、私は来なくなった人は追いかけません。
そうして、また恥をかかせます。「お前らはリーダーになるつもりがない」と。そうやって、刺激と気付きと軸作りを同時にやらせます。

■自覚と物事の進め方と知識を、刺激とともに植え付ける


八木 実際のプロジェクトもやらせます。研修だからといって、仮のプロジェクトは使いません。良い結果が出たら実際にビジネスにします。プロジェクトのレビューは、藤森のほうがGE時代から圧倒的にうまかったので、彼にやってもらっていました。
例えば、藤森は、受講者からプレゼンを受けると「君たちはお客さんのところに行ったのか?」と聞きます。本人たちはトレーニングだと思っているから、お客さんのところには行っていません。「どうしてだ。そんなことをやっているからダメなんだ。行ってこい」といって行かせます。プライシングについては、「君だったらその値段で買うか? 買うならその根拠は?」と徹底的にやります。そして恥をかかせます。
こういうことを通じて、自覚と、物事の進め方の感覚と、軸を持った人材を作っていくわけです。

もちろん知識も勉強させます。受講者には一番最初に「リーダーになりたいと思っていますか」と聞きます。このときに手を挙げなければ必ず帰されると彼らは知っていますから、絶対に手を挙げます。次の質問は「では、リーダーとは何かを言ってみなさい」。すると答えられません。すかさず、「君たちは自分が何か分からないものになりたいんだな」、と。仕事を20年も25年もやってきて、リーダーになりたいと自分で言っているのに「リーダーとは何か」の問いに答えられない。それこそ恥ずかしいと思わないか。その勉強をこの1年しっかりやれ、と。そうして、リーダーとは何かということを、私なりの理解、いろんなリーダーシップ理論を用いて教えていきます。
あるいは、「君はいまの日本経済を知っているか。GDPはなんぼで、世界の何パーセントだ? 財政赤字の問題はどうなっているのか? ギリシャの経済危機は日本にどんな影響があるのか?」。こういうことを徹底的に聞きます。社長になるつもりなら、当然それだけのことは知っていなければダメだろう。自覚がないからそのくらいのことも答えられないんだ――ただ知識を伝えるんじゃなく、思いっきり恥をかかせる。そういう知識トレーニングをやってます。

J-LEAPでこうやって育てた人材は、確かに成長しました。でも、そうやって20人を徹底的に鍛えても、最後に残るのは1割か2割です。GEの中で一番優秀な社員を選んできて、これだけ徹底的にやっても2人か3人。多い年で5人、それだけです。
リーダーは基本的には育たないと思ったほうがいいです。だからといって育てることを止めてしまったら絶対にゼロです。私は、リーダーは100人に1人いれば企業は勝つと思います。こういう軸を持ったリーダーは、私はグローバルでも通用すると思っています。

野田 ありがとうございます。いまのお話はグローバル人材育成にとどまらず、いわゆる次世代リーダー育成とほぼ一致していると思います。ところで、グローバル人材ということでは、よく、クロスカルチュアルの理解と英語力の重要性が挙げられますが、お話しいただいたリーダーについては、これはもうクリアした上でということでしょうか。

八木 その人の力が本物であれば、たとえ英会話が苦手でも、通訳を入れたとしても通用します。英語ができるとか、カルチャーがどうとかという相手に合わせる話より、まず自分を知れ、ということだと思います。

■育成は国ごとの特性にフォーカス、活用は国の枠を越え「強い人材」を


参加者Gさん
 先ほど「人が付いてくるか」というお話がありましたが、人が付いてくるようにする育成というのはありますか。

八木 人が付いてくるように良い人になりなさい、というようなアプローチは取っていません。しっかりしたものの考え方・ビジョンを持ち、それを人に語ることができて、率先垂範で行動ができる。そして揺るがない信頼感とチャームがあればいい、ということです。
ただ、人によっては指摘したことはありました。私が指導していた20人のグループの中で笑わない人がいたんです。素晴らしく頭がよくて、戦略的で、仕事もものすごくできる。でも笑わない。一番最初に言ったのは「君は笑わないという事実のために、プロモーションを10年間も逃しているのだけど、それでいいの?」。完璧なだけの人が、他人から好かれるとか、後ろから見て付いていきたいと思われる、ということはありませんから。

参加者Hさん いまご紹介いただいたプログラムは、外国人にも当てはまるのでしょうか。あと、私は中国出身で現在日本のメーカーで仕事をしているのですが、当社では、海外で新しい拠点の場を作るとき、ほとんどの場合、日本人だけを出向させています。この点についてどうお考えですか。

八木 まず始めのご質問ですが、日本人と中国人、韓国人、アメリカ人、インド人、どの国の人も一般的には、その国の人たちが持っている特有の弱さというものがやはりあると思います。日本のGEで、われわれがLEAPというプログラムを始めたとき、他の多くの国でもその国特有のLEAPを作り始めました。われわれはJapan LEAPです。India LEAPもあれば、Mexican LEAPもあります。
先ほど触れた「知識」に関しては、どの国で研修をしても、世界経済のことや、リーダーシップ理論や戦略論があまり分かってないという点で大きな差はないので、これらはベースの知識として共通して教えます。一方、コーチングのやり方や、その国の人たちが持っている一般的な弱さを克服する手だてについては、国ごとに違うプログラムを持っています。ですから、中国は中国のLEAPでそこをフォーカスしてやっています。

次に、新しい海外拠点に日本人出向者ばかりを送りたがる、ということですね。
始めの議論の中で、「世界から見るか、日本から見るか」というお話をしました。日本から見ようとするから、日本人を送りたくなるのだと思います。私はLIXILに入ってから海外拠点を数カ所訪れましたが、グローバルリーダーとして通用する人材は、日本よりもオペレーション規模がずっと小さい、中国やイタリアにたくさんいると感じています。それならば、わざわざ、コストが高くてグローバルが分かっていない日本人を送るよりも、中国やイタリアにいる人たちを仲間に入れて、一緒にやるほうがいい。
だから私の場合は、日本の自分のチームにいる人と、中国の中国人とイタリアにいるイタリア人とを全く同じように扱って、一番強い人たちに任せています。


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