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『HRトークLIVE』レポート
第1回 グローバルで躍動する人材づくりのために、いま人事は何をすべきか
[2012.08.22]

Session1〈3〉 グローバルHRの四つの論点➀

 

【論点1】世界からものを見る vs 日本からものを見る

■日本の「事情」ではなく、目指すべき理想を指針にする


野田 それでは次に、八木さんからグローバル対応に必要な四つの観点を提示いただいています。まずは「世界からものを見るvs日本からものを見る」。この点についてちょっと解説いただけますか。

八木 「日本からものを見る」とは、いまのウチの会社、つまり日本の状態と比べて海外の会社のオペレーションを見るということです。
日本と比べてオペレーションがどうなっている、日本と比べて社員の質はどうか、日本と比べてどういうやり方で仕事をしているか――という発想です。例えば、韓国や中国は特にそうですが、日本と比べられたくないと思っている人はすごく多いです。ですからこれでは問題が起こります。

これはGEにいて気が付いたんですが、GEは、実は、アメリカのGEと比べて日本を見ているわけではないのです。アメリカのGE対中国のGEでもない。ジェフリー・イメルトという男の頭の中に、理想的なGEというものがある。その下にいるジョン・リンチというHRリーダーの頭の中に理想のHRがある。
その、理想のGE、あるいは理想のHRから見ると、アメリカのGEもずいぶんダメなんです。アメリカのGEは俺のGEから比べるとこのギャップがあるからこれを直せ、同じように日本のGEも、ここがダメだからこれを直せ。会社のあるべき姿からその地域ごとのマネジメントを見なさいということなんです。
僕から見ると、日本の会社でも多くの場合、一番直さなければいけない対象は日本の本社です。その直さなければいけない対象の日本から「グローバル化とは」などと言って中国を動かそうとしたって、「何を言っているんだ」という話になると思います。

野田 理想の姿はトップの頭にある、ということでしたが、そのありたい姿というのはトップ一人が考えて決めることなんでしょうか。

八木 トップとしての考えはありますが、一人で考えて決めることではないでしょうね。その組織を動かしていく、そして長期的に勝てる組織にしなければならない命題に対してディスカッションはしていく。ただ、最後は誰かが決めなくてはいけませんから、やはり、リーダーが「こうだ」ということを言わなければいけないと思います。

野田 要するに、対話を否定するものではないけれども、リーダーとしては、理想の姿を決定することこそが一番やるべき仕事である、と。そこはコンセンサスでは無理ということですね。

■ビジネスは「狩り=勝負」の場という意識を徹底すべき


野田 ところで、コンセンサス型の意思決定というのは、世の中では珍しくないし、グローバル企業でも存在しているんですよね。
例えば、ロイヤル・ダッチ・シェルというグローバル企業では、必ずしもイギリスの本社が戦略を出しているわけではないのです。なぜかというと、イギリスがこれだって言うと、オランダが文句を言うんだそうです、じゃオランダに「お前やれよ」って言うとドイツが文句を言う。「じゃ分かった、ドイツがやれ」っていうとフランスが文句を言い、それならフランスがって言うとイギリスが「絶対Noだ」って言うのでぐるぐる回ってしまう。なので、彼らは、「アリ塚コミュニケーション」(ant-hills communication)というポリシーを持っています。
アリは餌の砂糖を見つけると、そこに道ができますね、それは女王アリが「あっちへ行け」と言って決めたものではなく、砂糖を見つけたアリが隣のアリに教えて、「どうもこっちが正しそうだ」ということでだんだん道ができていく。こんなふうに、戦略を決めるまでの地域間のコンセンサスを非常に大切しているという話を聞いたことがあります。

八木 ロイヤル・ダッチ・シェルの人たちは、石油の業界で勝ちたいんですよね。勝ちたい人が「コンセンサスでやろう」というのはOKだと思います。でも、コンセンサスが目的になってしまってはダメなんです。

野田 そういう意味では、最終的なゴールとバリューは非常に明確で、揺るがないものがあるんです。

八木 アリの例えでいえば「餌取りに行こう」ということですね。

野田 そうです。そういうバリューは変わらない

八木 ということだと思うんです。何か知らないけど取りあえずみんなで行こう、ではなくて、餌取りに行こう。会社であれば勝ちに行こう。業界No.1になろう。それが明確にあってのコンセンサス・ビルディングであれば機能するだろうと思います。

野田 八木さんがよくおっしゃる、ビジネスというのは「狩り」の場であって生活の場ではないという、そのお話に関係してきますね。

八木 ええ。日本の会社は良くも悪くも、会社で「生活」をしていますよね。みんなと仲良くして、雇用は守ってくれて、絶対に人は不幸にさせない。みんなで一緒につるんでなんかやりましょうよ、みたいなところがすごくある。「勝つ」ためであればOKなんですけど、そういう目的なしに、ただ生活しているだけではダメなんです。
私はよく企業活動を動物の生活に例えるのですが、ライオンは腹が減って、家族に飯を食べさせければならないときには、獲物を見つけたら食いつきにいきますよ。けれど、腹が一杯のときは、近くを何が通ろうがあくびをしているんですね。「狩り」のモードのときと「生活」のモードのときは全然違うんですよ。

私は、会社で仕事をしているっていうのは、「狩り」をしている状態だと思うのです。「生活」をしていくための「狩り」をしている。つまり、負けてはいけない競争をしているわけです。「狩り」の場で生活をしはじめると、「狩り」に勝てない。獲物を取れないから、ファミリーはみんな死ぬ。ですから、私は「狩り」の場で、「生活」を大事にしていくということは二の次にしなくてはいけないと考えています。

野田 働いているところが「狩り」の場だとすると、働いている場以外の「生活」の場がちゃんとないと「狩り」もできなくなりますよね。

八木 そうですね。24時間夜も寝ないで、土日も頑張って仕事をし続けているやつが偉い、というふうにおっしゃる経営者の方もいらっしゃいますが、普通の人間はそんなことはできないと思います。普通の人間に、「狩り」の場で「狩り」をやらせるためには、休んでもらわないとダメです。もっと言えば、「狩り」は「生活」のためにしているのであって、「狩り」のために「生活」しているのではないのです。


【論点2】建前によるマネジメントvs本音によるマネジメント

■グローバルは「建前」がすべて。それを全力でやり切る


野田 では次の論点です。「建前によるマネジメントvs本音によるマネジメント」。何となく、「建前はダメだよ、本音はいいぞ」みたいに聞こえるんですけれど、どうでしょうか。

八木 絶対「建前」です。言ったことが全てです。日本人もそうですが、アメリカ人にも、他の国の人にも、「本音と建前」はあります。「本音」というのは、それぞれ育ったところのカルチャーに根差しています。グローバルに展開しようとするとき、あるいはダイバーシティの中でやる場合、それぞれのカルチャーに根差した部分が理解してもらえることを前提に考えていては、マネジメントはできません。ですから、言ったこと=建前が全てになります。口に出した「建前」をきちんとやり抜くというシンプルさを持っていなければ、会社はうまくいきません。

野田 それには私も同感です。よくリーダーシップ論を人徳や人格で語ろうとする人がいます。偉人説とか特性論といわれるものですが、確かに全く素のままで、非常に多くの人に影響を及ぼして動かせるタイプのリーダーというのも1000万人に1人くらいはいると思います。けれど、ほとんどのケースでは、リーダーという役割を演じる、何をするべきかを理解しておいて役割を演じるということの連鎖が組織を動かしているのだと思います。人格=本音ではなく、外部に見せる「建前」が基本ということです。
別の言い方をするなら、口に出して言ったにもかかわらず実行しなければ、グローバルの世界ではものすごく信頼を失うことになる、ということです。ダイバーシティを推進しますと言ったのに、「そうは言っても、女性の取締役なんてムリだろう」とやってしまったら、その瞬間に、リーダーの言っていることは全部ウソだとなる。言った以上は、それがどんなにきれいごとであろうとやり切る。私も、これはグローバルでものを伝達する上で非常に重要なことだと思います。

以前にこういうセッションで八木さんとご一緒したとき、会場から「八木さん、それはきれいごとですよね」っていう質問が出たことがあります。それに対して八木さんは、「きれいごとですよ。きれいごとに決まっているじゃないですか、でもやるんですよ」と答えられて、満場の拍手に包まれたことがありました。そういうことですよね。

八木 そうですね。なぜかいうと。人間は正しいこと、きれいごとが本質的に好きなんです。自分ができるかどうかは別として、ほとんどの人はきれいごとが好きです。だから、きれいごとを言って、それをひたすらやり抜けば、組織はすごく美しく、強くなっていきます。
ダイバーシティと言ったら徹底的にダイバーシティを追求する。グローバルと言ったら、グローバルに対応できるような姿をいつも見せる。スピードと言ったら、いつもスピードを考えながら仕事をする。そしてできないときには反省をし、達成した人が正しいと言い続ける。そういうことをきちんとやっていくことが勝つことにつながると思います。
これができなくなったとき、チームワークは失われます。信頼を築くためには、建前をやっていくことが当たり前でなければなりません。
普通の人は正しいことが大好きです。ですからそれを、きちんと語って実行するよう努力していけば、会社はきちんと動いていくと私は信じています。


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