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『HRトークLIVE』レポート
第1回 グローバルで躍動する人材づくりのために、いま人事は何をすべきか
[2012.08.22]

Session1〈1〉 LIXILグループのグローバルHRへのチャレンジ

 

■「日本人による日本企業のグローバル化」を目指して


野田
 それではSession1の対談を始めたいと思います。このイベントは「トークLIVE」ということですので、八木さんにお話をうかがいながら、節目ごとに会場の皆さんからご質問・ご意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

まず、八木さんといえばGE、という印象がとても強くて、イメルトさん(GE社のジェフリー・イメルトCEO)に直訴をするような、どっちかというとやんちゃ坊主なイメージがありました。その八木さんが、LIXILグループに移られた理由を最初にお聞きしたいのですが。

八木 これまでGEで仕事をしてきた中で、やっぱり「自分は日本人だな」ということを強く感じていたんです。日本人だから、もう一度日本の会社に入って、日本の皆さんと一緒に、日本の会社をグローバルに通用する会社にしていくというチャレンジをしてみたい。
振り返ってみると、GEはすごく「強い」会社なんですね。対して日本にはとても「良い」会社が多い。「良い会社」を思い切り「強く」したい。56歳のいまが、そのチャレンジへの最後のチャンスだと思ったのです。

野田 日本の会社をグローバルに通用する会社に育てるチャレンジ。そのチャレンジの舞台にLIXILを選ばれたわけですが、現在のLIXILはどのくらいグローバルな会社なのですか。

八木 実は、現在も非常にグローバルに展開しているのです。LIXILに統合したトステム、INAX、サンウエーブなどは、すでに個々に世界展開をしていて、生産もタイや中国で行っています。昨年の冬には、イタリアのPermasteelisaを買収して、カーテンウォール業界でも世界一になりました。
もちろん、事業をグローバルにやっているということと、会社が本当にグローバルかどうかということは別の話なのですが。

野田 そこから、グローバルに通用する日本企業づくり、LIXILでのHRのチャレンジにつながっていくわけですね。

■“LIXIL VALUE“でつながる一つの強いチーム作り


八木
 まず整理したのは、LIXILで「何を続けるべきか」です。LIXILは1兆3000億円くらいの売り上げがある会社で、社員は8万人くらいです。その規模できちんと動いてやれてきたのはなぜか。
一つは企業全体が、取引先やお客さまを大事にするビジネスパートナーとしての姿勢をしっかり持っていること。その背景に、問題解決に取り組む高い意識があり、ハードワークをいとわない風土があること。一言で言ってしまうと、ものすごく“discipline”(規律)のある会社です。入る前の予想をはるかに上回る、非常に良い会社だと思いました。

野田 なるほど。ならばそうした良いところは続けていこう、と。

八木 ただ、このとても良い会社がグローバルで通用するかというと、そのままでは通用しないのが困ったところなんです。では、グローバルに通用する会社にしていくためには、何を付加し、変えていくべきなのか。まず、国内指向がとても強いいまの会社をグローバルに向けていかなければいけない。それが“Global mindset”です。
そして、“OneーLIXIL mindset”。LIXILは先に挙げた3社に加え、東洋エクステリア、新日軽という主要5社が集まってできています。もともと別々の会社だったわけですから、当然それぞれ違うカルチャーを持っています。これを一つにしなければならない。また、世界の国々に展開している各拠点のLIXIL人を、国の違いを超えて一つにまとめることも必要です。そうした世界に広がる一つのチーム作りのために、“LIXIL VALUE”というものを作りました。

野田 ”LIXIL VALUE”というのは、一種の”One firm concept”と捉えられると思います。ところで、グローバリゼーションを行うに当たって、「一つにまとまる一つの会社であるべき」という考え方は、果たして唯一絶対の「解」なのでしょうか。例えば、ヨーロッパの会社などは、地域や国ごとのローカライゼーションを軸にしてグローバル展開をしていきますよね。
”One firm concept”とローカライゼーションは、同時追求ができるのでしょうか。それともぶつかってしまうのでしょうか。

八木 私はどちらもあると思っています。例えば、1カ所で作って世界中にそれを出していくようなプロダクトのビジネスでは、one firm。一方、ローカルで作ってローカルに出すビジネスがネットワークしているようなプロダクトならローカライゼーション。おそらくジョンソン・エンド・ジョンソンなどがこれに近いのではないでしょうか。

野田 食品産業などもその例かもしれませんね。

八木 そうですね。そういうところはローカライゼーションのみでいけるのではないかと思います。
一方、LIXILはローカライズが有効なコンシューマ向けのプロダクトと、先ほど挙げたカーテンウォールのように全世界統一の製品が一つの会社の中にあります。そこでOne firmとローカライズのどちらに向かうかですが、やはり両方を一つの会社でやるのは非常に難しいと思います。ですから、決めたほうをしっかりやりましょう、と。それで、われわれはOne firmでいこうということなんです。

■世界と戦える、新しいリーダーを作り出すプログラム


八木
 次にリーダーシップの育成です。いまのLIXILは、GE時代から私の上司だった藤森(義明氏)が社長を務めていますが、私の役割は、次の社長を社内から生み出すことだと思っています。そのためのLeadership developmentに力を入れていきます。
仮に50歳で社長を作るとすれば、いま35歳くらいの人から選び出さなければならない。リーダーというのは3年や5年では育ちません。10年や15年はかかるんです。

そして、どういうリーダーが必要か。世界中のコンペティターを相手にするグローバル企業のリーダーは、「異動を待っている」ような人では務まりません。「自分がリーダーになるんだ」と自発的に手を挙げる人をいかに作り出すか。そのためには、マネジャーが自分の事業にオーナーシップを持ち、そして、自分たちの結果に責任を持つ、そういう仕組みを用意する必要があります。
そのための仕掛けがPeople and Organization Discussionという人事の戦略ツールです。縦軸にパフォーマンス、横軸にバリューを置いた”Nine block”という分類によって、優れた人材をできるだけ早く表に出し、そしてストレッチの機会を与える。これをキャリアの早いうちから始めます。そして、リーダーになる人たちについてはリーダーシッププログラムを作って徹底的に鍛え上げていきます。

■グローバルに通用する企業風土作り
  ――制度で縛るな、ストーリーで動かせ


八木
 次にダイバーシティの強化。これに関してはびっくりしました。LIXILは男だらけの会社なんです。

野田 でも、「住生活」ですよね。商品的には女性が多そうですが。

八木 ええ、そうなんです。なのに男ばかり。これではグローバルに通用しないですね。LIXILでは海外企業のM&Aも進めているのですが、海外企業はそもそも女性比率が高いですから、それは守っていかなければならない。
そして、Equal opportunity。日本人も中国人もイタリア人も関係ありません。場合によっては、次の社長は日本人ではない可能性もある。それくらいのダイバーシティをやっていこうということです。
それから、いまのLIXILは非常に「硬い」会社だと感じています。もっとオープンでフレキシブルにしていく必要がある。それはルールや制度ではどうにもなりません。私が強調したいのは、「制度で縛るな、ストーリーで動かせ」ということです。変化の時代にあって、リーダーの役割はむしろ「いかにルールを破っていくか、それでも人を動かせるストーリーが語れるか」にあると考えています。でもいまはそういうことができる状態にないので、変えていかなければならない。

次に人事セクションの権限です。LIXILは、人事セクションが人事を決めるという、一昔前の日本に典型的だった「強い人事部」という部分が残っています。私は人事が、隠れたところで物事を決める「マフィア」化してはいけないと思っています。
人事のそもそもの目的は「勝つ」ことにあります。そして勝つための責任を一義的に握っているのはラインマネジャーです。ということは、人事の最終決定はラインマネジャーでなければならないということです。
あとは、「やれ→やります」というカルチャーを、自ら「やりたい」というカルチャーにしていかなければならない。それと Meritocracy、実力主義です。こうしたことが、グローバルで世界一になるために、言い換えれば、「良い会社」ではなく「良くて強い会社」になるために必要だと思っていることです。

野田 ありがとうございます。いまのお話の「制度で縛るな、ストーリーで動かせ」というフレーズ、これはすごくいい言葉だなと感じたのですが、もう少し具体的にお願いできますか。

八木 世の中が比較的安定的で、同じ方向に向かって動いているようなときには、ルールで物事をマネージしていくというやり方が機能するのだと思います。そこでは、マニュアルを作る、決めごとを作る、決められた権限を与える、ということが意味を持ってくる。つまり「制度で縛る」ということです。あるいは、草創期の会社でリーダーはすごいけれども、下にいる人はまだ大したことはないというところでも「制度で縛る」という方法が機能すると思います。
しかし、いまの世界はそうではありません。グローバルな舞台で、予想もつかないようなことが、毎年あるいは毎月起こる。そんな環境にいる企業が、ある一定の状態を前提とした制度で全社を縛ってしまって本当に勝てるのでしょうか。
私は、できるだけ制度は緩くしておいて、フレキシブルに対応できる状態を作ったほうが良いと思っています。ただし問題は、フレキシブルな状態の下で、本当にフレキシブルに判断ができる人がどれだけいるかということです。

野田 そういうことですね。

八木 ですから、リーダーの育成がとても大事になってくるわけです。


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