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コーピングで始める「自分改造計画」【田中ウルヴェ京】 [2012.07.10]

コロコロ指示が変わる上司の下で、疲れる力不足の自分…


コーピングで始める「自分改造計画」~第10回[最終回]:ケーススタディ(その8)
田中ウルヴェ京(メンタルトレーナー/コーピングコーチ)
株式会社MJコンテス 代表取締役社長

 先輩社員たちの退職により、経験値のない自分がマネジャーに。しかし上司はコロコロ指示が変わるタイプで、会社の方針も不明瞭。上司の指示についていけず、疲れ気味の自分。会社に希望が持てなくなり、辞めたい気もする中、私生活では心から落ち着けるような相手との出会いがあって結婚も考えており、安定した生活のことを考えるとなかなかその決断にも踏み切れない……。こんな場合、あなたはどんな人生の選択をしますか?

10回目:ケーススタディ(8)

 先輩が相次いで退職した関係で、あまり知識も経験も少ない私がマネジャーの仕事をせざるを得ない立場になってしまいました。頑張ろうとは思っているのですが、上司の直感に頼った矢継ぎ早の指示や、会社の方針の不明瞭さで、ほとほと疲れました。この会社に展望が持てなくなり、先輩が辞めていったのも分かるような気がしています。
 こんな砂をかむような会社生活から脱したいのですが、私生活では彼女もできて、彼女と居る時は不安や不満を忘れられて、ホッとできます。会社を辞めるにも、楽しい私生活にも影響が出てくるんじゃないかということを考えると、踏み切れません。

■ストレス対処でもっとも大切なことは「自分を知ること」

 今回の例はストレスでいっぱいの職場を辞めるのか、安定という名の下で留(とど)まるかという選択です。会社を辞めたいという理由は人それぞれでしょうが、実は「生活の安定」を考えると、会社を辞めることはできない、環境を変えることはできないと悩む方は、決して少なくありません。皆さんはこうした悩み、お持ちになったことはありますか?
 

 さて、今回の問題を解決するには、コーピングの基本中の基本に立ち返ることが重要です。こうしたストレス対処でもっとも大切なこと、それは「1にも2にも、自分を知ること」なのです。

 人は生きていれば必ず、何らかのストレスを抱えて日々生活をしているものです。おそらくストレスや悩みを一度も持たないという人生などはないでしょう。同時に、ストレスとの付き合い方によっては、「ストレスをうまく人生に活用することができる」ということもお話したかと思います。

■悩みは分解して対処したほうがずっと効率的

 今回のケースでは、何が自分の中で一番問題となっているのかを、まずは整理しなければならないでしょう。経験値がないのにマネジャーとなってしまった状況がストレスなのか、上司の指示がコロコロ変わることがストレスなのか、仕事がイヤなのに結婚を考えると安定を失うことが不安というのがストレスなのか。おそらくそれら全てに対しストレスを溜めているのですが、一見、「一つの悩み」に思えることでも、実は「複合的要素」で成り立っていることも多く、悩みは分解して対処したほうがずっと効率的です。

 例えば、経験値がないということがストレスなのであれば、経験値を補うべく勉強したり、本を読んだりと、自分の力を補うことは可能です。経験値がないことを受け入れた上で、謙虚に努力することは、自分の能力を高めることにもつながり、一石二鳥というものです。

 また、上司の指示がコロコロ変わることで仕事がやりにくいのであれば、これまでに学んだコーピング技術を使って、周囲への働きかけ(この場合は、その上司ご本人、あるいはもっと上の上司に相談する等)をすることも一つの方法です。また、アサーションのDESC法を使って、上司に指示を明確にしてもらうなど、コミュニケーション上の工夫で改善できることもたくさんあります。

[編注]アサーション:自分の意思や気持ちを主張し、相手に押し付けるというスタイルを取らず、相手の心情や立場に配慮し、相手にとっても受け入れやすい表現によって、相手を確実に動かしていこうというコミュニケーションのスタイルのこと。
DESC法: Describe、Express、Suggest、Consequenceの四つのステップを踏むことで、相手に問題点を指摘し、改善を促すことができる方法。


■自分の人生の「プライオリティ」は何なのか?

 最後にここが一番重要な点ですが、自分には合わないと思う仕事を続けるか、安定を取るかについては、自分の人生のプライオリティ(優先項目)が何なのかを把握する作業が有効です。この問題についての自分の中の心の中の独(ひと)り言、つまり「セルフトーク」をまとめて、自分が本当はどうしたいのかを深く見つめなおす必要があるでしょう。

[編注]セルフトーク:ストレスを大きく感じている時に、その状態を自分自身の「ひとりごとを変えることで」プラスに変えていくスキル。

 誰にとっても平等なこと、それは人生は「一度きり」ということです。後悔のない人生を送るには、自分が人生で求めていることや、欲していることを、自分自身で「知る」必要があります。それには自分自身との深い対話が不可欠なわけですが、人はともすると、本当は一番大切なはずの自分との対話の時間を、なかなか持てないままに日々の生活に忙殺されてしまうということがあるように思います。

 こうした悩みを抱えた時こそ、実は自分を知り、自分の人生を見つめなおす最大のチャンスでもあります。このような悩みをお持ちの方はぜひとも、深くセルフトークを行い、自分を見つめなおす時間を作っていただきたいと思います。

◆  ◆  ◆

 10回にわたってご紹介してきたコーピングも、今回で最終回となります。皆さんがコーピングをうまく活用しながら、ストレスに負けることなく、「真に自分らしい」素晴らしい人生を見つけるきっかけをつかんでくださったら、こんなにうれしいことはありません。皆さん、どうもありがとうございました。

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第4回 全く経験のない部署に異動! 部下よりダメな自分の仕事ぶり……(「セルフトーク」について詳解しています)

profile  田中ウルヴェ京(メンタルトレーナー/国立鹿屋体育大学客員教授)
 1967年生まれ。聖心女子学院初中高等科を経て、日本大学在学中の1988年にソウル五輪シンクロ・デュエットで銅メダル獲得。1989~1999年に日本代表チームコーチ、アメリカ五輪ヘッドコーチアシスタント、フランス代表チーム招待コーチなどを歴任。1991年より渡米、米国カリフォルニア州セントメリーズ大学大学院健康・体育・リクリエーション学部修士課程修了。99年からは米国アーゴジー心理専門大学院にて認知行動療法とスポーツカウンセリングを、2000年米国サンディエゴ大学院にてパフォーマンスエンハンスメントとアスレティックリタイヤメントを学ぶ。
 2001年に起業し、心身の健康をテーマに、株式会社MJコンテスを経営。アスリートからビジネスパーソンまで幅広くメンタル指導を行う一方、東京・白金台にピラティススタジオ「DMJボディバランシング」を持つ。
 企業研修や講演は年に200を数え、最近では報道番組でコメンテーターも務める。夫はフランス人、二児の母。『書くだけで人生が変わる{感謝日記} すぐに幸福を引き寄せる30の方法』(実業之日本社)、『「リーダー力」を鍛える!メンタルトレーニング実践講座』(PHP研究所)など著書、共著、訳著多数。
http://www.mjcomtesse.com


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