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人事パーソンのための実践!ビジネスフレームワーク [2012.06.27]

第5回 そもそも、人材マネジメントとは?~「制度を粛々と運用すればいい」と考える旧来型人事部門から、戦略型人事部門へ進化しよう!

人事パーソンのための実践!ビジネスフレームワーク(第5回)
太期 健三郎 だいご けんざぶろう
ワークデザイン研究所 代表

 「そもそも、人材マネジメントとは?」――今回のタイトルは、かなり大げさなものとなりました。しかし、日々の業務に追われていると、つい忘れてしまいがちになります。突然人事部門に異動となり、何も分からないまま目の前の仕事をこなしてきたという人は、そもそもあまり意識したことがないかもしれません。
 立ち止まって、「人材マネジメントとは何なのか」「何のために行うものなのか」という本質論を今一度考えてみませんか。 

■人材マネジメントとは「人事制度を運用すること」ではない

 人材マネジメントとは何でしょうか? 人事の仕事と言えば、下の図のように採用、育成、配置を行ったり、評価制度や給与制度の運用を行ったりすることがすぐに頭に浮かぶかもしれません。
 「採用」から「退職」に至るまでの各人事業務はどれも重要なものです。しかし、これらは人材マネジメントを行うための手段、機能に過ぎません。

 人材マネジメントは、会社の経営戦略、事業戦略を推進するものです。「人事制度をルール通りに粛々と運用すれば良い」と考えるのは旧来型の人事部門です。これから求められるのは、経営戦略、事業戦略を推進するエンジンとして人材マネジメントを行う略型人事部門なのです。

[図表1]「採用→退社」という時間軸で捉えた人事諸機能

■人材マネジメントは、経営戦略、事業戦略を推進するためのもの

 企業の戦略を考え、計画に落とし込み、実行するのは全てヒトです。昔から「企業は人なり」と言われますが、人材マネジメントの巧拙が会社の業績、成長を左右すると言っても過言ではありません。
 経営環境が厳しくなり、市場が多様化し変化のスピードが速い現在では、人材マネジメントの重要性は一層高まっています。

 [図表2]は、企業経営に必要な要素を図示した「企業ピラミッド」において、人材マネジメントの占める位置を表した概念図です(企業ピラミッドについては、本記事下のリンクから、詳しく解説したページを見ることができます)。
 企業理念、ビジョン、経営戦略が十分に実現されている企業ほど、人材マネジメントがしっかりしているものです。

[図表2]企業ピラミッドにおける「経営戦略・事業戦略」と人材マネジメント

■「ヒト」という経営資源の特徴

 経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」と言われます。しかし、ヒトはいくつかの点で、他の二つの経営資源とは大きく異なるものです。
 まず、ヒトは意志と感情を持って動くものです。上手に活用すれば(=マネジメントすれば)よく働きますが、活用を間違えば能力の半分も発揮しません。
 モノ、カネの活用方法を考え、実際に使うのはヒトですから、ヒト、モノ、カネと同列に扱えるものではありません。

そして、モノやカネは使った分だけ減りますが、ヒトは減りません。減るどころか仕事や教育を通じて成長すればヒトという経営資源の価値、生産力は増えるのです。

 以上のようなヒトという経営資源の特色が、人材マネジメントの難しさであり、面白さ・醍醐味(だいごみ)でもあるのではないでしょうか。

■事業戦略を推進するマネジメントツールとして人事の諸機能を考えてみる

 「人材マネジメントは、事業戦略を推進するためのもの」という視点で、人事の諸機能を見直してみましょう。
 まず、各機能を考える前に、自社の事業を推進するために必要な人材像を明確にすることが出発点になります。どのようなスキル、マインド、経験を持った人材が必要なのか。それが人材マネジメントを行う全ての基準になるのです。

[図表3]適切な人事評価が人材マネジメントの核となる

(1)採用
 自社に必要な人材像に照らして採用を進めていきます。問題解決能力、コミュニケーションスキル、リーダーシップなどという抽象的な言葉ではなく、さらに一歩二歩踏み込んで具体的に人材像を描き、採用に関わる全ての人が共有しなければなりません。採用は人材マネジメントの中で一番重要な機能と言えます。なぜなら、人事に関するものだけでなく事業、企業に関する問題のほとんどはヒト(「必要な人材」と「採用した人材」のミスマッチ)に起因するからです。
 数合わせの採用ではなく、事業を推進していくための人材を獲得することが新卒、中途採用問わずに求められます。

(2)人事評価
 制度運用が目的化してしまう最たるものが人事評価です。スケジュール通りに一次評価、二次評価、評価調整を終わらせることを主眼としてはいけません。また、人事評価の主要な目的は、昇給、賞与のための「査定」だという誤解があります。
 人事評価を適切に行うことによって、人材育成や異動・配置などの人材マネジメントを正しく行うことができるのです。

(3)報酬(昇給、賞与、各種インセンティブ)
 「人はパンのみに生きるにあらず」ですが、会社や事業への貢献と個人の成長を適切に反映した報酬は、社員のモチベーションを大きく左右します。目先の短期的成果だけを追い求めたり、個人プレーに走ったりしないように「時間(短期-中長期)」と「個人-組織」の二つの軸でバランスの取れた制度の設計と運用が大切になります。 

(4)人材育成 
 事業を推進するために必要な人材と、現状のレベルのギャップを解消することが人材育成の目的です。全社を見渡して、どの階層、どの職種の人材育成を行うのか優先順位を明確にしてOJTとOFF-JTを組み合わせて実行します。
 制度運用に重きを置く旧来型人事部門は、人材育成の費用を「コスト」と考えがちですが、戦略型人事部門は「未来への投資」と捉えます。

(5)配置・異動
 人事部門は全社の人員構成、社員の能力、経験を把握しています。各部門では優秀な人材を抱え込みたいという思惑が生まれますが、事業を推進していくために大局観を持ち、適材適所の配置・異動を行ってほしいものです。
 また人材育成を考えると適材“適時”適所の視点も必要になります。

(6)職場環境整備
 人材マネジメントで意外に見落とされているのが、労務管理を含む職場環境整備です。社員の生産性を高めたり、社員間のコミュニケーションを活性化させたりするために、職場環境整備(ワークプレイス&ファシリティ・マネジメント)に企業はもっと意識を向けるべきではないでしょうか。 

■人事パーソンは自社事業を深く理解しなければならない

 何度も繰り返しますが、人材マネジメントは自社の経営戦略、事業戦略を推進するものです。ですから、その担い手である人事パーソンは自社の事業をよく理解する必要があります。
 これは単に、商品や技術についての詳細を理解する必要があるということではありません。自社の事業の強み、競争優位の源泉、事業環境の概要、事業を推進するために必要な人材要件など事業の本質を理解していなければならないのです。
 そのためには人事部の中に閉じこもらず、事業を理解するために社内、社外を動き回るフットワークが必要なのだと思います。

◆関連リンク

経営者から担当者まで、全てのビジネスパーソンにとっての必須知識「企業ピラミッド」:コンサルタントが世界一やさしく教えるビジネス思考(21)

太期健三郎(だいごけんざぶろう)profile
1969生まれ。神奈川県横浜市出身。人事コンサルタント/ビジネス書作家。三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)、株式会社ミスミ、株式会社グロービスを経て、ワークデザイン研究所代表に就任。コンサルタントおよび現場実務の両者の立場で一貫して人材マネジメントとキャリアデザインに取り組む。主著『ビジネス思考が身につく本』(明日香出版社)。
ワークデザイン研究所のホームページ http://work-d.org/
ワークデザイン研究所代表のブログ http://blog.livedoor.jp/worklabo/


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