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採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント [2012.05.18]

2012年5月

 


HRプロ株式会社/HR総合調査研究所
代表 寺澤康介 てらざわ こうすけ
(調査・編集: 主任研究員 松岡 仁)


 HRプロ代表の寺澤康介です。

 5月の連休が明け、超大手の就職人気企業の2013年度新卒採用選考はヤマを越えました。そのような人気企業の担当者からよく聞く言葉は、
「意外にも、今年は例年に比べて選考が楽だった」
という感想です。
 彼らも今年度の採用戦線の短期集中化で、選考本番前には苦戦を予想していたのですが、やってみたらすんなりいったという話が多いのです。実は、この言葉に今年の採用・就職戦線の実態がよく出ているのです!

 今回は、最新の採用状況を概観したうえで、今後採用活動を継続する企業が採るべき採用の基本的なスタンスについて述べたいと思います。

■学生の就職活動量の減少が格差を広げる結果に

 [図表1]をご覧ください。これは4月下旬時点での学生の就職内定の獲得率を調査し、過去2年と比較したデータです(なお、このデータは楽天「みんなの就職活動日記」登録会員の学生を調査対象としており、一般学生より意識が高い学生が多いため、一般的な平均値より内定率数値が高めに出ていることをご了解ください)。
 全体で見ると、2013年度卒の内定獲得率は44.4%となっており、東日本大震災で大きく出遅れた昨2012年度の43.6%とほとんど変わっていません。その前の2011年度は54.0%でしたので、その時よりは大きく悪化しています。これは、10月から12月に採用広報開始時期が遅れたことが影響していると見てよいでしょう。なぜなら、2011年度と2013年度の求人倍率はほとんど差がないからです。

 

 しかし、大学層別の内訳を見ると大きな差が生じてきます。
 旧帝大クラスと早慶クラスの学生を見ると70%以上が内定を獲得しており、昨年度より大幅に改善しています(12~20ポイント)。2011年度よりは5~8ポイント低いとはいえ、採用広報開始時期が2カ月後ろ倒しになったことを考えれば上出来と言えるでしょう。
 ところが、それ以外のクラスとなると、上位私大クラスを除き、軒並み昨年度より悪化していることが分かります。その他私立大学クラス(偏差値が50以下)に至っては24.3%と、一昨年から約10ポイント、昨年からでも約6ポイント低下しています。もろに採用広報開始時期の遅れが影響していると見られます。

 ここで冒頭に述べた、超大手の就職人気企業の採用選考がなぜ楽になったか(もちろんすべてではありません)について、上記のデータと合わせて推測してみましょう。
 超大手の就職人気企業でも、事前は苦戦を予測していました。それは、本エントリー数が減少していることと、会う学生の志望動機が弱いことでした。4月からの選考開始でターゲット学生が他社との綱引きになった場合、数が少なく志望動機が弱いという状況では、明らかに苦戦すると見ていたわけです。
 ところが蓋を開けてみると、比較的数が少ないから人物をじっくり見られることに加えて、学生の内定承諾が非常に早く、辞退率も少なかったというのです。来るべくして来た人を採用できた、というところでしょうか。

 逆の見方をすると、優秀層の学生とはいえ、短期化の中でアタックできる企業数が少なかったため、あれこれと迷うカードが多くなかったと言えます。また、一部の採用担当者から聞いた話では、同業とのバッティングが増え、異業種とのそれが減少したとのことでした。これは、学生が短期化の中で、業界を越えてあれこれ見る時間がなかったことが原因だったかもしれません。同じ業界であれば順列はほぼ明確なため、重複内定が出た時の迷いも少なかったと予測されます。
 
 実は私自身、これらの超大手の就職人気企業でも、ターゲット学生の採用数が充足せず、採用戦線は長期化すると見ていたのですが、その予測は外れました。そして、このクラスがすんなり収まってくると、次の企業クラスの採用は意外と速く進んでいくかもしれません。超大手が採用を引っ張らなければ、学生は目を次に移しやすいからです。

■現状では大半の企業が採用戦線はこれから本格化

 ただし、現状を見ると、その他の大半の企業群はまだほとんど内定数が充足していません。
 [図表2]は4月下旬時点の内定充足率(採用計画人数対する現在の内定者数)を示したものですが、「0%」の企業が53.4%あります。「110%」を超える企業は2.0%に過ぎず、「91~110%」でも9.4%と非常に低く、約9割の企業では内定数が充足していません。内定充足率が50%以下の企業が約8割あり、採用戦線の本番はまさにこれからと言えるでしょう。
 


 では、採用活動を継続する企業は、今後どのような施策を考えているのでしょうか。[図表3]が企業の回答データ(複数回答)です。


 
 最も回答が多いのは「新たに会社説明会を開催する」で、36.7%に上っています。ただ、逆に見ると、過半の企業は会社説明会ではなく個別対応(すぐに選考を実施)をするということなのでしょう。
 母集団形成では、「就職部・キャリアセンターとの連絡」「理系教授との連絡」「学内説明会」「合同企業説明会」「求人票を送る」などが挙げられており、学校対策が重要になっているようです。単独の回答としては「既存のエントリー者だけで選考を続ける」も18.8%みられます。また、「内定者に対するフォローが中心となる」企業も26.2%あり、攻めと守りをバランスよく行うことがより重要になってくるでしょう。

 また、今後の内定ピーク時期の予測について、規模計データを示した[図表4]によると、「5月前半」が事務系16.1%、技術系15.4%、「5月後半」が事務系18.9%、技術系17.7%、「6月前半」が事務系10.9%、技術系12.8%で、ここから徐々に落ちていきます。「8月以降」という回答は事務系8.4%、技術系7.4%です。当然の傾向として、大手企業ほど早く内定のピークを迎え、中小企業ほど後ろ倒しになります。図表には示していませんが、300名以下の企業では、「8月以降」に内定ピークとしている企業は、事務系12.1%、技術系10.3%です。

■どのような採用スタンスで臨むか

 企業の置かれたポジション、採用戦略によってもちろんやり方は変わってきます。
 一定数以上の採用人数を確保したい大手、準大手企業の場合、超大手人気企業のヤマが越えた現状では、学生は一気にその他の企業に目を向けていくため、早い対応が必要となります。この1~2カ月の時機を逸するとターゲットとなる学生を集めにくくなる可能性が大きいと言えます。既存のエントリー者で足りなければ、追加の母集団形成を急いだほうが良いでしょう。
 中堅企業、中小企業の場合、まさにこれからが採用の本番です。採用人数が一定数以上(数十人レベル)の場合は、やはり母集団の獲得がまず重要となります。採用人数が10人以下の場合は、大学へ問い合わせて参加できる学内セミナーを確認しつつ、学生の紹介を受けられないか聞くと良いでしょう。

 学生側の心理としては、当然のことながら焦っているので、早い結論が出そうな企業を好む傾向が強く出ます。単に会社説明会の告知をするだけでは、その後の行程が分からないために、早めに結論が出そうな企業を優先しがちです。どのような選考行程で、どれくらいの期間で内定を出すのかを明示すると、学生を集めやすいでしょう。

 ただし、矛盾するようですが、短期間で学生を見極めるということは、ミスマッチを起こす原因にもなります。学生は、取りあえず内定を取っておいて、あとはゆっくり志望企業を探すということにもなりかねません。仮に短期間の選考であっても、志望度をしっかりと確認しなければなりません。内定を出す前に、一般社員との懇談会に参加させるなどして、本気度を確認できると良いと思います。

 一方で、採用人数が少なければ、あえてじっくり選ぶ方法もあります。例えば、1次面接で絞り込んだ学生を、1~2週間インターンシップで働かせてみて、マッチングを見るというのも良いでしょう。いたずらに長引かせることは、学生に他の企業を見る機会を奪うことになるので良くはないのですが、双方がしっかり見極めることが一番大事だということを学生に納得してもらった上で実施できると良いと思います。
 
 母集団形成はタイミングの問題もあり、時機を逸するとターゲットとなる学生が集まりにくくなる半面、選考を早急にやると志望度が高まらないまま内定を出してしまい、ミスマッチを招きやすくなります。採用人数と企業の置かれたポジションによって、このバランスをうまく取ることがこれからの採用活動では求められるのです。

110506terazawa_pic.jpgのサムネール画像寺澤 康介 てらざわ こうすけ
HRプロ株式会社 代表取締役

86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(現HRプロ)を設立、代表取締役に就任。約20年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
http://www.hrpro.co.jp/


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