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使える!統計講座 【深瀬勝範】 [2012.04.11]

第36回 企業の能力開発の実態を見る ~能力開発基本調査~:使える! 統計講座


使える! 統計講座(36)
深瀬勝範 ふかせかつのり(社会保険労務士)
会社の教育訓練にかけた費用や教育訓練の実施状況は、門外不出の情報と思われるかもしれません。ところが、これらの調査結果を公表している統計もあるのです。それが厚生労働省の「能力開発基本調査」です。

1.能力開発基本調査とは

「能力開発基本調査」は、わが国の企業、事業所および労働者の能力開発の実態を正社員・非正社員別に明らかにし、職業能力開発行政に資することを目的として、厚生労働省が毎年実施する調査です。
調査項目は、次のとおりです。

(1)企業調査
企業の概要、企業の教育訓練費用、従業員に対する能力開発の方針

(2)事業所調査
事業所の概要、教育訓練の実施状況、人材育成、キャリア形成のための支援、職業能力評価の実施状況、技能継承

(3)個人調査
OFF-JT(通常の仕事を一時的に離れて行う研修のこと)の受講状況、自己啓発の実施状況、これからの職業生活設計

教育訓練やキャリア開発を担当している人はもちろんのこと、それ以外の従業員にとっても、参考になる情報が掲載されています。調査結果はインターネットでも公表されていますから、一度、閲覧してみるとよいでしょう。

2.企業が教育訓練に支出した費用を見る

「能力開発基本調査(2011年度調査)」から、教育訓練に支出した費用の労働者一人当たり平均額(費用を支出している企業の平均額)を見ると、OFF-JTは1万5000円、自己啓発支援は6000円となっており、いずれも前回よりやや増加しています。近年、日本企業が教育訓練に力をかけなくなったとも言われることがありますが、それでも、これだけの費用を支出しています。

【図表1】OFF-JTおよび自己啓発支援に支出した費用

[図表2~3]は、能力開発に支出する費用について、過去3年間の実績、および今後3年間の見込みについて調べた結果です。

正社員の場合、今後3年間のOFF-JTに支出する費用の見込みは、「増減なし」と回答した企業が34.3%と最も多く、その次が「上昇傾向にある」の30.4%となっています[図表2]。また、自己啓発支援に支出する費用の見込みは、「実績なし」が37.9%と最も多く、「増減なし」(30.6%)と「上昇傾向にある」(25.4%)がそれに続いています。

【図表2】能力開発の実績・見込み

正社員の能力開発については、今後も現状通り、あるいは今まで以上に力を入れていこうとしている企業が多いようです。

一方、正社員以外の場合は[図表3]、今後3年間のOFF-JTに支出する費用の見込みは、「実績なし」が47.2%と最も多く、その次が「増減なし」(30.5%)となっています。また、自己啓発支援に支出する費用の見込みは、「実績なし」が53.7%と最も多く、「増減なし」(27.2%)がそれに次いでいます。

正社員以外の能力開発は、現状において正社員に比べると十分に行われていると言い難(がた)い状況ですが、その傾向が今後も続くものと考えられます。

【図表3】能力開発の実績・見込み

3.OFF-JTの受講内容を見る

[図表4]は、従業員が受講したOFF-JTの内容に関する調査結果です。

OFF-JTの受講内容は、正社員では「マネジメント」「品質・安全」「ビジネスマナーなどの基礎知識」などが多くなっています。一方、正社員以外は、「品質・安全」「ビジネスマナーなどの基礎知識」「営業・販売」などが多くなっています。

【図表4】OFF-JTの受講内容(複数回答)

「マネジメント」「人事・労務」「経理・財務」に関するOFF-JTは、正社員と比較すると正社員以外に対しては十分に行われていません。これらの経営に直接的に関連する職務に関する研修は、正社員を中心に行われているということでしょう。これに対して、「営業・販売」や「医療・看護・福祉」のOFF-JTは、正社員以外が正社員を大きく上回っています。これらの職種では、正社員以外の者の活用が進んでおり、正社員以外に対する研修も積極的に実施されていることが分かります。

「語学」に関するOFF-JTの実施率は、正社員でも3.9%にとどまっています。多くの日本企業で海外展開が進む中で、この数字は低いようにも思えます。語学を習得したい従業員は、OFF-JTに頼らず、自分で勉強していくことを考えたほうがよいのかもしれません。

みなさんは、昨年1年間、どのような研修を受講されたでしょうか。
この調査の結果を見て、一度、自分の今後の能力開発についてじっくりと考えてみることをお薦めします。

 

深瀬勝範(ふかせ・かつのり)Profile
社会保険労務士
1962年神奈川県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、2001年より現職。営利企業、社会福祉法人、学校法人等を対象に人事制度の設計、事業計画の策定等のコンサルティングを実施中。


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