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コーピングで始める「自分改造計画」【田中ウルヴェ京】 [2012.04.11]

「べき思考」の同僚と上手にコミュニケーションを取る秘訣(ひけつ)


コーピングで始める「自分改造計画」~第7回:ケーススタディ(その5)

田中ウルヴェ京(メンタルトレーナー/コーピングコーチ)
株式会社MJコンテス 代表取締役社長

極めて仕事も正確で、スケジューリング、時間配分などもきっちり進めるAさんは上司のお気に入り。確かに仕事はできるのですが、一方で自分以外の人にも完璧を求めるため、周囲に厳しい叱責(しっせき)を飛ばすこともしばしば。直属の上司は見て見ぬふりをしていますが、彼女の周囲への対応はチームの和を時に崩します。同僚の自分としてはこの現場のピリピリモードは何とかしたい……。こんな状況で、あなただったらどのような対処をしていきますか?

7回目:ケーススタディ(5)

 仕事ぶりは極めて正確で、スケジュール管理も完璧な時間配分できっちりスムーズにこなしていけるAさんは、チームのほかの人にも自分と同じレベルを求めようとします。もともとの性格は決して悪くないのですが、責任感が強く、仕事に対するプライドも高いので、ほかの人がミスをすると厳しく叱責してしまい、職場全体がいつもピリピリしています。こうした状況を早くどうにかしたいものの、上司は見て見ぬふりです。どうしたらいいでしょうか。

■「べき思考」と「タイプA行動パターン」

 人が思うように動いてくれないことにイライラしてしまうAさんのようなタイプの人間は、往々にして「べき思考」と呼ばれる思考様式を持っています。これは、他人、あるいは自分に対し、「こうあるべきだ」「こうすべきだ」という理想、願望を強く持っているために、現実がそれにかなわない状況になると、ストレスをためてイライラしてしまう、というものです。  

 このようなタイプの方は同時に「タイプA行動パターン」(下記[編注]参照)と呼ばれる性格類型に当てはまる場合が多いことも特徴です。プライドが高く、過度な競争心、攻撃的かつ次のような行動面での特徴を持っているとされています。

□早口なしゃべり方
□落ち着きがない
□食事のスピードが速い
□神経質な癖(貧乏ゆすり)などがある

[編注]タイプA行動パターン:1950年代に、米国の医師フリードマンらが定義した性格・行動パターン。心臓・血管疾患の発症と密接な関係があると分析した。

 自らがこうした特徴を持っている場合は、自分自身で自分の行動を見つめなおし、セルフトークを変える、自らの「べき思考」を改善するなどのコーピングが有効になりますが、こうした特徴を持った第三者への対応となると、「どう相手に働きかけたらいいか」に悩むこともしばしばでしょう。

■「アサーション」というコミュニケーションのスタイルを学ぶ

 いくら仕事ができても、上司に気に入られていたとしても、職場におけるチームワークは大切なもの。自分の一方的な美学や、相手に通じない勝手な価値観の押し付けは、チームメイトにとっては迷惑にすらなることもあると思います。 

 しかしながら、相手に不満があっても何も言えなかったり、相手が無理なことを言ってきてもその要求にNOと言えないままにいたのでは、自分たちのストレスが消えることもなく、何の解決も見いだせないというものです。また、Aさんに対し、高圧的に問題点を指摘し、無理やり何とかしようとするような手段を取ることも賢明ではないでしょう。

 こうした場合にヒントになるのが「アサーション」を学ぶことです。アサーションとは自分の意思や気持ちを主張し、相手に押し付けるというスタイルを取らず、相手の心情や立場に配慮し、相手にとっても受け入れやすい表現によって、相手を確実に動かしていこうというコミュニケーションのスタイルを指します。

 図表を見てください。コミュニケーションには主に三つのスタイルがあると言われていますが、図中の「アサーション」というものが、そのスタイルに該当します。

[図表]アサーションの特徴 (日本実業出版社『ストレスに負けない技術』より抜粋)

■「WIN-WIN型」のコミュニケーション

 アサーションをベースにしたコミュニケーションでは、先にもお話したように自分を大切にすると同時に、相手のことも深く配慮していきます。相手の意見に押されがちになり、何も言えない、はっきり意見が言えないというような「消極的なコミュニケーション」や、強引で一方的に相手を操作しようとするような「攻撃的なコミュニケーション」ではなく、言うなれば「WINWIN型」のコミュニケーション・スタイルを取るというのがアサーション型コミュニケーションの特徴と言えるでしょう。

 Aさんのように仕事ができる「べき思考」の人とのコミュニケーションでは、その「べき志向」が周囲にとっては不快なものであったとしても、Aさんの中の苛立ちにも理解を示しつつ、職場の抱える問題点について本人と話していくことが重要でしょう。

■問題改善に重要なのは「聞く技術」

 アサーションで特に重要となるのは「聞く技術」です。問題改善を求めるあまり、Aさんに問題点を投げ掛け続けるというのでは賢い解決法は見いだせません。問題提示をした後は、時にはうなずいたり、あいづちをうつなどしながらAさんの話をしっかり聞き、疑問点やAさんの主張に対して、適切な質問をしながら、解決策を見いだすことが大切です。

 「他者の主張にも耳を向ける」という姿勢で相手とコミュニケーションを取ることは、相手への敬意の表れにもなります。感情的にならずに自分の主張をしっかり伝えるには、「聞く技術」を鍛えることは、とても有効な手段と言えるでしょう。

profile  田中ウルヴェ京(メンタルトレーナー/国立鹿屋体育大学客員教授)
1967年生まれ。聖心女子学院初中高等科を経て、日本大学在学中の1988年にソウル五輪シンクロ・デュエットで銅メダル獲得。1989~1999年に日本代表チームコーチ、アメリカ五輪ヘッドコーチアシスタント、フランス代表チーム招待コーチなどを歴任。1991年より渡米、米国カリフォルニア州セントメリーズ大学大学院健康・体育・リクリエーション学部修士課程修了。99年からは米国アーゴジー心理専門大学院にて認知行動療法とスポーツカウンセリングを、2000年米国サンディエゴ大学院にてパフォーマンスエンハンスメントとアスレティックリタイヤメントを学ぶ。2001年に起業し、心身の健康をテーマに、株式会社MJコンテスを経営。アスリートからビジネスパーソンまで幅広くメンタル指導を行う一方、東京・白金台と大阪にピラティススタジオ「DMJボディバランシング」を持つ。企業研修や講演は年に200を数え、最近では報道番組でコメンテーターも務める。夫はフランス人、二児の母。『書くだけで人生が変わる{感謝日記} すぐに幸福を引き寄せる30の方法』(実業之日本社)、『「リーダー力」を鍛える!メンタルトレーニング実践講座』(PHP研究所)など著書、共著、訳著多数。
http://www.mjcomtesse.com


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