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人事担当者のための「福利厚生」の基礎知識 [2012.03.01]

8.職場のレクリエーション・コミュニケーション施策

 

一般社団法人 企業福祉・共済総合研究所
主任研究員 秋谷 貴洋

1 職場のレクリエーションの目的

 職場のレクリエーション(以下「レク活動」)は、従業員の労働による疲労やストレスから回復、職場の人間関係の改善、事業主ならびに従業員間のコミュニケーションの活性化、さらには従業員の家族との親睦などを目的に展開されています。
 近年では、特に、心の健康の不調による職場休業者の増加や従業員同士のコミュニケーションがうまく機能しないとの理由から、それを改善あるいは予防する方法の一つとして、レク活動を再評価する企業も現れていますが、一般的な実施率は過去に比べて低下傾向にあります。
 法定外福利厚生制度の中でも、レク活動の歴史は古く、労使の安定や従業員同士の人間関係の安定、職場の一体感の形成などの目的で、観劇会や体育祭、クラブ活動、職場旅行などが展開されていました。現在でも、それらをはじめ、ボウリングやフットサル、ソフトボール、野球、テニスなどの球技スポーツが展開され、従業員とその家族との親睦の目的で、潮干狩りや果物狩り、ウォーキング大会、職場懇親会、バスツアー、スキーツアー、社内フェスティバル、コンサート観覧やスポーツ観戦などが実施され、地域住民を含んで工場見学や納涼会(夏祭り)、などの実施例が見られます。
 企業規模や業種、あるいは、現業部門と非現業部門などで差はみられますが、最近の一般的な傾向は、単なるレク活動にとどまらず社会貢献と結び付けた企画の登場や、宿泊型から日帰りあるいは短時間型へ、全社的な取り組みの減少などといった変化がみられます。この背景には、従業員などの参加意識の変化や、時間的あるいは経済的なゆとりの減少、職場のレクリーダーの不在などの理由があります。こうしたことから、終業時間後や宿泊を伴わないイベントの実施、イベント企画専門機関への委託、労働組合による参加の呼びかけなどの工夫が見られます。
 また、レク活動は企業の財政状況に左右される面もあり、不況期には職場のレク活動を一時凍結や縮小あるいは廃止する例も見られます。しかし、過去から伝統的なレク活動を行っている企業では、その存在が従業員にシンボリックなものとして親しまれている場合もあり、その縮小や廃止がきっかけで、組織内のコミュニケーションや生産能率の低下、業務上災害の発生件数の微増などが生じている例もみられることから、レク活動の見直には労使で慎重に検討することも必要となります。

2 支援方法や運営上の留意点

 レク活動の支援方法としては、施設の提供、イベントの開催、補助金の支給などがあります。
 まず、レク活動の運営主体については、企業、労働組合、健康保険組合、共済会のそれぞれに単独で行う場合と、これらの機関が共同で行う場合があります。事業主が主体となる例が多く見られますが、従業員の健康の保持増進に関わるイベントについては、企業と健康保険組合、労働組合と健康保険組合、などといったように福利厚生関連機関が共同で行う例が見られます。
 過去には大規模企業において、労使で構成された福利厚生委員会や健康管理委員会などで年間行計画を作成し、その計画をもとに、レク活動に関する企画や運営などはレク委員会を通じて行い、各事業所のレクリーダー(現在のレクリエーション・インストラクターなど)が実務的に行事を推進している例が多く見られました。
 しかし最近では、介護福祉士を対象とした福祉レクリーダーの養成がみられる一方で、一般の職場でのレクリーダーの養成は難しい環境にあることから、人事担当部門を中心に暫定的なイベント企画チームを設け、自社独自あるいは外部委託専門機関の協力を得て企画や運営を行う例も見られます。また、小規模企業の場合は、社内で幹事を選出し、その幹事を中心に企画や運営を進めていく例などもあります。
 実施単位については、職場のレク活動を行う目的によって、全社あるいは事業所単位、部課単位といった範囲で実施することとなります。例えば、大規模企業であれば社内運動会は全社的に、納涼大会は各事業所単位で、社内旅行は部課単位で行う、などといった方法も見られます。
 レク活動の開催に当たって、従業員に費用補助を行う例も多くみられますが、開催の趣旨によっては、事業主だけでなく労働組合や共済会、健康保険組合などもその全部または一部を負担している例もみられます。
 活動費の補助額は、日本経済団体連合会の「第55回福利厚生費調査結果報告」によれば2010年度の従業員1人1カ月当たり額は1049円となっていますが、実施主体やイベントの種類(職場旅行、クラブ活動、職場単位レク、イベントなど)、宿泊が伴うか否かなどによって、補助額は数百~数千円の範囲で分布がみられます。なお、補助の適正化を図るために活動報告の提出を前提とする例も見られます。
 また、旅行積立制度などを設け、労使協定によって賃金などから一部を控除して従業員が積み立てている例や、職場単位のコミュニケーションの促進を目的として、カフェテリアプランに集団取得ポイントを設け、部課単位で懇親会などを実施する際にポイントを取得できるプランを設けている事例もあります。
 なお、事業主からのレクリエーションの費用の課税の取り扱いは、その企画立案、主催者、旅行の目的、規模、行程、従業員等の参加割合、使用者および参加従業員等の負担額および負担割合などを総合的に勘案して判断されます。具体的には、①その旅行に要する期間が4泊5日(海外の場合には目的地の滞在日数)以内、②その旅行に参加する従業員等の数が全従業員等(工場、支店等で行う場合には、その工場、支店等の従業員等)の50%以上、といった原則としての非課税要件が示されています(所得税基本通達36-30)。これらを踏まえて補助の範囲を検討することも考えられます。

3 雇用の多様化と職場のレクリエーション

 近年では、雇用の多様化が進み、同一の職場で、正規従業員と非正規従業員(パートタイマーやアルバイトなど)、あるいは他国からの在籍も珍しいことではありません。したがってレク活動については、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平5.6.18 法律76)や「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平19.8.3 厚労告276)に基づいて、雇用形態や国籍に関わらず、参加希望者があれば参加の機会を提供するように努めることが重要となります。
 また、レク活動に関する災害についても、最近では従業員会主催のバドミントン大会後、帰宅途中の交通事故を通勤災害と認めない判例(東京地裁 平22.10.4判決)などもあることから、運営方法や災害防止の対応策なども併せて検討ならびに整備しておくことが望ましいといえます。

執筆者プロフィール
[写真] 秋谷 貴洋秋谷 貴洋 あきや たかひろ

法政大学大学院 社会科学研究科修士課程修了 1989年に(社)産業労働研究所(現・企業福祉・共済総合研究所)入所。企業福祉や健康保険組合の実務に関する調査や情報収集・提供に関する業務に従事し、現在に至る。

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