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マネジメントの視点からみた ワーク・ライフ・バランス時代の長時間労働削減とは [2011.07.25]

第6回 残業削減に向けた傾向と対策(2)-一見してムダだと分かる残業2「ダラダラ残業」「なりゆきまかせ残業」-

広田 薫 ひろたかおる

日本能率協会総合研究所 組織・人材戦略研究部 主幹研究員

前回は、「一見してムダだと分かる残業」のうち、「生活残業」「罰ゲーム残業」「付き合い残業」の三つを取り上げ、それぞれ残業がなぜ発生するのか、削減するにはどうしたらよいのか、について述べた。

今回は、「一見してムダだと分かる残業」の残りの二つ、分かってはいるのだけれどなかなかやめられない「ダラダラ残業」と「なりゆきまかせ残業」を取り上げ、それぞれの残業の傾向と削減に向けた対策を見ていこう。

図:1.生活残業、2.罰ゲーム残業、3.付き合い残業、4.ダラダラ残業、5.なりゆきまかせ残業 注)今回は4と5を取り上げる。

1.ダラダラ残業

例えば、勤務時間中、仕事をしているのかと思いきやネットサーフィンをして時間をつぶしていたり、休憩室でいつも私用電話をかけていたり、同僚とムダ話にうつつを抜かしている。結果として仕事が終わらずに残業してしまう。残業中も、仕事に集中しているかと思えば、夜食を食べに外に出て1時間も帰ってこない。このように、仕事の密度が薄く、いつまでも仕事の区切りを付けられずにダラダラ仕事をしていることを、その名のとおり"ダラダラ残業"という。

では、なぜダラダラと仕事をしていることを放置しておいてはいけないのだろうか。ダラダラと仕事をしていると、それが癖になってしまうからである。いったん付いてしまった癖はなかなか抜けないからである。いざというときにしっかりやればよいと思っても、頭と身体がついて来ず、結局思いのほか時間がかかってしまって締め切りに間に合わなかった、といったことが繰り返されてしまうからである。要は、伸びきったゴムがこれ以上伸びないのと同じである。

それでは、こうしたダラダラ残業をなくしていくにはどうすればよいのであろうか。そのためには、本連載の第2回1で述べたように、残業を行う場合、残業でどのような仕事をいつまで行うのかを事前に申請させることである。残業の発生要因がダラダラしている仕事ぶりのせいであれば、当人は上司に対して残業で行う仕事の内容をうまく説明できないだろう。このように残業を事前申告制にし、上司がその内容を精査したうえで残業を承認するという仕組みを回すことだけでもダラダラ残業は減少していくものである。

それと同時に、ダラダラ残業をしている社員一人ひとりの仕事の仕方を正していかなければならない。具体的には、ダラダラと仕事をしている社員に対して、仕事の密度を濃くしていくように促していかなければならないのである。そのための具体的な方法としては、毎朝、その日に自分がやらなければならない仕事を洗い出させ、終業時刻までに終わらせるにはそれぞれの仕事にどのくらいの時間をかければよいのかを見積もらせたうえで、仕事に取り掛からせるのである。そのうえで、終業時刻になったら、予定時間の見積もりと実際にかかった時間との差異をチェックさせ、時間が超過した場合にはその理由と反省点を考えさせるのである。こうした作業を毎日繰り返し行い、習慣づけさせることによって、毎朝立てる予定時間の見積もりが徐々に正確になっていき、おのずと予定時間内に仕事が収まるようになっていくのである。

1詳しくは、第2回連載「重要なのは、なぜ残業が発生するのか、その原因を上司と部下でともに考えること」を参照のこと。

2.なりゆきまかせ残業

納期の前日に、遅くまで残業するのは当たり前だろうか。そもそも時間に追われてよい仕事ができるだろうか。締め切りぎりぎりに仕事を終えたときの達成感、開放感を味わいたいがゆえに、本来求められる仕事の質や正確さを犠牲にしてはいないだろうか。

"なりゆきまかせ残業"というのは、そもそもスケジュールも満足に立てずになりゆきまかせに仕事をしているので、締め切り間際になっても仕事が終わらず、結局遅くまで残業をしなければならない状況のことをいう。

確かに、締め切りが近づけば近づくほど集中力を発揮して、仕事をあっという間に終わらせてしまう人がいるのも事実である。ただし、そういう人であっても、しばらくたってからもう一度見直してみると、「ああすればよかった、こうすればよかった」という反省点が出てくることもまた事実であろう。一時の達成感や開放感の後にじんわりと後悔の念が浮かんでくるのである。

それではどうすればよいのか。締め切り間際にバタバタと仕事をせざるを得ないからといって、納期にゆとりを持たせたとしてもそれでは解決策にはならない。いくら納期にゆとりがあったとしても、直前にならないと仕事に取り掛からないのでは、残業に頼らざるを得ないことには変わらないからである。夏休みが7月20日から8月30日までの40日間もあるのに、8月末にならないと取り掛からない小学生の宿題と同じである。

こうしたなりゆきまかせ残業を防ぎ、納期を前にして余裕を持って仕事を見直す時間を持つために重要なのは、納期の直前にバタバタと仕事をしているときについ思ってしまうことを思い返し、忘れずに実行に移すことだ。すなわち「もっと早くから手をつけておけばよかった」ということである。「納期」、すなわち「いつまでに終えればよいのか」を意識するのではなく、「いつから始めればよいのか」を常に意識してスケジュールを組むのである。仕事を請けたら、たとえ納期までかなりの時間があったとしても、それに安心するのではなく、仕事のゴール、アウトプットのイメージや方向性、押さえるべきポイントをまずは考え、早い段階で仕事の全体像を描いてしまう。そのうえで、締め切りから逆算して大まかなスケジュールを立ててしまうわけだ。スケジュールを立てる際には小さな締め切りをいくつか設けて、その締め切り目指して、いつから手をつけるかを決めていくことである。重要なのは「いつから始めるか」なのである。

以上、2回にわたって、「一見してムダだと分かる残業」という比較的イメージしやすい残業の形態について、その傾向と削減に向けた対策を見てきた。ただし、残業はこういった分かりやすいもの、だれもが削減しなければならないと納得できるものばかりではない。

次回からは、「一見問題のない、いやむしろ一生懸命頑張っているように見えてしまう残業」について取り上げ、それぞれなぜ削減しなければならないのか、また削減のための対策について見ていこう。

図:一見問題のない、いやむしろ一生懸命頑張っているように見えてしまう残業のタイプ

※次回は2011年8月8日に掲載します。

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写真:広田 薫さん

Profile

広田 薫 ひろたかおる

日本能率協会総合研究所 組織・人材戦略研究部 主幹研究員
1962年神奈川県横須賀市生まれ。1985年中央大学法学部卒業。2003年法政大学大学院政策科学専攻修士課程修了(政策科学修士)。
厚生労働省などから労働時間管理に関するプロジェクトを20年以上にわたって多数受託・研究。民間企業に対する残業削減、ワーク・ライフ・バランス推進といったテーマの研修・コンサルティング・ソリューション提案などにも豊富な実績を持つ。
主な著書:『経営環境の変化に応じた労働時間管理の進め方(厚生労働省「労働時間制度改善セミナー」テキスト)』(全国労働基準関係団体連合会)、『義務化!65歳までの雇用延長制度導入と実務』(2004年7月発行:日本法令)。なお、本テーマでは『労政時報』第3735号(08.10.10)に『マネジメントの視点から見た残業削減の進め方-生産性向上とワーク・ライフ・バランス実現に向けた長時間労働削減の視点と対応策』を執筆。


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