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マネジメントの視点からみた ワーク・ライフ・バランス時代の長時間労働削減とは [2011.07.11]

第5回 残業削減に向けた傾向と対策(1)-一見してムダだと分かる残業1「生活残業」「罰ゲーム残業」「付き合い残業」-

広田 薫 ひろたかおる

日本能率協会総合研究所 組織・人材戦略研究部 主幹研究員

前回は、「ノー残業デー」を、仕事に対する意識や仕事の仕方を見直し、ムダな働き方を改める契機としてとらえることが重要であると述べた。ムダな働き方は残業という形で表に出てくる。したがって、残業の内容を詳細に見ていくことによって、その裏に潜んでいるムダな働き方をあぶり出し、それを一つひとつつぶしていかなければならない。

それでは、ムダな残業というのはいったいどういうものなのだろうか。前回、ムダな残業には、一見してムダだと分かる残業と、一見問題のない、いやむしろ一生懸命頑張っているように見えてしまう残業の2種類あることを提示した。今回は、そのうち、比較的分かりやすい、「一見してムダだと分かる残業」のうち、「生活残業」「罰ゲーム残業」「付き合い残業」の3つを取り上げ、それぞれの残業のタイプの傾向と削減に向けた対策を見ていこう。

図:1.生活残業、2.罰ゲーム残業、3.付き合い残業、4.ダラダラ残業、5.なりゆきまかせ残業 注)今回は1~3までを取り上げる。

1.生活残業

生活費やローンの返済に残業代を当て込んでいるために、たいして仕事もないのに残業したがる方があなたの周りにいないだろうか。以前、「家を新築してから早く家に帰るようになりました」「それでは残業代が稼げないから住宅ローンが大変だね」「それでも早く帰りたいほど良い家なんです」といった一戸建て住宅のテレビCMがあったが、これはまさしく住宅ローン返済のための生活残業そのものであり、こうした残業は仕事の成果とは一切関係がない。

よって、まずもって、削減というか全廃していかなければならないものである。そもそも、生産性の向上とは最小のエネルギーで最大のアウトプットを上げること、すなわち仕事の効率化を図り、限られた時間の中で最大の成果を上げることである1。アウトプットが変わらないのに労働時間というインプットが増えることはまさしく生産性がダウンすることであり、こうした認識を職場や社内に浸透させなければならない。節電時代を生き抜くに当たっても、短時間で成果を上げた者を評価する仕組みを再構築することが求められる。

1筆者の考えるホワイトカラーの生産性向上、また、節電時代を生き抜くための働き方の見直しについては、第3回連載「生産性の向上とは最小限のエネルギーで最大のアウトプットを上げること」を参照のこと。

2.罰ゲーム残業

罰ゲーム残業とは、聞きなれない言葉だと思われるが、あなたの周りに、「何でこの人、たいした仕事もしていないのにいつも遅くまで残っているんだろう」という人がいたら、その中で少なくない人が陥っている残業のパターンである。この残業に陥る人にはあまり成果を上げておらず、成果を上げていないことに「うしろめたさ」を感じている人が多い。成果を上げている人が遅くまで会社に残って働いているので、成果を上げていない自分が早く帰るわけにはいかない、せめて会社に居残り、成果を上げている人と同じ時間を共有することで成果の出ない罰を受けようという屈折した感情に囚われているのである。

これについては、そもそも会社に長くいることで成果が出せていないことの責任を取るような非合理な風土を壊していく、もしくは、はじめから作らないことが肝要である。そのためには、上司は、こうした社員が会社に残って何をしているのかを明らかにし、それが成果と結び付かない行動であれば、即刻やめさせ、早く帰らせることから始めなければならない。まずは、早く帰ることの「うしろめたさ」を振り切らせてやり、そのうえで、成果を出すにはどうすればよいのかを自らが考えるように促すのである。

3.付き合い残業

付き合い残業とは、上司や同僚が残業していると、つい付き合って残業してしまい、なかなか帰社しないことをいう。こうした付き合い残業が恒常化すると、職場に早く帰りづらい雰囲気ができてしまい、残業するのが当たり前という風土になってしまう。

この場合、上司や同僚が退社しないと帰宅しづらい、また、一緒に職場を出たいといった「なあなあ」な職場の雰囲気によるもの(「なれあい残業」)と、同僚、ライバルが残業しているなら自分も残って残業しなければ、といったお互いにけん制しあって残業を続けている「ギスギス」した職場の雰囲気によるもの(「けん制残業」)の2種類に分けることができる。

このうち、前者の「なれあい残業」については、まずは上司自らが仕事が早く終わったら定時に帰ることから始めるとよい。上司は、部下が心配であるが故に遅くまで会社に残っているケースも多いが、逆にそれが部下の負担になっていることを知るべきである。上司は、部下の仕事をフォローするならしっかりする、しないなら早く帰るといったメリハリをつけ、それにより相互のなれあいと依存心を排除することで、自立・自律した社員の集合体としての職場づくりにまい進するのである。

後者の、「けん制残業」については、部下同士のライバル心をあおりながら競争させ、お互いの成長を促すことそれ自体は、上司として必要なマネジメントである。しかしながら、それが過度に行き過ぎて残業すること、会社に長くいることが目的化してしまっては意味がない。したがって、ここでもやはり、評価の一つとして「単位時間生産性」という考えを取り入れ、共通の評価軸のもとでの競争を促すのである。

次回は、一見してムダだと分かる残業のうち、大きな問題であると皆が感じているもののなかなか減らすことができない「ダラダラ残業」と「なりゆきまかせ残業」を取り上げ、それぞれの残業のタイプの傾向と削減に向けた対策を見ていこう。

※次回は2011年7月25日に掲載します。

写真:広田 薫さん

Profile

広田 薫 ひろたかおる

日本能率協会総合研究所 組織・人材戦略研究部 主幹研究員
1962年神奈川県横須賀市生まれ。1985年中央大学法学部卒業。2003年法政大学大学院政策科学専攻修士課程修了(政策科学修士)。
厚生労働省などから労働時間管理に関するプロジェクトを20年以上にわたって多数受託・研究。民間企業に対する残業削減、ワーク・ライフ・バランス推進といったテーマの研修・コンサルティング・ソリューション提案などにも豊富な実績を持つ。
主な著書:『経営環境の変化に応じた労働時間管理の進め方(厚生労働省「労働時間制度改善セミナー」テキスト)』(全国労働基準関係団体連合会)、『義務化!65歳までの雇用延長制度導入と実務』(2004年7月発行:日本法令)。なお、本テーマでは『労政時報』第3735号(08.10.10)に『マネジメントの視点から見た残業削減の進め方-生産性向上とワーク・ライフ・バランス実現に向けた長時間労働削減の視点と対応策』を執筆。


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