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[2011.07.04]

退職後、同業他社へ転職した労働者に対しては退職金を支払わないとする取り扱いは認められますか?


A 禁止する競業行為の範囲を限定した上で、これに反した場合に退職金を減額することは可能です。また、競業行為の態様が極めて背信的な場合には全額不支給とすることも許容されることもあります。

1.退職金の支給制限条項

退職金について、就業規則・退職金規程等で、一定の場合に退職金の全部または一部を不支給にすることを定め、それに沿って退職金(全部または一部)を不支給にすることは可能です。しかし、退職金は、勤続年数等による一定の算定方法によって計算された金額がその支給額の基礎となることから、賃金の後払い的性格を有するとも考えられています。そのため、退職金の減額・不支給条項に該当した場合であっても、退職金の減額・不支給の範囲は合理的範囲に制限されます。

2.同業他社へ転職する者への支給制限条項の有効性

退職後、同業他社に転職した者に対する退職金の減額・不支給条項を設けることも、違法ではありません。しかし、裁判例から考えれば、禁止する競業の範囲(場所・期間等)を合理的な範囲にとどめたうえで、その代償措置を設けるか、あるいは強度に背信的な場合に全額不支給とするというのが現実的な措置でしょう。一般的には退職金の減額にとどめておくのが妥当です。

3.退職金の支給制限条項に対する裁判所の判断例

(1)同業他社へ転職した場合には、退職手当の2分の1を減額するとした就業規則の規定は、退職後「ある程度の期間」中に同業他社に転職した場合には、勤続中の功労に対する評価が半分に減殺されるという趣旨の範囲であれば許されるとされています(参考資料①)。

(2)区域、期間を限定し、同業他社へ転職をした者の退職金の支給額を、一般の自己都合退職の場合の2分の1とする規定は、労働者の転職の自由を著しく制限することにはならないので有効とされました(参考資料②)。

(3)競業避止義務を課されることを退職確認書で合意した労働者の退職金を不支給にしたケースで、会社が労働者に競業避止義務を課することに対する代償措置がないことを理由に、当該合意が公序良俗に反して無効であると判断しました(参考資料③)。

(4)時間的、場所的制約が明記されず、専ら会社の判断による競業避止契約を強制するような内容の退職金規程は、職業選択の自由を著しく制約するもので、公序良俗に反し無効と判断されました(参考資料④)。

<参考資料>
①三晃社事件(最高裁二小 昭52.8.9判決)
②ジャクバコーポレーションほか1社事件(大阪地裁 平12.9.22判決)
③東京貨物社(退職金)事件(東京地裁 平12.12.18判決)
④ソフトウェアほか事件(東京地裁 平13.2.23判決)

回答者:本田和盛 社会保険労務士(あした葉経営労務研究所 代表)


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