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[2011.07.12]

1年間の長期海外出張を業務命令として一方的に命じられますか?


A 権利の濫用と判断されることがないように、労働者の不利益を緩和する措置を設けるなどの対応を行うべきです。

出張とは、所属する事業場から遠隔地にある他の事業場に赴き、比較的短期間そこで労務提供を行うもので、使用者が指揮命令権に基づき、労働者に対し勤務場所等を当然に指示・命令することができます。
ただし、海外出張に関しては、国内出張に比べ出張期間が長期に及び、労働環境等も大きく異なることから、就業規則等において海外出張命令に関する根拠がなければならず、国内の長期出張や転勤などの規定を代用することはできないものと考えられます。海外出張に関する根拠が明確であれば、会社は労働者に対し、海外出張命令を発することができますが、その際に権利の濫用の有無が問題となります。配転に関する判例では、下記のような命令は権利の濫用として判断されています(参考資料①)。

①転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合
②業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき
③労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき

長期にわたる海外出張の場合、短期間の国内出張とは異なり、労働環境の変化も大きく、労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものとなるような場合には、出張命令権の行使が権利の濫用とされる可能性もあると思われます。
海外出張に関する規定が存在し、その根拠自体は問題にならないとしても、長期海外出張を命じるに当たっては、労働者の不利益性とのバランスなどの面で権利の濫用として判断されることがないように対応する必要があると考えます。

長期にわたる出張を命じざるを得ない場合の実務的な対応としては、一方的にこれを命ずるのではなく、事前に出張期間の設定、期間中の帰国援助、海外出張中の日当などの各種措置などを検討し、包括同意だけでなく、労働者の個別同意を得るなどして後日紛議とならないようにしておくことが望まれます。

<参考資料>
①東亜ペイント事件(最高裁二小 昭61.7.14判決)
神戸営業所勤務の社員Aに対し、広島営業所への転勤を命じたところ、Aが家庭事情を理由にこれを拒否。このため、会社は、別の者を名古屋営業所から広島営業所へ転勤させる一方、その後任としてA に名古屋営業所への転勤を命じたが、Aはこれも拒否。会社がAを懲戒解雇した事案。
Aは、71歳の母親、妻、長女の4人家族で、母親はその年齢や生活環境等に照らし、名古屋移住は困難であり、妻も保育園の保母として勤務していた。
最高裁は、①転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合、②業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき、③労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等には、権利の濫用であるが、本件については、業務上の必要性が存在し、Aに対する家庭生活上の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度のものであり、本件転勤命令は権利の濫用に当たらないとした。

回答者 益田浩一郎 社会保険労務士(益田社会保険労務士事務所 代表)


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