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日本人事 ~プロが語る 人事魂~
テイクアンドギヴ・ニーズ取締役 桐山大介さん
[2011.08.26]

【日本人事】人事パーソンは、会社の成長とともに、常に進化し続けなければいけない テイクアンドギヴ・ニーズ 桐山大介さん(3/3)

日本人事 ~人事のプロから働く人たちへ~(11)
第3回 テイクアンドギヴ・ニーズ取締役 桐山大介さん

取材・文:溝上憲文(ジャーナリスト)

企業において、一人ひとりの社員の力を引き出す役割を担い、企業競争力のカギを握る人事部。とはいえ、精緻に造りこんだ人事制度は、果たしてその会社で働く社員たちにとって、本当に役に立っているのか?――そんな問いに頭を悩ませる人事パーソンも少なくない。
ハウスウエディング事業を展開するテイクアンドギヴ・ニーズ取締役の桐山大介氏は、早期退職(リストラ)実施という「修羅場」を経験した後、新卒入社した会社を退職。その後、人事コンサルティング会社、ベンチャー企業へと活躍の場を移しながら、常に「人事担当者とは何をすべきなのか?」「人事制度とはだれのためのものか?」と自らに問い掛け続けてきた。最終回となる今回は、豊富な経験を基に培ってきた人事パーソンとしての「気概」について語っていただいた。

誰のための人事制度か、制度を使って何を実現しようとしているのか?

1998年に日軽金(日本軽金属)を退職した桐山氏は、外資系の人事コンサルティング会社に入社する。桐山氏は「コンサルティング会社に入ったのは、いわば人事のテクノロジーを学びたいと思ったからです。日軽金時代に様々な仕事をしてきましたが、自分自身の棚卸しをしたかった」と、その動機を語る。

桐山大介さん(テイクアンドギヴ・ニーズ 取締役) 

当時は、山一証券の廃業や銀行の再編などに象徴されるように企業業績の低迷により多くの企業が事業構造改革に着手していた。その一環として人事制度改革に踏み切る企業も多かった。いわゆる成果主義の導入である。桐山氏もコンサルタントとして大手企業の人事制度改革に携わった。しかし、その一方で人事制度の在り方に疑問を持つようになったという。

「どこの会社の人事部も新制度を作るに当たり、職種を細かく分け、さらにグレードを設けようとします。職務調査をして、職種と階層のマトリックスを作ろうとしますが、でも、そんなに職種やグレードが必要だろうかと思っていました。また、人事制度をよく知っている人事マンほど細かく精緻なものを作りたがります。この事業とあの事業部は違うからという理由で職種を広げ、ここから上に上がる時はこの試験が必要だ、とか。しかし、それは人事という蛸壺(たこつぼ)の世界に暮らす人が自己満足のために一所懸命にやっているだけではないか。そして、人事が完璧(かんぺき)な制度を作ろうとすればするほど、逆に社員を子供扱いしていることになるのではないかと感じたのです」

桐山氏が感じた根本的な疑念は、一体だれのための人事制度なのかということだろう。人事制度を使って、何を実現しようとしているのか。そうした明確なコンセプトがなければ、完璧な制度を作ること自体が目的化し、逆に社員の手足を縛るだけにすぎない。コンサルティングの仕事を通じて感じた疑念はやがて、「自ら制度の構築を手掛けたい」という思いに変わっていく。

「ベンチャーという発展途上の土壌のなかで、自分が思い描く制度を作ってみたい」

桐山氏は、1999年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に入社する。翌年には人事担当の執行役員として采配を振るうことになる。入社の動機の一つは「ベンチャーという発展途上の土壌のなかで自分が思い描く制度を作ってみたい」というものだった。

同社は、創業15年目で上場を目指していた。桐山氏の最初の仕事はメンバー集めから始まった。内外からこれはと思う人材を起用するとともに育成もしなければならない。ベンチャーならではのゼロから人事部を立ち上げるという仕事に忙殺された。そして、会社の置かれた状況と社員の実状を知るにつれ、人事制度に対して抱いていた疑問がさらに膨れ上がった。

「CCCは、私が入る3年前に社員500人なのに300人を採用しています。プロパーでも私より5歳下の人が現場の長であり、若い社員が多いのです。これから社会人として長いレースを走るにもかかわらず、100メートル先のゴールを決めて競争させる人事制度でいいのかという疑問です。

私は当時の上司に『ビーフシチューを作る人と焼きそばを作る人を競争させて3分後にどちらがうまいかを決めるやり方をしていては、いつまでたってもビーフシチューはうまく作れませんよ』と絶えず訴えていました。期間に仕事を合わせるのはおかしくないかということです。要はルールを作れば作るほど、失うものがたくさんあるという実感を持っていました」

CCCでは社会的な汎用性を意識し、もっと簡単な仕組みにするにはどうしたらいいのかについて人事部員と議論した。その結果、生まれたのがコンピテンシー、つまり行動モデルに基づく全社共通の五つの階層である。桐山氏は、ボートモデルを使ってこう解説する。

「入社直後の一定期間は、『一所懸命にボートを漕いでいるかどうか』を見る。まずは、可塑性の低いエネルギー項目のチェックです。その次の段階は『早く漕いでいるのかどうか』、つまりエネルギーの合理性をみる。さらに次の段階は『上手に漕いでいるのか』、つまり質的な合理性を見ます。ここまでが新人から新任課長までのイメージで、当然に自分の仕事を遂行するにおいて、周囲の影響度合いが加味されていく。

続いて4階層目の人は『うまく指示を出しているのかどうか』を見る。ある意味、いつまで漕いでいるのかを問う。5階層目の人はボートを降りて『灯台から海を見てボート全体の方向性を示すことができるかどうか』、いわば部長職以上のイメージです。いつまで、ボートに乗っているのかを問うのです。

いろいろな会社の細かい制度はありますが、最終的には5階層に集約されるのではないかと考えたのです。あくまでも一定の汎用性を担保した影響力行動モデルとして提示しました。ベンチャーの事業の柔軟性を意識したのはいうまでもありません。

そして、職位も社長、部長、一般社員の3層というシンプルなモデルにしました。この制度であれば、実感として、多くの業態をカバーできるし、仮に会社が大きく路線を変更しても、また不幸なことがあっても、社会に照準を合わせていれば、路頭に迷うことはないだろうという隠れた意図がありました」

人事パーソンは会社の成長とともに、常に進化し続けなければいけない

桐山氏は日軽金をはじめ、転職先でも経営と表裏一体になり、一貫して人事畑を歩んできた。経験した企業は創業期のベンチャー企業に始まり、発展期の企業、さらには衰退期の企業とそれぞれ成長ステージの異なる企業である。そこで得た教訓は、人事パーソンは会社の成長とともに常に進化し続けなければいけないということだ。

最後に人事パーソンに対してこうメッセージを送る。

「企業は創業期、発展期、成熟期、衰退期という流れで必ず進化していくものです。例えば、創業期にある会社の経営者は早く次のステージに入ろうと経営の舵を切ろうとしますが、源泉となる根っこはまだその準備ができていません。その対応をするのが人事の重要な仕事です。それをいいかげんにしたまま制度を構築してしまうと、現場は大きな矛盾を抱えてしまうことになります。

人事は会社の成長ステージを見極めながら、それに対処する。そのためには人事パーソン自身も変化への対応力が必要であり、会社のステージを理解した柔軟性が求められます。

過年度主義、業界横並び主義が蔓延する人事業界ですが、変化の激しい現在においては、会社自体のステージを見極め。ときには、自らの活躍できるステージが異なるならば、潔く去る覚悟を持つべきです」

ノブレス・オブリージュ。サラリーマンではない、人事パーソンとして責任を貫く気概は今も失わない。1人の人事屋として、創業期から衰退期に位置する企業の人事の世界を現場から経営のレベルまで経験してきた、桐山氏ならではの示唆に富んだ指摘である。

Profile
桐山大介(きりやま だいすけ) テイクアンドギヴ・ニーズ取締役
1987日本軽金属入社。その後、外資人事コンサルタント会社、日本のベンチャー企業の上場など、一貫して、人事業務に携わる。04年、テイクアンドギヴ・ニーズ入社。取締役人事部長を経て、現職。


「日本人事 ~人事のプロから働く人たちへ。時代を生き抜くメッセージ~

これは人事の指南書ではなく、企業人事の第一線で活躍する人事パーソンからの、等身大のメッセージ。それが「NIPPON JINJI」です。

労務行政研究所 編
取材・文 斎藤智文/溝上憲文
A5判・336頁・1,890円(本体1,800円+税)


登場する人事パーソン(会社名50音順)
[アサヒビール株式会社 執行役員人事部長]丸山高見氏、[株式会社資生堂 人事部部長]高野幸洋氏、[東洋エンジニアリング株式会社 元人事部長]遠藤勝己氏、[トヨタ自動車株式会社 常務役員]吉貴寛良氏、[株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ 取締役]桐山大介氏、[株式会社良品計画 代表取締役会長]松井忠三氏 ほか


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