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日本人事 ~プロが語る 人事魂~
テイクアンドギヴ・ニーズ取締役 桐山大介さん
[2011.08.25]

【日本人事】早期退職実施という修羅場の中、「人事の使命」「会社における人事の役割」という原点に絶えず立ち返った テイクアンドギヴ・ニーズ 桐山大介さん(2/3)

日本人事 ~人事のプロから働く人たちへ~(10)
第3回 テイクアンドギヴ・ニーズ取締役 桐山大介さん

取材・文:溝上憲文(ジャーナリスト)

企業において、一人ひとりの社員の力を引き出す役割を担い、企業競争力のカギを握る人事部。 「日本人事─NIPPON JINJI」では、経験豊富な人事パーソンに、仕事を通じて味わった「つらさ」「喜び」「やりがい」など、 人事として働くことの原点・本質を語ってもらった。
ハウスウエディング事業を展開するテイクアンドギヴ・ニーズ取締役の桐山大介氏は、事業再編のさなかにあった製造業の会社に入社し、早い時点から採用業務などで孤軍奮闘を重ねてきた。第2回となる今回は、30代半ばとなった桐山氏が味わったもう一つの「修羅場」である、早期退職(リストラ)実施時の経験と、そこから得た「想い」を語っていただいた。

「早期退職実施の実務担当を命ず」

桐山氏が経験したもう一つの修羅場は、34歳の時である。桐山氏にとって人事の役割、使命とは何かについて考える契機ともなった。

バブル期の一時期に生産は拡大したが、崩壊後に、当然取り巻く環境は低迷し、再び全社的なリストラに踏み切ることになる。桐山氏が32歳からの3年間は、人事部全体がリストラ業務に終始することになる。

「当時は手厚い退職金の優遇措置があり、手を挙げる応募者も多く、それほど苦労しませんでしたが、再就職先がなかなか見つからない人も多くいました。人事部としては『少しでも路頭に迷う人を少なくしよう。そのためなら人事の枠組みなど気にせずにできる限りのことをしよう』という気持ちで懸命に動いていました」

桐山大介さん(テイクアンドギヴ・ニーズ 取締役) 

退職する社員の再就職先を探すためにいろいろな企業を訪ね歩いた。桐山氏も群馬や山梨の工業団地の企業を1軒1軒回った。飛び込みで社長に面会し、こう言って深々と頭を下げた。

「日本軽金属の人事の者です。僭越(せんえつ)ながら人の採用はなかなか大変だと思いまして、ぜひご紹介したい人がおり、お伺いした次第です。人材紹介会社に依頼されますと、手数料として年収の20~40%を取られます。私どもの場合、最初、当社は出向という形を取り、給与の半分をそちらで持っていただくだけで結構です。実績を見ていただいた上で、転籍させてください」

一緒に飲みに行っていた、直属の上長や先輩たちへの早期退職面談

かばんには退職する社員の職務経歴書が入っている。その前に社員と個別に面談し、それぞれの希望を聞いていた。1人でも多くの社員の行く先を確保したいという思いで、人事部員全員が駆けずり回った。しかし、そんな桐山氏も「直属の上長がいる管理系社員のリストラはこたえた」と言う。人事部のグループリーダーという初期課長職にあった桐山氏は、担当役員に呼ばれ、こう命じられた。

「これから、特別プロジェクトの仕事をしてもらう。他の社員にどんな仕事かと聞かれたら、『個別の制度プロジェクトのスタディをやっている』と答えておけばいい。上長には私のほうから言っておくから」

要は45歳以上のホワイトカラー約150人の早期退職実施の実務担当を命じられたのである。緊張感と違和感のある仕事であった。

「人事部にいる私の上司にあたる人は、全員が対象になります。会社としては、資金的にも余裕のある今しかやれないと判断したのです。私の仕事は優遇措置制度の企画・立案をはじめ、退職に応じてもらう具体的な仕組みの設計など退職スキームを作り上げることでした。

退職金については、一定年齢以上を事実上の定年退職扱いとし、その定年扱いの通常退職金に割増額を加えます。それ自体はいいのです。しかし、これまでは事業の不振を理由に立て直すための“攻めのリストラ”という側面がありましたが、今回はそれだけではない。

しかも、対象となるのは普段一緒に飲みに行っている先輩たちですし、個人的にもきつかったです」

しかし、業務は遂行しなければいけない。リストラ対象者と面談し「お前なんかにそんなことを言われる義理はない!」と怒鳴られたことも一再ではない。

「人事の使命」「会社における人事の役割」という原点に絶えず立ち返る

リストラを無事に遂行したものの、桐山氏は最後まで忸怩(じくじ)たる思いであった。そして、リストラが完了したら会社を辞めようと決めていた。

「特に理屈はありません。この業務の前後は、それこそ血の池に布団を敷いて寝ているような感じでした。お世話になった人事部の先輩や上司も何人も辞めていきました。ある先輩は『桐山、希望退職の締め切りはいつまでだ。俺も辞めるから締め切るなよ』と言って、辞められた。残られた方は残られた方で、相当の覚悟を決めて懸命に仕事をされていた。人事部の先輩は、いろいろな意味で、腹を切る時は皆潔く切るのです。人事部にいて、私は人事の使命とはなんだ、会社における人事の役割とはなんだと、この原点に絶えず立ち返って物事を考えることを教わりました。

そして人事はノブレス・オブリージュ(高貴さゆえの義務を果たす)たれと常に言われ続けました。第1次世界大戦に従軍した兵士のなかで、イギリスの貴族の子弟の戦死者が多かったように、『会社がいざというときになったら一番先に死ぬのが人事だ』と言われました。その精神はだれもが持っていて、単なるサラリーマンではありません。私にとって日軽金での12年間は馬車馬のように働かざるを得ませんでしたが、相当に密度の濃いものでした。

しかしながら、これらも、会社の度量があってこそだと思います。心の底から会社、上司に感謝している。今、人事担当者がなかなか育たないのも彼らに会社が心底、仕事を任せていないからではないかと。仕事を任せて、数々の失敗に見て見ぬふりをして時間をかけて人を育てていくというのは、昭和ならではの良さであり、会社、上司の腹のすわり方があってこそだと思っています」

Profile
桐山大介(きりやま だいすけ) テイクアンドギヴ・ニーズ取締役
1987日本軽金属入社。その後、外資人事コンサルタント会社、日本のベンチャー企業の上場など、一貫して、人事業務に携わる。04年、テイクアンドギヴ・ニーズ入社。取締役人事部長を経て、現職。


「日本人事 ~人事のプロから働く人たちへ。時代を生き抜くメッセージ~

これは人事の指南書ではなく、企業人事の第一線で活躍する人事パーソンからの、等身大のメッセージ。それが「NIPPON JINJI」です。

労務行政研究所 編
取材・文 斎藤智文/溝上憲文
A5判・336頁・1,890円(本体1,800円+税)


登場する人事パーソン(会社名50音順)
[アサヒビール株式会社 執行役員人事部長]丸山高見氏、[株式会社資生堂 人事部部長]高野幸洋氏、[東洋エンジニアリング株式会社 元人事部長]遠藤勝己氏、[トヨタ自動車株式会社 常務役員]吉貴寛良氏、[株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ 取締役]桐山大介氏、[株式会社良品計画 代表取締役会長]松井忠三氏 ほか


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