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解剖!“外資”に学ぶ人材マネジメント
File:3 ファイザー
[2010.11.26]

解剖! “外資”に学ぶ人材マネジメント~今さら聞けない成果主義の本当のトコロ【ファイザー編③】


File:3 ファイザー(3/3)
和田東子(わだ とうこ HRDジャーナリスト)

近年はどの企業でも業務の難易度が上がっていく中、管理職の仕事もまた、かつて以上に難しくなり、その重要性も増しています。現在のファイザーにおいて、管理職の役割や課題はどこにあるのでしょうか。 

■管理職はつらい?……さらに多くを求められる管理職

田中 最初にお話したとおり、仕事は年々、高度化しています。かつては管理職が行っていたレベルの仕事を一般社員の上位ランク者が行うようになり、管理職にはさらに付加価値の高い仕事が求められるようになりました。私も管理職ですが、管理職としてはなかなか厳しい時代になったと感じています。

――これまでと同じ仕事の仕方では、管理職としての役割を果たせなくなってきた、ということですね。ジョンソン・エンド・ジョンソンでも、管理職のコンピテンシーとその評価は、「結構、厳しいです」といっていました。それだけ高いものが求められているからですね。

田中雅広さん(バイオ医薬ビジネス・パートナー人事グループ スペシャリティ・ケア事業部門人事チーム部長、写真左)と権守健二さん(報酬企画グループ課長、写真右)

――ところで御社の場合、管理職のコンピテンシー的な要素、チームビルディングや育成などは、どのように評価されているのでしょうか。通常、コンピテンシーや行動評価で見る企業が多いですが、御社の場合、行動能力考課は一般社員のみが対象です。

田中 ポジションや組織によっては、業績考課のSOの1つに育成を入れています。「ラインマネージャーは部下育成の要素を5%入れましょう」と決めている部門もあります。

権守 数年前から社員のエンゲージメントを高めようという活動をしており、この活動の中で、ライン長は部下育成やチームワークの醸成に配慮して取り組むよう推進してきました。育成も、ライン長の大きな業務上の目標の1つとして入ってきています。

■コラボレーションができなければ、仕事にならない!

--チームワークについてもそうですか?


田中 今のファイザーの仕事で、他の部門や組織とのチームワークなしに成り立つものはありません。営業部門もマーケティングもメディカルも開発も、横の組織や他社とのコラボレーションが、以前に比べて本当に密接になってきました。
そういったチームワークが取れないと、例えばプロモーション1つ実施することができません。
特に管理職になると、このような動きを取ることが必要になります。チームワークという独立した目標を立てなくても業務目標を達成するうえで自然と評価の一部に入ってきます。

権守 もう一つ、最近マネージャーになっている人たちは、全員一般社員の時代に行動能力考課を経験してきています。
行動能力考課は、「成果達成に向けた自己管理と達成志向」「自発的知識スキルの取得と活用」「適切なコミュニケーションによるチームワーク」等の5項目について強化していくものです。現在の新任管理職層は、自己成長や育成といったものは、こちらでもかなり浸透して身についています。

田中 ファイザーの「9つのバリュー」でも、これらの要素は重視されています。バリューはファイザー社員に求められる価値基準として整理したもので、インテグリティ(誠実と高潔)、人間尊重、顧客志向、コラボレーションなどからなります。この浸透にはかなり力を入れており、管理職への昇格の際にバリューに即した行動事例を具体的に聞いています。

もう一つは、昨年(2009年)にグローバルで導入開始した「コアコンピテンシー」です。バリューとの関連や行動能力考課との整合性を整備していく必要がありますが、今後は管理職への昇格、管理職のアサインメントなどにもコアコンピテンシーを活用していくことも考えられます。この中で、やはり自己成長や育成、チームワークの要素が当然ながら入っているのです。

――「9つのバリュー」は評価に反映されるのですか?

権守 評価には直接は反映していません。ただ施策として力を入れてきましたので、意識は高くなっていると思います。

――チームワークや育成は評価の項目として特に設定されているわけではないが、さまざまな取り組みによってカバーされているということですね。その結果、SOの中に入れる部門や管理職もそれなりにいるという状態ですね。

田中 評価という点では、営業職のFOは個人目標と所属する組織の営業目標になっています。これもチームワークを高める施策です。営業にはチームで盛り上がって目標を達成するといった要素も大切だと思っています。

■「ダメならダメ」と言ってもらうことが、成長につながる

――評価をするに当たっての課題は何かありますか?

田中 評価についていえば、どうしても高ブレすることです。「目標を達成した」状態ならば「達成」をつけるべきところを「期待以上の達成」にしてしまうケースが見られました。この部分はここ数年をかけて徹底してきて、ようやく高ブレがなくなってきました。

権守 逆に下の評価もなかなか付かないですね。結果として、高ブレがなくなり下を付けないので、特に内勤社員の評価は中心化傾向にあります。評点でいえば「達成」に、ギューッと人が集まっている状態です。

今後の課題は、目標を達成できなかった人について適切に評価し、その評価結果やうまくいかなかった点を、部下が納得する形で伝えることにあります。もちろんそのことで、改善や育成につなげていくことも必要です。でないと本人も成長できませんから。

――確かに、できなかったときに「できなかった」ときちんと伝えないと、できていないことがわからないので、その後、成長することができませんよね。


<ファイザー編 まとめ>

今回の取材で印象的だったのが、「―でないと本人も成長できませんから」という権守さんの言葉です。この言葉を聞いて、ハッとしました。
個人的な気持ちからすれば、だれでも悪い評価を受けることは嫌です。しかし、自分の成長を考えれば、ダメならダメと言ってもらったほうがよいのです。ダメな点を改善していかなければ、どんなに人も成長できないからです。

多くの企業で、「評価が高ブレする」という問題があると聞きます。悪い評価を付けることの表面的なネガティブさ――自分が悪者になるような気がしたり、相手から嫌われるかもしれないといった気持ち――を恐れるあまり、その人を本当に成長させるためには何が必要なのかを、見落としてしまっているのかもしれません。

◆「管理職の評価が業績評価のみ」と聞き、ファイザーでは管理職の育成やチームワークへの配慮がどのように維持されているのかが気になりました。今回の取材で分かったのは、制度として整備はされていないものの、管理職のアサインメントや役割変更の際にリーダーシップやバリュー等からも検討するほか、エンゲージメントを高める活動を全社で展開するなどして、運用としてカバーしているということです。

◆もう一つ見逃せないのは、業績考課に対する目標が明確に財務的な目標(FO)と戦略的目標(SO)に分かれている点です。そのことでSOに幅をもつことが可能になり、他社ではコンピテンシー評価でカバーされている育成やコラボレーションといった要素がSOでカバーされ得る体制が取られています

◆「ストレッチ」と「オブスタクル」といった外部要を評価に勘案する取り組みもユニークです。この制度があることで、目標が現場感覚から乖離するのを防ぐ、現実的な運用が可能になっています。

◆ファイザーの制度はユニークな要素が多分にあります。そのユニークさによって、成果主義運用の難しさをクリアしていることが非常に印象的でした。

–完–


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