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解剖!“外資”に学ぶ人材マネジメント
File:3 ファイザー
[2010.11.25]

解剖!“外資”に学ぶ人材マネジメント~今さら聞けない成果主義の本当のトコロ【ファイザー編②】


File:3 ファイザー(2/3)
和田東子(わだ とうこ HRDジャーナリスト)

ファイザーでは業績考課に関わる目標が、財務的な目標(FO)戦略的な目標(SO)に分かれています。目標は「簡単すぎず、難しすぎない」レベルであるのが理想です。各人の役割に対して目標レベルを適正に保つ、同社のユニークな工夫を紹介します。

■理想的な目標レベルを保つ「ストレッチ」「オブスタクル」

――目標や評価のレベル合わせや調整のために、どのような仕組みがありますか。評価者側に対して、考課者訓練などを行っているのですか?

田中雅広さん(バイオ医薬ビジネス・パートナー人事グループ スペシャリティ・ケア事業部門人事チーム部長)

田中 弊社には「ストレッチ(Stretch)」と「オブスタクル(Obstacle)」という制度があります。前回話したように、本来目標は「簡単すぎず、難しすぎない」背伸びをすれば届くレベルが理想です。ところが現実には、背伸びどころか、「ジャンプして取ってくれ」といった目標を渡さざるを得ない場合があります

このような場合に、目標設定時に「ストレッチ」を適用します。最初から「この製品の上期の数字にはストレッチを認定します」といったアナウンスを行い、期末の評価は自動的に「1」ずつ加点されるのです。

権守 会社が戦略的にチャレンジングな目標を設定する場合がありますので、その場合はストレッチが適用されます。

田中オブスタクル」は後から振り返ってみて、個人の責任ではどうしょうもないような事態が発生した、といった場合に適用を検討します。例えば、大きな地震が起きて、ある地域の売り上げがまったく立たなかったといったケースです。

■オブスタクル乱発に注意! ワークショップで再検討

――これはユニークな制度ですね。適用されるケースは多いのですか。

田中 ストレッチは実際にはあまり多くはありません。オブスタクルは製品ごとに考えるとそれなりにありますね。SOについては、想定外の事象が起きた時点で、中間レビュー等の機会を利用して目標を修正してもらいます。そうした見直しを行っても、なお障害が取り除けない場合にオブスタクルは、評価時に一次考課者等から申請してもらいます。ストレッチおよびオブスタクルが適正かどうかは、部門別に開いている二次考課者等のワークショップで検討しています。1つひとつの認定もそうですし、同じ事象に対して、均等にオブスタクルが認定されているのかどうかもチェックします。

――ワークショップでは、評価基準そのものも見るのですか。

田中 はい。評価のレベル合わせも行いますし、部門の業績などとの関連からの検討も行います。例えば事業部全体の売り上げだと目標の101%しか達成できていないのに、個人の評価で「期待以上の達成」や「106%以上の達成」が連発されていたら、それは整合性が取れないことになります。

――そうなると、一人ひとりの評価について検討するのですね。

権守 1人ひとりの評点について、きちんと検討します。

例えば、ある人の評価が、極端に振れている場合があります。目標は4つから6つ設定するのが普通ですが、そのうちの1つのウエートが高すぎると、その出来・不出来で、評価が極端に偏りがちです。

田中 あとは管理職になったばかりですと、評価の際にオブスタクルを認定しすぎたり、評価基準が辛かったり、甘かったりといったばらつきが出てきます。これも調整します。ワークショップの調整結果は、一次評価者にフィードバックします。そのことで次回以降、そのマネージャーが部下に適切な指導ができるようになっていきますから。

■管理職の評価は業績考課のみ

権守健二さん(報酬企画グループ課長)

--業績考課の結果は何に反映されるのですか?

権守 業績考課は賞与と昇給に適用されます。一般社員の昇進昇格を決めるのは行動能力考課です。ただし、行動能力考課は一般社員のみに適用され、管理職は業績考課のみです。

--管理職の場合、賞与と翌年の昇給率だけでなく、昇進や昇給も業績評価で決定するということですか?

権守 弊社は職務等級制(ジョブグレード制)なので、評価によって直接的に等級が上下するわけではありません。業績考課が低いということは、その管理職は求められる役割を十分に果たせていないということです。パフォーマンスに応じて役割や仕事を変えることで、結果として等級が下がるということになります。

■管理職の降格と入れ替え

――管理職の降格は多いのですか?

権守 多いわけではないと思いますが、行います。毎年ある程度起きているというくらいです。また営業社員であるMRを統括する営業所長の入れ替えは、きちんと行うようにしています。

田中 これは本人ができないから下げるというより、もっと適性のあるタレントを活用するための入れ替えです。若い階層の管理職が育ってきているので、所長としての適性が高くない人に下りてもらい、組織全体の活性化を図っています。

――ご本人の抵抗感や周囲のモチベーションダウンはありませんか?

田中 本人の抵抗感はあるでしょうが、全体を活性化するためということは周囲も理解してくれており、モチベーションダウンは感じていません。

ここ数年の方向性として、管理職にはこれまで以上に、変革の推進やグローバルコミュニケーションの強化が求められるようになってきています。それに従って役割や仕事の変更も行い、現在ではこの考え方が浸透しています。何を求められているかは明確ですので、処遇に対する納得感は得られています。

■実は「降格」は、欧米にはない、日本独自の概念

田中 実は降格や減給という概念は、日本的なのですよ。アメリカ本社からすると、降格するような社員を残すという考えはないようです。社員自身もそこまでして残りたくはないようです。

減給についても、「これはマイナスの昇給なのだ」と説明しましたら、「非常にクリエイティブだけど、信じられない」と言われました。その点では日本のほうが雇用に対する制限が厳しい分だけ、制度も工夫されているのかなと思いましたけど(笑)

――ただそのような入れ替えがあることは、若い人にとってはやる気が出ますよね。

田中 そういう意味でも、所長の仕事は大変なんです。営業所長は仕事ができているかできていないかが、周りからも見えやすいポジションです。そのうえ同行など部下育成や売り上げ達成、周辺組織との関係構築等、非常に大きなワークロードが営業所長にかかっている状態です。もちろん、いきなり降格するようなことはありません。年に2回、管理職もその上司と面談をしていますので、そこで改善点や育成課題を伝え、置かれている状況を理解してもらい本人の奮起を促します。

ただ若手にとってどうか、という点では微妙です。やる気になっている人もいますが、反対に営業所長が大変なので、「やりたくない」といった声も聞かれているのです。

――ちなみに、降格や入れ替えは管理職のみですか? 管理職から一般社員に戻るといったことはないのですか?

田中 それはありませんが、今後の課題にはなると思います。

ファイザー編 Point②

●目標レベルがチャレンジングなことが期初に明らかな場合は「ストレッチ」を、個人の責によらず想定外な困難な状況が年度中に発生した場合は「オブスタクル」を適用し、評価を勘案する
●評価の妥当性は二次評価者によるワークショップで調整
●管理職の評価は業績評価のみ。パフォーマンスが発揮できていない管理職は職責の低いポジションに降格し、より適性のある若手等と入れ替え


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