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解剖!“外資”に学ぶ人材マネジメント
File:3 ファイザー
[2010.11.24]

解剖!“外資”に学ぶ人材マネジメント~今さら聞けない成果主義の本当のトコロ【ファイザー編①】


File:3 ファイザー(1/3)
和田東子(わだ とうこ HRDジャーナリスト)

ファイザーはアメリカで1849年に設立された老舗の製薬メーカーであり、第二次世界大戦期にペニシリンの大量生産化に成功したことで有名です。日本法人も設立から57年を経ており、「風土は日本企業に近いものを持っている」と自ら評するほどです。しかしそれだけに、外資系企業の強みと日本的な要素がうまくミックスされています。 

近年では高脂血症治療剤「リピトール」が知られています。2009年からは医療用医薬品事業にビジネス・ユニット制(事業部制)を導入しました。ブロックバスターを中心としたメガファーマ・モデルから脱却し、小さく専門性の高い組織が素早く的確な意思決定と戦略構築、実行するモデルへと変革してきています。

<企業データ>
設立
:1953年8月1日  2009年度売上高:4512億円(対前年比+2.6%)
社員数:5850名
事業内容:医療用医薬品、動物用医薬品、農薬の製造・販売・輸出入

<評価制度概要>

◆評価は全社員対象の業績考課と一般社員のみ対象の行動能力考課

◆業績考課の目標は、財務的な目標であるFO(Financial Objectives戦略的な目標であるSO(Strategic Objective)を立てる

◆目標が難しすぎる場合には「ストレッチ」(職務等級に照らして難易度の高い目標)または「オブスタクル」(目標設定時には予想できなかった外的要因等により達成が困難となった目標)を適用

■低い目標を設定していられるような悠長な社員はいない!

成果主義をうまく運用するには、適正な目標設定が鍵になります。ところがファイザーでは、社員が達成率を高めるために目標を低くしてしまうといった問題はあまりないといいます。
その理由を、田中雅広さん(バイオ医薬ビジネス・パートナー人事グループ スペシャリティ・ケア事業部門人事チーム部長)と権守健二さん(報酬企画グループ課長)にうかがいました。

――御社では社員が目標を低く設定してしまうといった事態を回避するために、どのような工夫をしていますか?

田中 正直、最近では、そういった問題はほとんど聞かれなくなりました。背景として、仕事で求められるレベルが上がってきていることが挙げられます。例えば、以前は課長クラスがやっていた仕事は、今では一般社員の仕事になったりしています。一般社員がやっていた単純業務は、アウトソースや派遣社員に回すようにしています。社員の単純業務をいかに減らすかが、ここ数年のテーマの1つだったのです。
限られた経費で成果を上げるためには、社員は単純業務から難易度の高い判断が必要な仕事にシフトしてきています。

権守 まだそれなりに(単純業務が)残っていると思いますが、数年前に比べれば、かなり減りましたよね。

田中雅広さん(バイオ医薬ビジネス・パートナー人事グループ スペシャリティ・ケア事業部門人事チーム部長、写真左)と権守健二さん(報酬企画グループ課長、写真右)

――その意味では、低い目標を立てていられるような悠長な状況ではない、ということですね。

田中 はい。この何年かは、経営的にも合併などの大きな動きが続いており、難易度の低い目標を入れられる隙間は、あまりなかったと思います。ジョブランクに合わせた目標設定をしっかりやったうえで、行動能力考課でも厳しく見られますので、簡単に昇格することはできません。

■チャレンジングな目標設定の中で、「通常業務」をどう扱うか?

――ただそうなると、チャレンジングな目標ばかりに目がいって、通常業務が疎かになるといったことはありませんか?

田中 たとえ通常業務であっても、毎年同じことを同じように繰り返していればよいという人はいないと思います。もしそれでよい仕事があるとしたら、その仕事をアウトソースするといくらコストセーブできるのかを提案し、外に出すことが目標になってきます。

――よくわかりました。ただ仕事をアウトソースした場合は、その人はより価値の高い仕事を自分で作り出す必要が出てくるのですね。

田中 そうですが、現実には自分の仕事をアウトソースするのは、結構大変なことです。全工程を深く理解している必要がありますし、関係者を集めて協力体制を作り、プロジェクトにしていかないと実現しません。
このようなことを自分でできる人は、次の仕事を自分で心配しなくても、必ずより価値の高い仕事を振られると思います。

■内勤部門も売り上げや利益に関する目標を担う

――評価の方法について教えてください。業績とコンピテンシーの二本立てでしょうか?

田中 そうです。業績考課は一般社員から管理職層まで全社員対象です。グローバルと同様の方法で評価をしています。コンピテンシー的な要素は行動能力考課といい、こちらは一般社員のみ対象です。

権守 内容はシンプルな目標管理です。ただし目標が2種類あります。売り上げや利益等にリンクする数字的な目標(Financial Objectives/FO)と、その時々の戦略的な目標(Strategic Objectives/SO)です。

営業職の場合、FOは個人の営業目標と所属組織の営業目標です。それ以外の部門は原則的に組織目標がFOとして設定されます。組織目標については期末に会社や組織の業績が出ると自動的に算出されます。
SOはその時々の重要な目標……われわれ人事であれば、例えば合併に関わる業務や、制度の統合や周知等、組合や会社の承認などが重要な目標となってきます。マーケティングであれば、ある製品の発売が予定されていれば、戦略的なメッセージや営業用ツールを用意するなどが目標になってくるでしょう。それを担当ベースにブレイクダウンしていったものが、個人のSOです。

――なるほど。

田中 FOとSOの割合は部門や職種によって変えています。例えば営業職はFOが6割、SOが4割が原則です。これに対して、開発部門はFOが1割、SOが9割です。また基本的に、役職の上位者のほうがFOの割合が高くなるように設定されています。それだけ部門全体、会社全体の数値に対して責任を持つということです。

また、内勤部門のFOは全社やビジネスユニットの目標数値がそのまま下りてきますが、営業職は個人目標と所属組織目標(主に営業所目標)に分かれます。細かくいえば営業職は5割が個人目標、1割が所属組織目標、4割がSOといったイメージです。

■目標設定の時点で、達成のレベル感を明らかに

――そのような業績考課の場合、社員一人ひとりにとって適正な目標のレベルを維持することが難しいと思うのですが、そのあたりはどのように進めているのでしょうか?

田中 目標は等級・ランクに応じ、「簡単すぎず、難しすぎない」背伸びをすれば届くレベルの目標を設定することが大切です。業績考課はFO、SOともに目標をまったく達成できなかった時の「0」から、特に優れた達成をした時の「5」までの6段階で評価されます。

そこで目標設定の段階で、何をすれば「達成した」となり、何をすれば「期待以上の達成」になるのかを、上司と部下で話し合って下さいと求めています。ポイントは評価の時にこれを話すのではなく、目標設定の段階ですることなのです。ただ、この点が難しいのは事実です。

もう1つ、目標について社内で浸透している考え方が「SMART」です。これは目標を設定する際の指針ですね。

 

「SMART」とは、下記の目標設定の際のポイントについて頭文字を取ったもの。
Specific(具体的な業務やプロジェクトに関するものであり、明瞭・簡潔である)
Measurable(達成度や進捗が測定可能である)
Actionable(何をやるのかが明確にわかる)
Realistic(等級や内外の環境等の実情を踏まえ現実的である)
Time bound(達成期限が明確である)

 

ファイザー編 Point①

●低い目標を立てていられる環境に社員を置かない
●業績考課はFOとSOに分かれ、内勤社員も売り上げに対する責任を担っている
●目標設定時に達成度のレベルを明確化して共有


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