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解剖!“外資”に学ぶ人材マネジメント
File:2 住友スリーエム
[2010.11.11]

解剖! “外資”に学ぶ人材マネジメント ~今さら聞けない成果主義の本当のトコロ【住友スリーエム編②】


File:2 住友スリーエム(2/3)
和田東子(わだ とうこ)HRDジャーナリスト

個人の尊厳と価値を尊重し、一人ひとりの自発的な行動を大切にする住友スリーエム(3M)。前回紹介した原則やルールは、同社の「自由」を象徴する側面です。では一方で、社員を成長させ、好業績を維持するための「手綱」の部分はどうなっているのでしょうか。 

■スムーズな昇進・昇格・降格によって適材適所を実現

――御社では自発性を社員から引き出したうえで、自発的に行動している社員をどのように評価しているのでしょうか?

渋谷 一般社員も管理職も、貢献度考課とリーダーシップアトリビュートの2 本立てで評価を行っています。貢献度考課は、いわゆる業績評価です。管理職はグローバルで統一の制度ですが、一般社員は日本独自のものを適当しています。将来的には一般社員もグローバルに統一していきます。

一方、リーダーシップアトリビュートは全社員対象の行動評価で、グローバル統一の評価です。

渋谷和久さん(ビジネスパートナー人事部 部長)

――貢献度考課とリーダーシップアトリビュートは、どのように給与や賞与に反映されているのですか?

渋谷 弊社はジョブグレード制(職務等級制)を採用しており、一般社員の基本給(月給)は、役割のグレードによって自動的に決まります。貢献度考課は、賞与に反映されます。賞与は業績連動型になっており、70%は基本給から算出します。残りの30%が個人業績によって変動します。

管理職は年俸制です。役割のグレードによって年俸額が決まります。年俸はグレードから算出される固定給と、会社業績に連動する変動給で構成されています。役割のグレードによって、固定給と変動給の割合は変化します。上位役職のほうが変動幅が大きくなる仕組みです。つまり、管理職の個人業績は、変動給の決定に影響していないのです。

――そうなると、管理職の個人業績は何に反映されるのですか?

渋谷 次の期の昇給率です。貢献度考課は5段階評価です。昇給率は4つのレンジに分けています。評価とレンジでマトリックスをつくり、昇給率を決定します。レンジの低い人ほど昇給しやすい仕組みです。最もレンジの低い人が業績考課で最も高い評価の「5」を取ると、一番上がります。すでにレンジの高い人は、「5」を取っても昇給しません。逆に評価が悪いと減給となります。業績考課が「1」だと5~6%は下がります。実際に「1」の評価の人はあまりいませんが、「2」は結構いますね。

――意外と給与に対する個人業績のインパクトを小さくして、むしろ昇進・昇格および降格の円滑性・柔軟性を確保することに力点を置いた制度といえますね。

 

■「減給」と「降格」は、極めて日本的

――この昇給の仕組みは、レンジが一番高いところにいる人は、早く昇格してグレードを上げてくださいということですね。そのレンジに長期間滞留していると、年俸が上がっていかない仕組みですから。逆に「1」や「2」を取る人については、降格も検討することになるのですか?

渋谷 当然、考えます。「この人は管理職だけど、役割とパフォーマンスがマッチしていないね」といった議論になるのです。「この人はこの仕事ができないので、もっと小さい役割に変えよう」ということになり、その結果、給与が下がります。レンジは「部長級」で3段階、「事業部長級」で4段階あるので、その段階が下がるだけではなく、役職が部長から課長になることもあります。

――その措置は珍しいことなのですか。それとも普通にあることなのですか?

渋谷 普通にあります。

――部長が課長になるということも

渋谷 あります。

――そういった場合、本人のモチべーションや周囲の反応はいかがですか?

渋谷 正直、降格された人の上司になると、やりにくいのは否めません。本人にしても、若手のようにバリバリ上を目指すといった方向でやる気を出すこともできないでしょう。とはいえ、下がったからと、そこで安心してもらっても困ります。そのままの状態で周囲のお荷物になったり、貢献度がゼロになっていけば、さらにグレードが下がる可能性があると、本人にははっぱをかける方向が多いですね。

――いったん下がって終わりではないですものね。そのような人は、頑張らないと普通の評価になれない状態にあるということですね。

渋谷 そうなんです。ただ降格や減給という運用は、極めて日本的なんです。アメリカ本社からは、「評価で1や2がついて、徐々に減給していくなんて非人間的なことはやってはいけない」といわれました。彼らにすると1や2を取る人というのは、そもそも我が社に合っていないと解釈します。だから本人にも「君はこの会社に合っていないから、他の道を探しなさい」と告げるほうがフェアであるというわけです。日本人からすると、どっちが非人間的だ、と思いますが、これは完全にカルチャーの違いです。

ただ降格の場合、単純に業績だけで見るかというと、そうではありません。リーダーシップアトリビュートが重視されます。

 

■社員の質を高めるリーダーシップアトリビュート

――リーダーシップアトリビュートは、いわゆる行動評価やコンピテンシー評価にあたるものでしょうか?

渋谷 はい。リーダーシップアトリビュートは3M社員(“3Mer(スリーエマー)”と呼ぶ)に求められるリーダーシップをまとめたものです。この評価は給与や昇給にはまったく反映されません。昇進・昇格、そして降格の際に使います。

――具体的にはどのようなものですか?

渋谷 大きな評価項目は「イノベーションと成長を促進する」「勇気ある決断をする」などといった6項目です。この6項目を各部門で、より具体的にブレイクダウンして評価基準を作ります。部長と課長と一般社員など、等級間のレベルの違いも、各部門に任せている状態です。

人事からは、各項目について具体的な行動例を10例くらいずつ示した冊子を、全社員に配布しています。その例を参考にしながら、自分たちの部門でいえば、この項目はこういった行動になるよね、このグレードだとこうだよね、とブレイクダウンしてもらっているのです。

――リーダーシップアトリビュートに対する意識は、みなさん高いのですか?

渋谷 かなり高いと思います。グローバルで全社員に実施している評価であるため、日本の住友3Mの社長も、自身のレポートラインから評価を受けているはずです。したがって、貢献度考課は低いが、リーダーシップアトリビュートは高いという人、またその逆もいるわけです。業績は市場環境の影響で「2」だったとしても、リーダーシップアトリビュートは極めて高い場合はハイポテンシャル人材だとみなされます。もちろん役職者は業績にも責任を負うため、業績が低くてもよいということではありませんが、ハイポテンシャル人材は基本的にさまざまな機会を与える候補者になります。

――リーダーシップアトリビュートが低い人は基本的には昇進しないということなんですね。

住友3M Point②

●役割のグレードで基本給の水準が決まるので、個人業績が給与そのものに与えるインパクトは小さい
昇進・昇格および降格の円滑性・柔軟性を確保することに力点を置いている
●リーダーシップアトリビュートが、昇進・昇格に決定的な意味をもつ


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