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BOOK REVIEW 【編集部】 [2011.09.09]

BOOK REVIEW(49)「とりあえず平均値を出してみた」――それで、データの特徴がちゃんと見えていますか?


『仕事が10倍速くなる! 統計学の活かし方』
内田 学、兼子良久 著 PHPビジネス新書
224ページ・新書版・800円(税別)

仕事が10倍速くなる! 統計学の活かし方 (PHPビジネス新書) 仕事が10倍速くなる! 統計学の活かし方

兼子良久 内田 学
PHP研究所 2011-08-19
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ちょっとまとまった時間がとれたら、一度☓☓☓をちゃんと勉強しておきたいんだけどなー」
――ビジネスパーソンなら、一度は言ったことのあるセリフではないでしょうか。
もちろん、「☓☓☓」の部分には、「法律」「会計知識」「パワーポイントのスキル」など、持っている業務に応じていろいろなものが入るわけですが、「統計(学)」もその一つに挙げられるかと思います。

データの傾向を分析することは、どんな職種のビジネスパーソンでも必須! しかし、本格的に学ぶとなると…

数値データを取り扱い、データの傾向を分析する――という作業は、今や研究開発部門やマーケティング担当者だけのものではなくなってきています。

例えば、営業担当者であれば顧客データやPOSデータを読み込み、気の利いた分析資料を作成することは、当たり前の日常業務の一つでしょう。人事担当者であっても、厚生労働省や総務省統計局が発表する統計データと自社の状況を比較してみたり、従業員アンケートの傾向分析をして新たな施策につなげたり――など、この種の作業を挙げていくと、枚挙に暇がありません。

しかしその反面、統計学の専門知識をもったビジネスパーソンというのは、決して多くはありません。
一念発起して統計学の教科書を買ってみても、ひたすら数式が並ぶ書面を見ただけで、文系ビジネスパーソンとしてはつい頭が混乱してしまいます。

本書の著者の一人である内田 学さんもまた、大学時代には統計学は「苦手な科目の一つ」だったと言います。しかし、大学院、そして米国でのMBAでも統計学を学ぶ中で、「学生に分かりやすくする」ことに重点が置かれたアメリカのテキストの効果もあり、徐々に理解が進んでいったとのこと。本書は、その経験とノウハウを生かしつつ、ビジネスパーソンにとって必須といえる部分を初心者向けに紹介したものです。

「とりあえず平均値を出してみた」――それで、データの特徴がちゃんと見えてきますか?

個別のデータを点検している段階では、「これはちょっと特殊な傾向が出てそうだな」と思っていたのに、とりあえず平均値を出してみるとまるで特徴が見えない……。しかし、会議で上司に個別のデータを一つ一つ吟味してもらうわけにもいかず、「結局、このアンケートの傾向は何なんだ?」と一喝されて終わった――こんな苦い経験を持つ方もいるかと思います。

確かに、データの特徴を表す値(「代表値」)の一つに、平均(正式には「算術平均」)があります。しかし、データの分布によっては、平均値がむしろ特殊な数値になってしまうことがあり得ます。

その代表的な例が「貯蓄高」でしょう。2人以上の世帯の貯蓄高について、算術平均額だと1638万円(総務省統計局「家計調査」、2009年度)ですが、これは少数の富裕層の資産額が全体の平均を上ブレさせた数値です。実際には、ほとんどの人がこの平均貯蓄額以下、ということになります。(実感として「そんなに高いの!?」という人は多いのではないでしょうか)。このように、正規分布していないデータの特徴をみるためには、「中央値」(すべてのデータを並べたときに、真ん中に来る数字)も有効です。

そもそも平均値にも、上記の「算術平均」以外にも、「加重平均」「幾何平均」といったものがあります。また、平均からの「バラつき」がどの程度のものかを捉えるための「標準偏差」、そして「平均」と「標準偏差」から、そもそもの「正規分布」を推測する方法――などなど、さまざまな分析手法を、本書は中学校レベルの数学知識で分かりやすく解説しています。

「とはいっても、やはり統計学って敷居が高い!」という人に

本書の分かりやすいところは、ビジネスパーソンにとって身近にある数字を使って、それぞれの分析手法を具体的に見せてくれることです。

上記でも紹介した「平均貯蓄額」のほか、「TOIECの点数分布」「プロ野球の優勝チームの勝利数の傾向」「降水量と傘の販売個数」「交通違反の取り締まり件数と、交通事故死者数の相関関係」などなど、非常にイメージしやすくなります。

しかも巻末に、「顧客満足度調査の作り方・分析の仕方」を、一章を割いて説明しています。もちろんこれは、「従業員満足度調査」や、その他のアンケート調査にも転用可能です。

「ウソには三つある。普通のウソ、真っ赤なウソ、そして統計だ」――これはアメリカの国民的作家、マーク・トウェインの言葉ですが、こんなセリフをうそぶいて、数字の分析を避けたがる文系ビジネスパーソンの皆さん。ぜひ一度統計学に向い合ってみてはいかがでしょうか。

目次

序章 統計学は何に役立つのか?

第1章 データの特徴をつかむ―集計表とグラフ

第2章 代表値を使う―平均・中央値・最頻値

第3章 平均からのバラつきがわかる―標準偏差

第4章 平均と標準偏差から推測する―正規分布

第5章 2つのデータの関係性を判断する―相関分析

第6章 直線を使って予測しよう―回帰分析

第7章 顧客満足度調査の作り方・分析の仕方

著者Profile

内田 学
共栄大学国際経営学部准教授。1966年宮城県仙台市生まれ。1989年日本大学経済学部卒業。1991年法政大学大学院社会科学研究科経済学専攻修士課 程修了、1994年同博士課程単位取得。1997年ニューヨーク市立大学バルーク・カレッジ経営大学院(MBA)修了。1997年に帰国後、MBAのエッ センスを採り入れた実践的ビジネス教育を行う「(株)バルーク・ビジネス・コンサルティング(BBC)」を設立し、代表取締役に就任。

兼子 良久
(有)スネイルコーポレーション代表。1999年日本大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年、マーケティング会社に入社し、マーケティングリサー チ業務に従事。2004年に学習院大学大学院経営学研究科博士前期課程に進み、2006年同課程修了。2009年同大学院博士後期課程単位取得退学。学習 院大学経済学部・専修大学商学部兼任講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。学習院大学計算機センター客員研究員。


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