jin-jour(ジンジュール) |人材育成、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス対策など 人事の視点から、働く人と会社の関係を元気にする情報を発信

ログイン
MENU

メニュー

×

解剖!“外資”に学ぶ人材マネジメント
File:2 住友スリーエム
[2010.11.10]

解剖! “外資”に学ぶ人材マネジメント ~今さら聞けない成果主義の本当のトコロ【住友スリーエム編①】


File:2 住友スリーエム(1/3)
和田東子(わだ とうこ)HRDジャーナリスト

住友スリーエム(3M)は創業以来、「世界で初めての製品」を生み出し続けてきた、世界を代表する素材メーカーです。「イノベーティブカンパニー」であり続けることを目指し、「過去4年間に出した商品で売上高の30%を稼ぐ」といった個性的な目標があることでも知られています。住友3Mはこれらの目標を達成し、進化させることで、新製品を開発し続ける仕組みと文化を強化してきました。 

「就業時間の15%は好きな研究に使ってかまわない」という「15%ルール」や、社内の実験施設や材料はだれがどのように使ってもよいという「ブートレッギング(密造酒づくり)」といった、同社のユニークなルールをご存知の方も多いのではないでしょうか。

ついそのユニークさばかりに目が向きがちですが、そのルールが活きるのは、組織にしっかり手綱を締める部分があるからです。それでは住友3Mの強さを生み出す、「自由」と「手綱」のバランスを明らかにしていきましょう。

<企業データ>
創業:1960年2月  設立:1961年12月  資本金:189億2927万2320円
グループ全体従業員数:2714名(2009年12月末日)
事業内容:電気・電子分野、自動車分野、建築分野、インフラ分野、各種製造分野、ヘルスケア分野、オフィス用品や家庭向け用品等の製造・販売

<評価制度概要>

◆評価は貢献度考課(業績評価)とリーダーシップアトリビュート(行動評価)の2本立て
◆役割のグレードによって基本給が決まる職務等級制。管理職は年俸制でグローバル統一の制度。一般社員は日本独自制度を適用
◆部長が作成するロジックツリーで、社員一人ひとりの目標と部門目標の整合性を図る
◆評価の妥当性はマネジメントチームレビューで担保

■高い目標を自発的に掲げる社員しか、いてほしくない?

住友3Mは優秀でアイデアが泉のようにわき出る技術者にとっては、まさに“天国”のような会社です。しかし一方で、それができない人には、結構、つらい場所なのかもしれない……という疑問がありました。
そこで渋谷和久さん(ビジネスパートナー人事部部長)に、まず目標設定と同社のカルチャーの関係について伺いました。

――成果主義がうまく成り立つためには、だれもが高い目標を立てることが前提となります。目標達成率を上げようとして、社員が目標を低く設定するようになると組織の生産性が大きく削がれるからです。
御社では、どのようにしてこの点をクリアしているのですか?

渋谷 社員に高い目標を設定させるためには、社員と会社のエンゲージメントを高め、社員が「期待を超えた貢献をしていこう」という意識を、自分から進んで燃え上がらせることが大切です。そこで重要な役割を果たしているのが、「パーソナル・イニシアティブ(個人の自発的行動)」を尊重する我が社のカルチャーです。

渋谷和久さん(ビジネスパートナー人事部 部長)

3Mの“中興の祖”である、4代目会長のウイリアム・マックナイトが次のような言葉を残しています。

マネジメントがすべて管理しようとするとこの会社はダメになる。
この会社にとって重要なことは、一人ひとりの自発性を奨励することであり、それが会社の成長そのものである。
このような取り組みのなかで、社員が過ちを犯しても大した問題ではない。マネジメントにとっての大きな過ちは、そういった考えをもつ社員をつぶすことだ

マックナイトはこの言葉を実現するために研究室を立ち上げたほか、技術者向けに「15%ルール」や「ブートレッキング」等のルールも制定しました。以来3Mでは、この考え方を非常に大切にしており、今ではカルチャーといえるものになっています。このことは「人事の基本原則」にも謳われていますし、3Mに入社すると真っ先に「この会社では、自発性をもって行動することを大切にしています。むしろそのように行動しないことのほうが、3Mの考え方に反することです」と教えられるのです。

――御社では「高い目標設定」という部分は、カルチャーでカバーしているということですね。

渋谷 そうです。「15%ルール」「ブートレッキング」といったルールの価値は、会社が社員の自発的な活動を容認していると示すことにあります。ですから、なかには5%程度の時間しか自分のための研究に費やしていない人もいるかもしれませんし、逆に20%程度使っている人もいるかもしれません。しかし、これまで実際に時間をどう使っているかを調べたことはありませんし、今後も調べるつもりもありません。そんなことをしないからこそ、本当に自由が確保されていると社員は納得し、安心して自分のやりたいことに取り組めるのです。

 

■上司は部下の「ワクワク」を支援する

―「社員の自発性の尊重」は単なる“お題目”ではなく、実効性を伴うルールとして実現されているのですね。しかし、確かに「15%ルール」や「ブートレッキング」は、自発的に行動する人にとってはすばらしいルールですが、そうでない人にはむしろ負担となるルールではないでしょうか。

渋谷 はい。3Mでは自分で考えて前向きに行動し、自ら進んで貢献する社員を求めています。むしろ指示待ち型の人や、杓子定規な考え方しかできないような人には居心地の悪い会社です。

例えば、今、技術部門では、「ワクワク・アイデア・セッション」を実施しています。若い技術者がいろいろなアイデアをプレゼンし、全員の投票で優勝者を決定するのです。優勝者には海外出張という恩典が授与されます。このような取り組みをさまざまな形で実施しているのは、社員のワクワクする自発的な行動を、会社がオフィシャルに認知しますよ、というメッセージなのです。

――技術部門についてはわかりますが、間接部門ではどうでしょうか? 例えば、渋谷さんは、人事部門にいるご自身の部下について、どのような方法で自発的なワクワクするような行動を発揮させていますか?

渋谷 自発性を促進させるには、夢を思い描くことだと思います。例えば、3年後、5年後には何をしたいかを考えることです。私は目標設定や中間レビュー、期末の評価等の面談で、この点を必ず聞きます。考えられていない人には「次のレビューまでに考えてみようよ」と指導したり、夢がある人には、じゃあ、そのためにはどうすればよいか、といった話をしていきます。

住友3Mの現在の社長も「ワークハードもいいけれど、自分自身のこともやりなさい」と常々言っています。これは私もそのとおりだなと思っています。上司はあれこれ指示するより、なりたい自分を常に考えさせ、そのための方法を部下が自分で考えられるように支援するべきです。そのほうが人は喜んで動いてくれます。

 

住友3M Point①

●管理しないことで社員の自発性を最大限に尊重する。社員の自由を会社が尊重することで強い文化が生まれている
●この文化に合う人は前向きで積極的。進んで高い目標を立てるような社員。指示待ち型や柔軟性の低い人材には合わない企業文化


労務管理、人事評価、ハラスメント対応など充実のコース!

労務行政eラーニング 詳しくはこちら

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

ログイン

×

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品