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解剖!“外資”に学ぶ人材マネジメント
File:1 ジョンソン・エンド・ジョンソン
[2010.09.21]

解剖!“外資”に学ぶ人材マネジメント ~今さら聞けない成果主義の本当のトコロ【ジョンソン・エンド・ジョンソン編①】


File:1 ジョンソン・エンド・ジョンソン(1/3)
和田東子(わだ とうこ)HRDジャーナリスト

教育関係の方にはお馴染みですが、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)といえば「我が信条(Our Credo)」(クレド)を軸にした経営で有名な企業です。クレドとはJ&Jの企業理念であり、1943年に三代目社長ロバート・ウッド・ジョンソンJr氏が起草しました。取締役会においてその導入が認められて以来、同社は一貫して、クレドを行動の拠り所としています。

■ジョンソン・エンド・ジョンソンはなぜそんなにすごいの?

クレドは、従業員やお客様、そして社会に対して「われわれはこのような会社になることを誓います」と宣言した誓約文です。そこにはJ&Jがどのような責任を負い、何をなそうとしているのかが明記されています。

今でこそ「企業の価値とは……」「われわれのミッションとは……」といった言葉が当たり前のように語られ、「自社の社会における価値」を考えることは珍しいことではなくなりました。しかし、わずか10数年前の日本では、「バリュー? 何だそりゃ? マクドナルドのバリューセットか?」と思ったのは、決して私だけではないでしょう(と、信じたい)。

(J&Jの「クレド〔我が信条〕」)

同社のクレドと、そのクレドを軸にした経営は、「バリュー(企業の価値)を軸にした経営」「顧客への価値提供」「従業員満足」「企業の社会的責任(CSR)」等の実践例として、繰り返し、繰り返し、語られてきました。正しくは、J&Jをはじめとするビッグカンパニーの経営を研究して、「バリュー経営」「顧客満足」「企業の社会的責任」といった概念が形成されていったのです。その意味でJ&Jは、まさに世界のリーディングカンパニーであり、エクセレントカンパニーといえます。

J&Jというと、クレドばかりに目がいきがちですが、クレドを軸にした経営を実現するために、成果主義の運営においても、さすがによく考えられた仕組みがあります。

<企業データ>
創業:1961年1月  設立:1978年8月  資本金:40億円
従業員数:2037名(2009年12月現在)
事業内容:総合医療・健康関連用品の輸入・製造販売

<評価制度概要>
◆評価は業績評価とコンピテンシー評価の2本立て。
◆全社員対象に、業績を評価する「チャレンジ&レビュー」プログラムを1996年に導入。
◆評価は9段階。期初に目標を設定しその達成度で評価を決定する。
◆基本給は「チャレンジ&レビュー」プログラムによる業績評価50%と、コンピテンシー評価(グローバル・リーダーシップ・プロファイル)50%で決定。ボーナスは100%業績評価。昇進・昇格・降格はコンピテンシー評価で決定。
◆部長クラスより少し上のシニアリーダー以上は、評価は一本化。

■社員が高い目標を立てないではいられない2つの仕掛け

成果主義の失敗例として、「目標達成率を上げようとして、皆が目標を低く設定してしまう」という話をよく聞きます。ところがJ&Jでは、だれもが積極的に高い目標を設定しているそうです。しかも思ったよりも早く目標が達成できそうだったり、難易度が低いことがわかったときには、より高い目標に設定し直すという“上方修正”まで行います。

なぜ、これほど社員のモチベーションが高いのでしょうか。「優秀でやる気のある社員ばかりだから」といえばそれまでですが、それだけではありません。実は高い目標を設定せざるを得ない2つの「仕掛け」が存在するのです。

 

大島恵美さん(人事総務本部 人事部 企画グループ シニアマネジャー)と、安藤 彩さん(人事総務本部 人事部 企画グループ)にお話を伺いました。

大島 だれもが目標を高くしようと思う理由の1つに、部門全員が全員の目標をシェアしているということがあります。共有する方法は部門に任せていますが、新入社員から私のようなシニアマネジャーまで全員です。

――業績評価にかかわる個人目標ですよね。部門長から一般社員まで、全員ですか?

大島 シニアリーダー(部長クラスより少し上)になると、部門の目標がそのままその人の目標になりますから、そこを敢えて自分の目標として設定するかどうかは人によります。ただ、いずれにせよ、部門全員の個人目標は全員で把握しています。

――それは非常にオープンですね。具体的にはどのような方法で目標をシェアするのですか?

大島 全員の目標を一覧にして、メールで流している部門もありますし、人事部では、目標の発表会を行いました。全員が自分の目標を、全員に向けてプレゼンするのです。聞く側は疑問に思ったことがあれば自由に質問します。

この場には安藤のように入社3年目の社員もいれば、自分の後輩もいます。シニアマネジャーとしては、彼らの前であまり恥ずかしい目標は言えません。「あの人、ポジション高いクセにあの程度の目標なの?」と思われたくはないですから(笑)。

ノンマネージャーの社員にしても、やはり同僚や先輩、後輩に対して、「あの人には負けられない」「後輩の前で恥ずかしいことは言えない」と考えますので、自然と高い目標を設定するようになっていきます。

左から安藤彩さん(人事総務本部人事部企画グループ)、大島恵美さん(人事総務本部人事部企画グループシニアマネジャー)

――これはなかなか他社でやっていない取り組みですね。これまで見てきた企業では、自分の目標を他の人に知られるなんてあり得ない!といった雰囲気の企業もありましたが。

大島 目標をシェアすることのメリットは、自然と助け合いも生まれることです。ちょっとしたことかもしれませんが、「これはあの人の目標に関係するかもしれない」と思えば、その情報を教えてあげたりします。そのように互いに互いのことを気にかけることは、職場の雰囲気をよくすると思います。

安藤 普段の会話の中でも「チャレンジ&レビュー(J&Jの業績評価制度)に書いたので、いつまでにこれをやります」といった言い方をよくするのです。ですから目標を隠して自分1人で達成していくというより、チームで共有してより活性化させるといった雰囲気です。

――よい意味で、お互いに互いの仕事のことを気にかける雰囲気が生まれるのですね。ただそうなると、期末にどれくらい達成できたのか、互いに何となくは分かりますよね。当然評価も予測がつく。その状態でプレッシャーはないですか?

大島 私個人はプレッシャーを感じます。部下の前で宣言していますから、達成しないわけにはいきません。ただまあ「これも仕事のうち」と考えています。ネガティブになるというより、「言ったからにはやるぞ」という気分です。

安藤 プレッシャーはあるのでしょうが、それで潰れてしまう人は少ないのではないでしょうか。私自身はプレッシャーというより、モチベーションにしています。目標が思ったよりも早く達成できそうな時には、中間レビューでさらに高い目標に設定し直すのです。周囲もさらに上を目指していきたいという人が多いです。

 

う~ん、すごい! 部門全員の目標をシェアすることで、目標が低く設定されるのを防止しているだけではなく、目標達成に対する動機付けも強化されているわけです。よく考えられています。

<ジョンソン・エンド・ジョンソン Point①>

  • 部門全員の目標を全員で共有することで、低い目標を設定することが防止されている
  • 自然に助け合いの雰囲気が生まれる
  • 中間レビューではさらに高い目標に設定し直す人も多い

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