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これからの日本企業の生きる道【前川孝雄】
中井政嗣さん(お好み焼き「千房」代表取締役社長)
[2011.06.15]

社員の家族の借金だって立て替える:これからの日本企業の生きる道(7)


人づくり、組織づくりの達人に聞く これからの日本企業の生きる道(7)
組織づくり、人づくりに求められるリーダー像①

株式会社FeelWorks代表取締役 前川孝雄

お好み焼き「千房」中井政嗣 社長編


社員が家族の借金で困っていたら? 社員が、大病で余命宣告を受けたら? こんな社員のピンチに、リーダーはどう振る舞うべきなのでしょうか。今日から3日間連続で、「リーダーの力」を、“千房”中井社長インタビューを通して考えます。

組織づくり、人づくりに求められるリーダー像①
~社員の家族の借金だって立て替える~

——社員に人として深く踏み込む姿勢には、中井社長の強い覚悟を感じます。組織を束ね率いていくリーダーとして、常日ごろ、大切にされている考えをお聞きかせください。

1人の社員への対応が周囲に与える影響は非常に大きいものです。

例えば、ある店舗で働いていたアルバイトの子が、店長に「父親がサラ金に手を出して180万円の借金を作り、自分も返済を迫られている」と相談してきたことがありました。相談を受けた店長が総務に連絡し、さらに総務から私の元へと連絡があったので、店長にその子の仕事ぶりを尋ねたところ「非常に真面目に働いている」と。

私は「だったら会社で180万円を立て替えてあげなさい、利息は要らないから給料から少しずつ返済すればいい」と言いました。その後、彼は3年かけてお金をきちんと返済し、完済した段階で千房の社員になったんです。このことが、千房で働くアルバイトの人たちにどれほどの勇気を与え、励ましたかを考えてみてください。

もう一つ例を挙げましょう。

当社の料理部長が大病を患ったことがありました。余命半年と宣告を受けるほどの深刻な病状でしたが、私はなんとか治療してくれる病院を探して紹介し、小さな色紙に「祈職場復帰」と書いて見舞いに行き、休んでいる間も、給料を払い続けることにしました。
その後、人事異動の時期を迎えた時、私は課長を呼んで、「本当はお前を抜てきして料理部長にするところなんだけれど、部長の席は彼に残しておきたい。だから、料理部長代理という形で我慢してくれないか」と伝えたんです。課長は泣きながら「そうしてください、私は部長になることを望んでいません」と言ってくれました。料理部長は手術が成功して2年後に現場に復帰しましたが、役職も給料も2年前とまったく同じです。戻ってきたとき、前と同じ席に着いた彼の姿は、管理職たちに大きな夢と希望を与えたと思います。

2年間、「働いていない人に給料を出すのか」と言う社員は皆無でした。こうした対応は、千房の企業風土になっているのです。「浪花節」と言われるかもしれませんが、私はこれこそ日本企業のあるべき経営だと思っています。経営者は、社員の人生を預かっていることを覚えておかなくてはなりません。

——仕事においては、時に厳しさも必要になるものです。あえてお聞きしますが、社員を大切にすることと厳しく接することとの違いについてどのように考えていらっしゃいますか?

親しくすることと、なれ合いとはまったく別のものです。けじめのないなれ合いはよくありません。例えば、「今日は無礼講だ」という場合、上司が部下の位置まで降りて、初めて「無礼講」になるんです。部下が上司の位置に立ったつもりで調子に乗ってはいけません。

少し話が逸れますが、長男が高校2年生の時、「友達じゃないんだから、対等にものを言うな」と注意したことがあるんです。私は、時に問答無用で「ダメなものはダメ」と言います。長男は、その日から私に敬語を使うようになりました。数年後、成人式を迎えた長男は、ある人から「君はどうしてお父さんに敬語を使うの?」と聞かれると、「昔、対等にものを言うなと叱られて意地になり、徹底的に他人行儀にしようと考えて敬語を使い始めたんです。でも、そのうちに周囲の人の言葉が乱れていることに気付き、敬語を使うことが良いことだと思うようになりました」と答えたんですね。

「友達のようになれなれしくすることが、仲むつまじくて良いことだ」というわけではないことを、長男は分かってくれたのだと思います。そしてもう一つ、「厳しく叱って反発されても、いずれ気持ちは伝わるものだ」といえるのではないでしょうか。

中井政嗣 Profile
千房株式会社代表取締役社長
1945年奈良県生まれ。1961年に中学を卒業し、乾物屋に丁稚奉公。義兄のレストランで修業した後、1973年に大阪ミナミ千日前にお好み焼専門店「千房」を開店。独自の感性で大阪の味を国内外に広め、現在はフランチャイズを含め64店舗を展開している。1986年、40歳にして高等学校を卒業。人材育成の手腕に定評があり、自身の体験を踏まえた独特の持論で社会教育家としても注目を集め、全国各地で講演を行っている。著書に『できるやんか!』(潮出版)がある。


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