jin-jour(ジンジュール) |人材育成、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス対策など 人事の視点から、働く人と会社の関係を元気にする情報を発信

ログイン
MENU

メニュー

×

プロが語る 成果を上げる社員の条件【佐藤文男】
成果を上げる社員の条件REVIEW
[2011.09.21]

成果を上げる社員の条件REVIEW(その5・完)―土屋敏男さん、米倉誠一郎さん編


各分野のプロが語る 成果を上げる社員の条件―スピンオフ企画

―インタビューから分かった“デキる社員”のエッセンス(5/5)
佐藤文男 さとうふみお
佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役

人材コンサルタント・佐藤文男さんがインタビュアーとなり、各分野を代表する“成果を上げてきた”ビジネスパーソン10人に、その人の職業人生、キャリア、仕事観をお話しいただいた「各分野のプロが語る 成果を上げる社員の条件」。佐藤さんがそれぞれのインタビュー内容を振り返り、各人に共通している視点や考え方、行動様式を分析し、成果を上げるための極意と、そのための条件を総括します。今回は最終回です。

土屋敏男さん(日本テレビ放送網株式会社 編成局エグゼクティブディレクター)

日本テレビの歴史に残る人気番組として、「電波少年」シリーズの番組内で「Tプロデューサー」「T部長」として親しまれた土屋さんは、今でこそ業界の有名人ですが、プロデューサーとして成功するまでの道のりにはいろいろな困難が待ち受けていました。そんな土屋さんの隠れた一面を垣間見ながら、対談を通して学んだ点を以下に挙げたいと思います。

土屋敏男さん (日本テレビ放送網株式会社 編成局エグゼクティブディレクター)

●希望する部署へ異動するためのアプローチ

テレビ番組の制作を志し、第一志望で入社した日本テレビ放送網でしたが、配属されたのは編成部でした。もちろん制作部を志望していたことから、この配属は正直ショックだったそうですが、「編成部は企画を見ながら番組の編成を決めていく、テレビ局の肝ともいえる部署です。テレビ番組がどのように作られるのか、営業のことから技術のことまで学べる仕事でしたから、結果的にはいい配属だったと思います」と土屋さんは語ってくれました。

しかしながら、将来的にはどうしても制作の部署に移りたいという希望を持っていた土屋さん。制作部に出向き、「どうしたら制作に異動できるか」と尋ねたところ、番組の企画書を出すようアドバイスをもらいました。それから毎週1本ずつ、2年にわたって100本以上の企画書を出し続けたそうです。その努力が実って、入社3年目にようやく制作部への異動がかないます。思いがあるならば、それを実現するためにあきらめず地道に努力するのが真の近道であると言われますが、土屋さんは企画書を提出し続け、努力をついに実らせたのです。

●プロデューサーとしての失敗体験

制作部に異動後は、「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で、テリー伊藤さんの総合演出の下、ディレクターを経験。その後に30歳で初めて自分で番組を企画しましたが、視聴率が1.8%しか取れず、番組は半年で打ち切りになってしまいました。

もう一度チャンスをもらい、次に制作した番組も視聴率をとることができず、現実の厳しさを痛感させられます。平均視聴率が20%以上あった「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」では、土屋さんはあくまでもスタッフの一員でした。しかし、実際に自分の責任で番組のかじ取りをして視聴率を上げていく立場になった時に、「初めて、視聴率を取ることがいかに大変なのかを思い知りました」と土屋さんは語ってくれました。その後、制作する番組がうまくいかずに一度編成部に戻されてしまうのですが、土屋さんにとってはプロデューサーとして開花する前の大きな挫折の時期であったと言えるのでしょう。

●「ジャンプ力」の重要性

35歳で再び制作部に配属になった時、「何でもいいから企画を持ってこい」と言われて考えたのが「電波少年」でした。

「テレビの歴史の中で、誰も見たことがないものを作ろう」という強い思いを持っていた土屋さんは、新しいコンセプトとして、“怒られるテレビ”は面白いのではないかという、思い切って発想の転換をしたのです。周囲から「この企画は外さないだろう」とか「ヒットする可能性が高い」と思われる内容ではなく、逆に「これって本当に面白いんですか?」と言われる企画を、自らの意志で実行することを、土屋さんは「ジャンプ力」と呼んでいます。

当時は無名のお笑いタレントを起用した企画である「猿岩石」の海外ヒッチハイクや、「なすび」の“懸賞生活”も、この「ジャンプ力」から生まれたとのことです。「誰もやっていない、見たことがない」番組を作るハードルは実現するためには非常に高いといえますが、あえてチャレンジすることが土屋流なのでしょう。「猿岩石」や「なすび」の場合は、有名人とテレビ番組の関係を逆転させ、テレビ番組が有名人を育てた例であるといえるでしょう。

●インターナショナルコンテンツへのこだわり

2006年に動画ポータルサイト「第2日本テレビ」を立ち上げ、インターネットの世界でも活躍中の土屋さん。インターネットで番組を作成する上で、今後目指している方向性は、コンテンツのグローバル展開であるそうです。間 寛平さんがマラソンとヨットで世界一周した「アースマラソン」ではトヨタ自動車などのグローバル企業のサポートを受けました。今後、インターネットの世界ではインターナショナルクライアントの協力を得て、グローバルなコンテンツを展開することが当たり前になってくるだろうから、今より本格的なインターナショナルコンテンツを制作していくことが、土屋さんの夢です。

●10年続けることの意義

佐藤文男さん(佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役)

仕事で成果を出したい若手ビジネスパーソンへのアドバイスとして、土屋さんは「毎日自分の夢に向かって努力すること。それを1日たりとも欠かさずに10年間続ければ、間違いなく夢は達成される」と語ってくれました。

番組制作がうまくいかなかった頃を振り返り、土屋さんは自分自身を「あきらめなかったというよりも、あきらめが悪かった」と自己分析します。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」を担当していた時、テリー伊藤さんを見て「この人は絶対に抜けないな」と思ったそうですが、現在でも、いつかテリー伊藤さんに「僕を抜いたね」「僕より面白い」と言わせようと思い続けているそうです。

土屋さんは、番組内で「Tプロデューサー」「T部長」で知られるこわもてのイメージとは異なり、実際はとても謙虚で自分の過去の失敗談を包み隠さず語ってくれました。最初から順調にプロデューサーとして活躍してきたわけではなかったからこそなのでしょう。愚直に努力を重ねる意外な一面に触れることができました。

米倉誠一郎さん(一橋大学イノベーションセンター長・教授)

米倉誠一郎さんは、一橋大学イノベーション研究センター長・教授として「イノベーション」を核とした企業経営と発展プロセス、組織の研究に関して長年研究を積み重ねてきました。いわば、この分野の第一人者です。一橋大学イノベーション研究センターの責任編集による季刊誌「一橋大学ビジネスレビュー」の編集委員長も務めながら、著書も数多く出版されています。米倉誠一郎さんとの対談を通じて学んだことを振り返ってみたいと思います。キーワードは「混んでいるラーメン屋/空いているラーメン屋」でした。

米倉誠一郎さん(一橋大学イノベーションセンター長・教授)

●海外に出ることの意義

アジアの中で、中国やインド、インドネシア等の新興国は、ここ7~8年で経済規模がほぼ倍にまで成長していますが、とうとう2009年には中国がGDPで日本を抜いてアメリカに次ぐ世界第2位になりました。日本や欧州連合(EU)諸国、アメリカの近年の経済成長率は1.5%程度であるので、新興国と比べると成長の鈍化は残念ながら明白です。

米倉さんは、日本は「空いているラーメン店」であり、一方で新興国は「混んでいるラーメン店」であるとたとえました。すなわち、たとえ味が良くても空いているラーメン店で今後のビジネスを模索するよりも、混んでいるラーメン店で積極的に成長戦略を描くことが必然の流れであるということです。まさに「ビジネスパーソンは海外に打って出よ」という熱いメッセージだと感じました。

●英語力ではなく、話す中身と勇気

米倉さんは、海外に打って出るのに英語力の有無は問題ではないと言います。大事なのは「話す中身と勇気」であり、この二つがあれば“根性英語”でまったく構わないと力説します。ソニー創業者の盛田昭夫さんや、現在も活躍しているプロゴルファーの青木功さんも、語学としての英語力にはもともと秀でていたわけではありませんが、盛田さんの演説はアメリカの人々を魅了しましたし、青木さんはとてもアメリカ人の友人が多いそうです。ビジネスパーソンあるいはプロゴルファーとして英語でコミュニケーションしようという姿勢を持ったことが成功につながったわけです。英語はビジネスの世界の共通語ですが、英語が母国語である人もそうでない人も、議論する中身が大事なのです。日本人には、英語力そのものよりも「中身のあることを“根性英語”で話す勇気」が必要とのことです。「不必要に恐れず、チャンスがあるなら自ら手を挙げるべき」とのお話が印象的でした。

●ジョブクリエーターを目指せ

社会人になったら、キャリアは会社任せにせず、主体的にどう作っていくかを意識することが大切であり、ビジネスパーソンとして、自らのキャリアパスのイメージやロールモデルを持つことが重要であると米倉さんは説きます。

さらに、仕事において尊いことは、「ジョブシーカー(仕事を探す人)」ではなく「ジョブクリエーター(仕事を創る人)」になることだと強調していました。すなわち、ビジネスにおいては、価値のある仕事、企業に利益をもたらす仕事、社会に貢献する仕事を生み出すことが重要で、その視点に立って仕事に突き進むためには「会社が自分に何をしてくれるか」ではなく、「自ら会社に対してどう貢献できるか」ということを常に考えるべきであると主張します。

「アントレプレナーシップ」というとすぐに起業に結びつけがちですが、その本質は、実は「イノベーションを起こすこと」であり、起業しようが、会社に勤務しようが、「新しい事業を興し、価値を生み出すこと」が重要なのです。ビジネスパーソンが「ジョブクリエーター」を目指すことの重要性を認識させられました。

●仕事で成果を上げる人材になるために

ビジネスパーソンは、研修を受けて成長するのではなく、仕事を通じて初めて成長できると説きます。企業の中で成長するためには、研修(トレーニング)も大切ですが、仕事をどんどん任せてもらえる環境が最も重要。例えば、大企業よりも、むしろ中小企業で若い時から責任のある仕事を就かせてもらい、早くから活躍できる環境に自らを置くことが大切といいます。面白そうなビジネスをしている中小企業に行って「社長に会わせてほしい」と言って、ビジョンを聞いてみる、ビジョンを聞いて共感できたのであれば、その会社に飛び込んでみればいい、断られたら次の会社を探せばいいだけ。小さくまとまらず、自分を安売りする必要はないとのコメントが印象的でした。「人は仕事で磨かれて初めて成長できるものである」という考え方に関しては、前出のSAS Institute Japanの執行役員人事総務本部長である林 敏さんも、人事の視点から、研修よりも仕事を通じた体験の重要性を語っています。

profile 佐藤文男(佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役)
一橋大学法学部を卒業後、総合商社、外資系証券会社、メーカーといった異業種においてキャリアを積み1997年に人材サーチ(ヘッドハンティング)ビジネスへ。2003年に佐藤人材・サーチを設立。
著書は共著1冊を含め転職に関する本を12冊出版。 主な著書に『40歳からの転職術」(日経BP社)、『ヘッドハンティング・バイブル』『転職後、いい仕事ができる人の条件』(共に経済界刊)。今年3月に『転職のバイブル2012年版』を経済界より出版。
佐藤人材・サーチ ホームページ: http://www.sato-jinzai.com/


管理職のeラーニング講座、お試しできます

無料トライアル受付中

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

ログイン

×

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品