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プロが語る 成果を上げる社員の条件【佐藤文男】
日本NCR社長兼CEO 三ッ森隆司さん編
[2011.04.27]

日本NCR社長兼CEO 三ッ森隆司さんが語る“デキる社員”の条件~本社の顔色をうかがうのではなく、“どう会社として一体感をもつか”に集中 (2/3)


各分野のプロが語る 成果を上げる社員の条件(11)

三ッ森隆司さん(2)

(日本NCR株式会社 代表取締役社長兼CEO)

インタビュアー:佐藤文男(佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役)
文:千葉はるか(パンクロ)

各分野で活躍されている10人の方にご登場いただき、“デキる社員”にはどんな思考、行動様式が求められるのかに迫る本シリーズ。第4回のゲスト、日本NCR代表取締役兼CEOの三ッ森隆司さんは、39歳で米コンピュータ・アソシエイツ社(CA)の日本法人社長に就任しました。しかし、経営者としての舵取りは、決して容易なものではありませんでした。

米国本社のCEOを巻き込み、十分な理解を得たうえで
日本のビジネスプランを策定

―非常に困難な状況で社長に就任されたわけですね。

最初は、一体どうすれば良いのかまったく分かりませんでした。アメリカ本社のCEOは大変優秀な経営者で、まずこの人との信頼関係の構築に注力しました。このCEOを巻き込んで十分な理解を得た上で、日本のビジネスプランを策定したのです。続いて、日本のリーダーとして国内へのオーナーシップを発揮し、お客様との関係も良好な方向へ持っていくことができました。

三ッ森隆司さん(日本NCR株式会社 代表取締役社長兼CEO)

大変順調のようにみえますが、正直に言うと、就任してから3年ほどの間は、部下のことを考える余裕はありませんでした。会社の業績を伸ばすこと、自分自身のパフォーマンスを上げることだけを考え、必死だったのです。しかし、このような考え方をしていると、結局はすべて私自身がきめなくてはならなくなります。社員が自分自身で物事を考えることはなく、「会社と一体になろう」という雰囲気も生まれません。

ある年末、納会の場で1年の仕事をねぎらうために社員に向けてあいさつした時のことは忘れられません。私が話している間、みんなが白けた顔をしていって、社員がとても遠くにいるような気がしたんです。一生懸命話しているつもりなのに、みんな私の話を聞いていない。今思えば、「ずいぶん見当違いなことを言っているな」と冷ややかに見ていたのかもしれません。たくさんの人がすぐそこにいるのに、一体感がまったくなく、物理的な距離以上の距離感がありました。それが非常に悲しくて、「私は大きな失敗を犯してしまったのだな」と痛感しました。

本社の顔色をうかがうのではなく、「どうすれば
会社として一体感を持ってやっていけるか」に集中

―どのようにして苦境を乗り越えられたのでしょうか。

「こんな状態がずっと続いていて良いわけがない、私はCAをどんな会社にしたいのだろう」と本気で考え抜き、「日本に根付き、日本市場と向き合った真面目なビジネスをして、内外から良い会社だと認知されるようになりたい」と思いました。そこで、新卒採用を行うことにしたんです。

社員に向けて「実は新卒を採りたいと思っている」と話した時は、みんな「おお、そうか」という顔をしましたね。もしかしたら、社員が少しは「この会社で長く働こうか」という気になったかもしれないと感じましたし、実際、このメッセージは「もうちょっとここで頑張ってみようか」という雰囲気が生まれるきっかけになったと思います。

その後、1年かけてマネジメント層の合宿を行ったり、会社全体で新卒採用を行う意味を考えたりとさまざまな取り組みをしながら準備を進めていったんです。自分たちの会社の魅力を見つめ直して採用広告の文言を考えたり、新卒者を迎え入れるための研修を行ったりするうちに、既存の社員は徐々にやる気になってくれました。「みんなで人材を育てるんだ」という雰囲気を作ることができたように思います。

私自身のスタンスも、それまでとは大きく変わりました。本社の顔色をうかがうのではなく、社員のほうを見て「どうすればみんなが気持ちよく働き、会社として一体感を持ってやっていけるか」ということに集中できるようになったと思います。

社員一人ひとりが自ら動く組織を作るには、一生懸命になれる仕組みが必要

―新卒採用を通じて、社員の間に、それまでになかった一体感が生まれたわけですね。

いくらたくさん人が集まっても、“烏合の衆”では会社にはならないんですね。上に立つリーダーが個人でパフォーマンスを発揮しても、ダメなんです。会社は、1人だけの力で機能させることはできません。社員一人ひとりが自ら動き、一体となって、初めて組織として機能する。そして、組織として機能するからこそ、会社は1人の力ではなしえない大きな仕事ができるんです。

社員一人ひとりが自ら動く組織を作るには、一生懸命になれる仕組みが必要です。「この人のために頑張ろう、一肌脱ごう」と思える仕事であればこそ、人は動く。そう気付いてから、今度は環境をどうやって作るか、ずいぶん悩みました。組織の在り方、会社としてのミッションや事業の方向性をどう共有するか等、考えなくてはならないことはたくさんありました。

つらい思いもしましたが、あの経験を乗り越えたからこそリーダーシップというものが身につき、本当の意味での“社長業”ができるようになったのだと感じています。

今、経営の目的に置いているのは“和魂新才”

―日本NCRは、長年にわたり日本でビジネスを展開してきた歴史ある外資系企業です。そのトップとして、今後の目標をどのように考えていらっしゃいますか。

アメリカのNCRコーポレーションは、社名が「National Cash Register」の頭文字から採られていることからも分かるように、もともとはレジのメーカーとして誕生しました。日本では「日本金銭登録機」として1920年に設立されており、国内では最も古い米系企業です。日本NCRは、日本的な面も色濃く持つ、真に日本に根付いたグローバル企業といえるでしょう。一般に外資系企業は、日本法人としての在り方に悩み苦労するケースも少なくありませんが、日本NCRは外資系企業の日本における貴重な成功例なのです。

佐藤文男氏

佐藤文男さん(佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役)

ですから、私はまずその歴史を継承することを大切にし、そのうえでさらに新たなチャレンジをしていきたいと考えています。90年の伝統を持つ企業ですから、長く事業を継続してきたからこその良い面をたくさん持っていますが、一方で変えていくべき面があるのも確かです。90年も生き残ってきたのは、日本NCRが時代の変化に対応するカルチャーを内包していることの証左ですが、変革には常に抵抗感が伴うものでもあるでしょう。簡単なことではありませんが、前向きに取り組んでいきたいと思います。

今、経営の目的に置いているのは“和魂新才”です。これは私の造語で、日本ならではの良いところは継承して残しながら、“新しい才”、すなわちITを使って変わるべきところは変えていこうという意味。現在、当社は流通や金融向けのシステム提供をはじめ、セルフレジに代表されるセルフサービスの分野にも幅広くビジネスを展開しています。こうしたITソリューションにおいて日本は非常に進んでおり、世界の実証実験市場と位置づけられます。つまり、新しいことにチャレンジしがいがある、ということです。ですから社員には、「日本的な精神を持ちながら、さまざまなITソリューションを核として変革を起こしていこう」と言い続けています。

profile  三ッ森隆司(日本NCR株式会社 代表取締役社長兼CEO)
1959年生まれ。1983年に一橋大学経済学部を卒業し、アーサーアンダーセン(現アクセンチュア)入社。入社3年目に米アーサーアンダーセンへ赴任し2年半の米国勤務を経験。1991年に電通国際システム設立に参画し、システム・コンサルティング部部長を務める。1997年にコンパック・コンピュータに転じ、経営企画本部長、コンサルティング本部本部長などを歴任。1998年、コンピュータ・アソシエイツ(CA、現CAテクノロジーズ)グローバル・プロフェッショナル・サービス日本担当シニア・バイス・プレジデント就任。翌年、39歳でCA代表取締役社長に。2006年、日本NCRへ入社し代表取締役副社長兼流通システム本部長。2007年より現職。米NCRコーポレーション日本韓国地域統括バイスプレジデントも兼務し、流通業や金融機関をはじめとするさまざまな日本企業に、ビジネスの変革をサポートする製品やソリューションをグローバルな観点から提供している。

profile 佐藤文男(佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役)
一橋大学法学部を卒業後、総合商社、外資系証券会社、メーカーといった異業種においてキャリアを積み1997年に人材サーチ(ヘッドハンティング)ビジネスへ。2003年に佐藤人材・サーチを設立。
著書は共著1冊を含め転職に関する本を12冊出版。 主な著書に『40歳からの転職術」(日経BP社)、『ヘッドハンティング・バイブル』『転職後、いい仕事ができる人の条件』(共に経済界刊)。今年3月に『転職のバイブル2012年版』を経済界より出版。
佐藤人材・サーチ ホームページ: http://www.sato-jinzai.com/


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