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プロが語る 成果を上げる社員の条件【社長編】佐藤文男
LIXIL藤森義明社長
[2011.12.14]

ジャック・ウェルチから直接アメリカに呼ばれ、いきなりゼネラルマネジャーとして何百人もの部下を持つことに ~プロが語る 成果を上げる社員の条件【社長編】-LIXIL藤森義明社長に聞く(2)

藤森義明さん

(住生活グループ 取締役代表執行役社長兼CEO 兼 LIXIL代表取締役社長)


インタビュアー:佐藤文男(佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役)
文:千葉はるか(パンクロ)

各界の一流経営者は、“デキる社員”にどんな思考・行動様式を求めているのでしょうか? 今シリーズでは、住生活グループの5社が統合して誕生したLIXIL(リクシル)代表取締役社長の藤森義明さんに、ご自身の体験談も踏まえた“デキる社員”像を語っていただきます。
商社でのMBA留学経験を経て、外資系メーカーであるGEに入社した藤森さんは、日本人で初めて同社の上席副社長に就任するなど、文字通りグローバルな活躍を重ねてきました。そこには、“伝説の経営者”ジャック・ウェルチからの薫陶(くんとう)があったと言います。

■海外企業と交渉すると、相手方企業の代表者は自分と同年代。「何の権限もない自分」が嫌だった

―MBA留学を終えて帰国された後、転職に至った経緯を教えてください。

日商岩井(現双日)に戻ってからは、カナダの天然ガス開発プロジェクトを担当していました。ところが、4年ほど頑張ったところで原油価格がそれまでの半値ほどまで下落し、天然ガスをカナダから持ってきても採算が合わないという状況になってしまったんです。結局、イランに続いてこのプロジェクトも潰れました。

藤森義明さん (住生活グループ 取締役代表執行役社長兼CEO 兼 LIXIL代表取締役社長)

一方で、「自分はこのままでいいのか」という気持ちも大きくなっていました。

私はプロジェクトの中ではかなり若いほうでしたが、カナダと日本を行ったり来たりして交渉の中心的な役割を果たしていました。実績を積む中で、「俺は仕事ができるんだ、実力があるんだ」と自信をつけていったんです。ところがいざ大事な交渉の場面になると、本部長、次長、課長といった役職者がぞろぞろと出てきて、私は一番端の席に座るわけです。対するアメリカやカナダは、交渉の場に出てくる代表者が自分と同年代であるのに、その場で決断を下せるだけの権限を委譲されていました。MBAを取得し、会社で若くして権限を与えられ、成長する――素晴らしい環境だと思いましたよ。一方で、自分は実力には自信があったのに、何の権限も持っていなかったんです。「こんなのは嫌だ」という思いは、日増しに強くなっていきました。

そんなときに、たまたまヘッドハンターから声がかかって、GE(ゼネラル・エレクトリック)に入るチャンスを得たわけです。それで「よしこれだ、俺は外資系に行って、アメリカ人を押しのけて若くしてトップになる。交渉の場に出ていって、自ら決断できる人間になるんだ」、と考えました。

■ジャック・ウェルチから直接アメリカに呼ばれ、ゼネラルマネジャーとして何百人もの部下を持つことに

―GEでは、日本とアメリカのメディカルシステム事業部門で重責を担い、2001年には日本人で初めてGE本社の執行役員会議メンバーに就任されました。この間、どのようにしてキャリアを積まれたのでしょうか。

最初は日本法人である日本GEに入ってM&Aを手掛ける部門で医療プロジェクトの仕事をしていましたが、入社後半年ほどたったところで転機が訪れたんです。

当時、南米では信用不安が起きて融資がなかなか受けられない状況にありました。しかし、GEは南米で医療機器を販売したいと考え、世界中の全社員に「南米の医療機器購入企業に融資をしてくれる金融機関を探せ」という指令を出しました。そこで私は日本の商社と交渉し、融資をとりつけることに成功したんです。アメリカはもちろん、ヨーロッパでも日本でも、誰もできなかったことでしたから、ジャック・ウェルチ(元GE最高経営責任者)から認められ、どんどんプロジェクトを任されるようになっていきました。

さらに、GEに入って1年半ほどたった頃、GEの医療ビジネスが大きな転換期を迎えました。それまでのアメリカ中心のビジネスから、グローバル展開に大きくかじを切ることになったんです。日本の合弁会社を大きくすることになり、「日本で誰か人材はいないのか」となったとき、「日本GEにフジモリがいる」ということで白羽の矢が立ち、医療機器部門に入っていくことになりました。

ウェルチは医療器ビジネスに高い関心を持っていたので、それからは直接会う機会が増えましたね。そして医療機器部門に移って1年半ほどたったところでウェルチからアメリカに呼ばれ、医療機器5部門のうちの一つのトップを任されたんです。それまでは組織を持ったことがない、いわゆる“兵隊”だったのに、いきなりゼネラルマネジャー(GM)として何百人もの部下を持ったわけです。

そこからは、十数年にわたってウェルチに鍛え上げられました。これは本当に強烈な体験でしたね。若い頃にウェルチから刺激を受けたことが、私の基本的な考え方を形成していると思います。

■50代になって急に組織を持たされても、リーダーになんてなれない。日本企業でも若い人にはチャンスを与えるべき

―ウェルチ氏は“伝説の経営者”とも呼ばれています。ウェルチ氏から学ばれたことをいくつか教えていただけますか。

ウェルチは、「本人が“できる”と思っていることの2倍、3倍のチャレンジを与えることがモチベーションを高める」と言っていました。グローバルでビジネスをしたことがない日本人を、いきなりアメリカのGMに抜てきしたことからも分かるように、ウェルチは実際に自分の部下に2倍、3倍のチャレンジを与える人でしたね。

私自身、GMになった時は「何か間違いを犯したら1年で終わりだろうな」と思いました。それだけハイリスクな世界でチャンスをもらったわけですから、当然、意識改革が起こりました。30代後半でこうしたチャンスをもらえたことは、ラッキーだったと思います。50代になって急に組織を持たされても、リーダーになんてなれっこないでしょう。私は、日本企業でも若い人には大きなチャンスを与えるべきだと思います。

佐藤文男さん(佐藤人材・サーチ株式会社)

ウェルチは非常に厳格な人ですが、「成績が上がらない」といったことに対して厳しいわけではありません。では何に厳しいのかというと、ものの考え方や価値観の部分です。努力しない人、情報を囲い込んで共有しない人、「かつて成功した」と過去の実績で満足してしまう人は、ウェルチの価値観と合いません。そういった人は、GEを去ることになります。

ウェルチの考え方で私が非常に面白いと思ったのは、「成功も失敗もすべて過去の出来事であり、終わったことを振り返っても何の役にも立たない」というものです。彼は、「周囲には必ず自分よりも優れたやり方を知っている人がいるものだから、その人の下に行って学ぶべきだ」と言っていました。つまり、「今現在、成功している人から学べ」ということです。「新聞や雑誌の記事には、すでに起きたことしか書いていない。新聞が役立つのは、死んだ魚を包む時だけだ」という言葉が、強く印象に残っています。

ですから、私はこうして過去を振り返るのが実は苦手なんです。成長するには常に前を向いて走り続けることが大切で、成功や失敗を振り返っていては足踏みすることになってしまうということを、ウェルチから徹底的にたたき込まれましたからね。

藤森義明さん Profile
住生活グループ 取締役代表執行役社長兼CEO 兼 LIXIL代表取締役社長
1951年東京都生まれ。1975年に東京大学工学部を卒業し、日商岩井(現双日)に入社。1981年、カーネギーメロン大学にてMBA取得。 1986年、日本ゼネラル・エレクトリックに転職。1990年、米GEメディカルシステムズ核医学ビジネスゼネラルマネジャー、1992年、CT事業のGMに。 1997年、米GE副社長兼GEメディカルシステムズ・アジアCEOに就任する。2001年、米GE上席副社長に昇格。2005年より日本GE会長兼GE Moneyのアジアプレジデント。2008年より日本GE社長も兼務。2011年8月に住宅設備最大手の住生活グループ 取締役代表執行役社長兼CEO 兼 LIXIL代表取締役社長に就任。  

佐藤文男 profile
佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役
一橋大学法学部を卒業後、総合商社、外資系証券会社、メーカーといった異業種においてキャリアを積み1997年に人材サーチ(ヘッドハンティング)ビジネスへ。2003年に佐藤人材・サーチを設立。
著書は共著1冊を含め転職に関する本を12冊出版。 主な著書に『40歳からの転職術」(日経BP社)、『ヘッドハンティング・バイブル』『転職後、いい仕事ができる人の条件』(共に経済界刊)。今年3月に『転職のバイブル2012年版』を経済界より出版。
佐藤人材・サーチ ホームページ: http://www.sato-jinzai.com/


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