会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術 【深田晶恵】 [2011.12.28]

確定拠出年金は投資の練習にうってつけ! トレーニングしながら、少しずつ「殖やす力」をつけていこう


会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術(13・完)

深田晶恵 ふかたあきえ
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役

前回は、自力で退職金を運用する「確定拠出年金」を導入する企業が増えている近年の状況を踏まえ、投資を学ぶ必要性をお伝えしました。連載最終回となる今回は、確定拠出年金加入者とその予備軍の方に向けて、具体的な投資のトレーニング方法を説明していきます。

■無理せず投資の“練習”から始めよう

投資の経験がない方の場合、「確かに勉強しなくてはならないことはわかっているけれど、難しそうだし、面倒だし……」とあまり気乗りしないかもしれません。確定拠出年金加入者の中には、「どうせよくわからないから」と、詳しそうな人の真似をして投資先を決めてしまう方もいます。

でも、自分の退職金を運用するのに“カンニング”は厳禁です。投資において、「こうやっておけば絶対に安心」といえるような“正解”はありません。一見、詳しそうに見える人が、誤った認識に基づいて自己流の運用を行っている可能性もあるのです。大事な退職金の投資先を、自分が中身を理解しないまま決めてしまって、後悔することになっても後の祭り。自分自身の将来の生活を左右する大事なことですから、ここは腹をくくって正面から投資と向き合っていきましょう。

もちろん、値動きのある商品に投資するのは、始めのうちは誰しも「怖い」と感じることでしょう。ですから、最初は無理をせず、少しずつ始めていけばOKです。

■まずは「日本株インデックスファンド」で投資デビュー。値動きを体感してみる

確定拠出年金の運用は、第一歩として、「自分が保有している商品が値動きする」状況を体感することからスタートしましょう。まず、いま保有している分の運用先を変更するか、これから入ってくる分を振り向けるかして「日本株インデックスファンド」に投資してみてください。

インデックスファンドとは、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といったインデックス(指数)に連動して価額が動くように設計されている投資信託です。日経平均株価やTOPIXの動きは、テレビや新聞、ネットなどでいつでもチェックできますから、ファンドの価額を無理なく追えるというメリットがあります。

また、投資を始めたら、株式市場の動きを解説するニュースにも目を向けましょう。自分の大事なお金を運用しているとなれば、ニュースを見る姿勢も真剣になるものです。新聞を真面目に読むようになると、次第に株式市場の値動きの要因がわかるようになってくるはず。日本株インデックスファンドは、情報や解説が豊富という点で、投資の勉強用にはうってつけなのです。

日本株インデックスファンドで投資デビューしたら、投資に関する本を読み、新聞の資産運用情報にも注目して、運用について勉強していきましょう。日本経済新聞なら、水曜日の「M&I(マネー&インベストメント)」面をチェックするのがお勧めです。

「じっくり勉強してから投資に挑戦したい」「順番が逆なのでは?」などと考える方は多いと思いますが、投資はまずやってみることが必要。言ってみれば、自転車の乗り方を覚えるのと同じようなもので、いくら勉強したところで、実際に自転車をこがなくては乗れるようにはなりません。ですから、まずは練習向きの商品を使って「投資に一歩踏み出すこと」を優先してください。勉強は、少しずつ追いかけてやっていけばよいのです。

勉強していく中で興味が出てきたら、外国株ファンドや国内外の債券ファンドなども少しずつ買ってみて、値動きを体感しながらファンドの組み合わせ方を考えていきましょう。

資産運用には、「分散投資」という鉄則があります。国内外の株や債券など、値動きの異なる資産を組み合わせてバランスよく投資しておくと、例えば「日本株が大きく値下がりした時に債券が値上がりして、資産が大きく減らずに済んだ」というように、大きなダメージを防ぐことができます。とはいえ、資産のバランスは最初から厳密に考えなくても大丈夫。トレーニングしながら、時間をかけて資産を分散させていってください。

■確定拠出年金は投資の練習にうってつけ!

確定拠出年金は、実は投資の練習に向いています。

第一の理由は、投資にかかるコストが非常に安いことです。投資初心者の方はコストに目が向きにくいのですが、コストが高い投資商品はいくら運用を頑張っても儲けの足をひっぱられてしまうため、選ぶべきではありません。この点、一般に販売されている投信は2.1~3.15%の「購入時手数料」がかかるものが主流ですが、確定拠出年金にラインアップされている投信のほとんどは購入時手数料が無料です。投信の保有期間中、年会費のようにずっとかかり続ける「運用管理費用」も、確定拠出年金向けのものは一般の投信と比べて低く設定されています。商品を乗り換える際も、手数料がかかりません。これは、運用において非常に強力なアドバンテージです。

二つめの理由に、確定拠出年金の場合、運用資産の全体像を把握しやすいことが挙げられます。自分で投資する際は、銀行や証券会社など複数の金融機関で投資商品を買うと、資産全体の増減が見えにくくなってしまうものです。この点、確定拠出年金なら運営管理機関のシステム上でいつでも資産の状況をチェックできるのですから、これも大きなメリットといえるでしょう。

確定拠出年金に加入している人は、投資の練習のための環境がばっちり整っているわけですから、これを活用しない手はありません。「これまで放っておきっぱなしだった」という方も、早速、投資のトレーニングを始めてみてください。

深田晶恵(ふかたあきえ)Profile
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役
CFP認定者 1級FP技能士
1967年北海道生まれ。外資系電機メーカー、日本フィリップス(株)で8年間勤務後、1996年にファイナンシャルプランナーに転身。FP資格取得後、 実務経験を積んだ後、1998年にFPとして独り立ちする。その後、同じオフィスの仲間と特定の金融商品や保険商品の販売を行わない独立系FP会社「生活 設計塾クルー」を設立し、個人向けに住宅ローンや保障設計などマネープランのコンサルティングを行う。一般個人向けのマネーセミナーのほか、企業の従業員 や自治体職員向けのライフプランセミナー講師としても活躍。メディアを通じたマネー情報の発信にも注力しており、『住宅ローンはこうして借りなさい改訂3 版』(ダイヤモンド社)、『幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)など多数の著書があるほか、日本経済新聞夕刊、『日経ビジネス Associe』『日経WOMAN』などの連載も持つ。
ブログ「お金のおけいこ。」 http://www.akie-fukata.com/
Twitter  http://twitter.com/akiefukata

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