会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術 【深田晶恵】 [2011.11.28]

「確定拠出年金」と無縁ではいられない時代-投資と向き合わないと、退職金が激減!?


会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術(12)

深田晶恵 ふかたあきえ
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役

会社員の方の場合、老後の生活の支えとなるのは、貯蓄と公的年金、そして企業から受け取る退職金(企業年金)です。退職金は、退職一時金としてまとまったお金で受け取ったり、分割で年金として受け取ったりするもので、受け取れる金額が将来の生活に大きな影響を与えると言っていいでしょう。

●年金サバイバル時代に、あなたは勝ち残れるか

近年、企業年金制度は、大きな変化を迎えています。

従来の企業年金は、給付額が勤続年数などに応じてあらかじめ決まる「確定“給付”年金」でした。確定給付年金では、会社が将来の退職金支払いに備えて積立をし、積立金の運用の責任を負っています。運用がうまくいかなかった分は、不足分を会社が補てんしなくてはなりません。しかし、バブル崩壊後、低金利や株式市場の低迷で運用がうまくいかない企業年金が増加し、業績の足を引っぱるようになりました。このため、今からおよそ10年前、平成13(2001)年に導入されたのが「確定“拠出”年金」です。

確定拠出年金とは、名前のとおり、「企業が拠出する年金の原資を確定させる年金制度」のこと。より分かりやすく言えば、「年金の“タネ銭”は企業が出しますから、後は加入者が自分の責任で運用してください」という仕組みです。企業が、運用の責任を個人に委ねる制度ということもできます。

確定拠出年金の加入者は右肩上がりに増えており、すでに400万人が加入。会社員の8人に1人に上っています[図表1]。また、会社員の方の場合、今は自分の会社が確定拠出年金を導入していなくても、導入に踏み切る可能性があります。

確定拠出年金の加入者数は400万人を突破

将来の退職金額を約束する従来の制度は企業にとって負担であり、特に株式市場が低迷している時は確定拠出年金の導入企業が増える傾向があります。最近の不透明な市場環境は、確定拠出年金への移行をさらに後押しすることでしょう。また、転職すれば新しい勤務先で確定拠出年金に加入することになるかもしれません。つまり、会社員であれば誰しも、確定拠出年金と無縁でいられる保証はないのです。

●自分の退職金は自力で運用して確保する=投資の知識が必要

確定拠出年金に加入すれば、いや応なく、将来受け取る退職金を自力で運用することになります。すでに確定拠出年金に加入している方はもちろん、これから加入する可能性がある方も含めれば、すべての会社員の方が投資について勉強しなければならない時代になったといえるでしょう。「無理に投資をしなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、確定拠出年金では、ある程度積極的に運用しない限り、従来のような水準の退職金を確保していくことはできないからです。

仮に、会社が将来の退職金のために毎月1万円を出して、38年間勤め上げたとしましょう。積立元本は、年間12万円×38年=456万円ですね。10年ほど前まで、多くの企業は確定給付年金の予定運用利回りを5.5%としていましたから、このケースでは退職金が約1544万円になったわけです。ところが、確定拠出年金に移行して自分で運用し、運用利回りが2%だったと仮定すると、受け取れる退職金は約683万円にしかなりません[図表2]。

運用利回りによって退職金水準に大きな開きが生じる

確定拠出年金で選べる商品は、預貯金や保険などの「元本確保型」と、株式投信や債券投信など値動きのある「投資型商品」に分かれています。企業年金連合会の調べによると、確定拠出年金に加入している人のうち、56.5%が元本確保型を選択しているそうです[図表3]。

多くの人が元本確保商品え運用しているという現実

おそらく「運用をしたことがないから、どの商品を選べばいいのかよく分からない」「値動きのある商品は怖い」という方が多いのではないかと思います。しかし、元本確保型の商品だけに頼っていては、確定給付年金で会社任せにしていた時代と同水準の退職金を受け取ることはできないのです。会社員の方は、このことを踏まえて確定拠出年金と向き合う必要があります。

●投資のトレーニングは若いうちから経験しておくべし

このようにご説明すると気が重くなってしまう人もいるかもしれませんが、確定拠出年金は、投資のトレーニングをする絶好のチャンスともいえます。投資の練習は、現役世代のうちに少しずつ始めておいたほうがいいのです。

というのも、「定期預金が満期になった」「退職金を受け取った」といった状況を迎えると、「預金に置いておくのはもったいない」と感じて“運用病”にかかってしまう人が多いからです。私は、投資経験がないまま“運用病”にかかり、金融機関に勧められるまま、まとまったお金を一気に投資して失敗する人をたくさん見てきました。若いうちから運用について勉強し、少額から投資の練習をしておけば、こうした取り返しのつかない失敗は防ぐことができるのです。

次回は、確定拠出年金を念頭に置きながら、具体的な投資のトレーニング法を紹介します。乞うご期待!

深田晶恵(ふかたあきえ)Profile
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役
CFP認定者 1級FP技能士
1967年北海道生まれ。外資系電機メーカー、日本フィリップス(株)で8年間勤務後、1996年にファイナンシャルプランナーに転身。FP資格取得後、 実務経験を積んだ後、1998年にFPとして独り立ちする。その後、同じオフィスの仲間と特定の金融商品や保険商品の販売を行わない独立系FP会社「生活 設計塾クルー」を設立し、個人向けに住宅ローンや保障設計などマネープランのコンサルティングを行う。一般個人向けのマネーセミナーのほか、企業の従業員 や自治体職員向けのライフプランセミナー講師としても活躍。メディアを通じたマネー情報の発信にも注力しており、『住宅ローンはこうして借りなさい改訂3 版』(ダイヤモンド社)、『幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)など多数の著書があるほか、日本経済新聞夕刊、『日経ビジネス Associe』『日経WOMAN』などの連載も持つ。
ブログ「お金のおけいこ。」 http://www.akie-fukata.com/
Twitter  http://twitter.com/akiefukata

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