会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術 【深田晶恵】 [2011.10.28]

会社員としての特典を活かしたマネープランの立て方④-住宅ローンを借りる時のチェックポイント


会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術(11)

深田晶恵 ふかたあきえ
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役

私はファイナンシャルプランナーとして、住宅ローンを専門分野の一つとしています。新規借り入れや見直しの相談を受けるのはもちろん、大手銀行に取材に行ったり、銀行の住宅ローン担当者と情報交換したりすることも少なくありません。こうした活動をする中で、銀行の住宅ローン担当者と話していて、いつも残念に思っていることがあります。それは、銀行の住宅ローン担当者が皆、口をそろえて「新規で住宅ローンを組む際、不動産業者から勧められるままに、その不動産会社の提携ローンに決めてしまう人が多い」と言っていることです。

●住宅ローンは不動産会社の提携ローンでいいの!?

実際、住宅を購入する際、不動産会社から「提携ローンなら特別な金利で借りられますよ」などとセールスされることは珍しくありません。しかし、勤務先の制度によっては、不動産会社の提携ローンより有利な条件で住宅ローンを借りられることもあるのです。住宅は非常に大きな買い物ですから、ちょっとした条件の違いで将来の負担に大きな差が生まれる可能性があります。住宅を購入する際は、「自分にとって最も有利なローンを探す」というスタンスで臨むことが大切です。

●まずは会社に利子補給の制度があるか人事部に聞いてみよう

会社員の方の場合、まずは人事部に「何か有利な条件で借りられる住宅ローンがないか」と尋ねてみましょう。銀行の支店が、周辺企業の社員に対して金利を優遇するといった提携ローンを用意しているケースは少なくありません。

また、いわゆるオーナー企業の場合、オーナーの個人口座も会社の法人口座もあるような“付き合いが深い”銀行があれば、その会社の社員が住宅ローンを申し込むといろいろ相談に乗ってもらいやすいということもあります。

また、福利厚生として住宅ローンの利子補給をしている会社もあります。
住宅ローンは、金利のタイプによって以下の三つに分けられます。

①長期固定または全期間固定金利型
②固定金利選択型(当初1年、3年、5年、10年などの期間で金利を固定し、固定期間終了後はその時点の金利が適用される)
③変動金利型(半年ごとに金利を見直し、金利が変動すると新しい金利が適用される)

借り入れ時の金利は固定期間が長いほど高く、変動金利なら低くなります。しかし、変動金利型の場合は、後々金利が上昇した場合に返済額がアップするリスクが大きくなります。

金利上昇リスクを考えれば、長期で住宅ローンを組む場合には、固定期間の短いものや変動金利型はあまりお勧めできません。しかし、例えば「金利が2%を超えたら、超えた分は会社が負担する」といった利子補給制度があれば、金利変動リスクは会社が負ってくれるわけですから、固定期間が短いタイプや変動金利型も選択肢に入れられるでしょう。会社の制度によって、住宅ローンの選び方も変わってくるわけです。住宅購入を検討している人は、まずは人事部に「住宅ローンの利子補給はありますか?」と聞いてみたほうがいいでしょう。

●財形貯蓄で賢く「貯めて」、「借りない」というのもアリ

勤務先で財形貯蓄をしている方なら、財形住宅融資を利用して資金を借りることができます。

ただし、最近は財形住宅融資そのものには大きなメリットがなくなりました。残念ながら現在は銀行ローンと比較しても金利はあまり低くありませんし、金利タイプは5年固定のみ。金利水準は、金利上昇リスクがあることを踏まえ、「期間」とセットで検討する必要があります(下図)。

5年固定金利は、金利水準の割に、中途半端に金利上昇リスクが高いのがネックです。「利用を検討するのは、勤務先から利子補給制度がある場合のみ」と考えておきましょう。

一方、「貯める」手段としての財形住宅貯蓄は積極的に利用すべきです。給与天引きで着実にお金を貯められる手段ですし、住宅購入資金の一部として解約すると利子が非課税になるというメリットがあります。つまり、住宅財形貯蓄で「貯める」ことはお勧めできますが、財形住宅融資で「借りる」のは現状では必ずしもお勧めではない、ということ。財形住宅貯蓄をしていると「財形住宅融資で借りるものなんだ」と思い込んでしまう人もいますが、財形は貯めるためだけに使うと割り切ってもいいのです。

深田晶恵(ふかたあきえ)Profile
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役
CFP認定者 1級FP技能士
1967年北海道生まれ。外資系電機メーカー、日本フィリップス(株)で8年間勤務後、1996年にファイナンシャルプランナーに転身。FP資格取得後、 実務経験を積んだ後、1998年にFPとして独り立ちする。その後、同じオフィスの仲間と特定の金融商品や保険商品の販売を行わない独立系FP会社「生活 設計塾クルー」を設立し、個人向けに住宅ローンや保障設計などマネープランのコンサルティングを行う。一般個人向けのマネーセミナーのほか、企業の従業員 や自治体職員向けのライフプランセミナー講師としても活躍。メディアを通じたマネー情報の発信にも注力しており、『住宅ローンはこうして借りなさい改訂3 版』(ダイヤモンド社)、『幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)など多数の著書があるほか、日本経済新聞夕刊、『日経ビジネス Associe』『日経WOMAN』などの連載も持つ。
ブログ「お金のおけいこ。」 http://www.akie-fukata.com/
Twitter  http://twitter.com/akiefukata

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